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色彩魔法 ~強化チートでのんびり家族旅行~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第2章 妹がやってきた

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第21話 報酬

本日二回目の更新です。

この章は次話で終了になります。


第三章から主人公たちは、いよいよ旅に出ます(やっとかw)

 道が舗装されていることに加え、柔らかいクッションの付いた座席のおかげで、思ったよりも乗り心地がいい。飾りの少ないシンプルな外観だったが、音も静かだし街の喧騒も聞こえてこないので、かなり高級な馬車なんだろう。


 大切な家族の治療に挑むので、移動中にある程度の素性を明かすことにした。



「なるほど、リュウセイ君とマシロ君が噂になっていた流れ人なのか」


「私はまだこの世界に来たばかりで、どうしてここに呼ばれたのかわからないんですけど、こうやって誰かの助けになれるのなら、来た意味があるのかなって思います」


「俺は妹より一ヶ月くらい前にこの世界に来たんだが、まだまだ慣れないことばかりで失礼なことをしてしまうと思うけど許して欲しい」


「さっきも言ったが、俺も昔は冒険者活動をしていたから、話し方などは気にしなくても構わないし、娘や孫のために力を尽くしてくれようとする君達は十分立派だよ」



 オールガンさんの家に着くまで、お互いの自己紹介をしながら馬車に揺られているが、やがて大きな屋敷が目立つ区画に入る。西区の方には初めて来たが、馬車の窓から見える街の風景は、いま住んでいる場所とは大きく違っていた。



「ライムちゃんは竜人族だったんだね」


「うん、そうだよ」


「頭のツノ、すごくきれいで可愛いね」


「そう言ってもらえるとライムうれしい、ありがとう!」



 オールガンさんは、この街で建築資材の卸商会を営んでいるそうだ。そこの従業員だった男性と娘さんが結婚し、今は独立して別の街で支店を任されている。子供が生まれて大きくなり、旅行ができる年齢になったので母娘で里帰りしてきたが、その途中で悪魔の落し物を見つけてしまったみたいだ。



「どうやってピアーノちゃんのお母さんを治療するか、詳しい話は本当にしなくてもいいんでしょうか?」


「冒険者は結果が全てだからね、それが犯罪行為でもない限り問題じゃないんだ。君達のように特別な技能を持った冒険者は多いが、その事について尋ねるのは仁義にもとる行為だよ」


「会ったばかりの俺たちを、信頼してくれてありがとう」


「ライム君のように可愛い子供にこれだけ懐かれてるんだ、それだけで十分信頼に足る人物だと思ってる」



 特殊な方法で行使する治癒魔法とは伝えているが、その内容については口外する必要はないと言ってくれた。さすが元冒険者だけあって、こうしたマナーについて教えてもらえたのは、とても助かる。それに、ピアーノと仲良く話をしているライムの存在も、大きな助けになっていた。この期待に応えられるように、三人で力を合わせよう。



◇◆◇



 オールガンさんの屋敷に到着すると、奥さんや使用人たちが出迎えてくれる。いきなり知らない人物を連れてきて、娘の治療をさせると言われ最初は驚かれたが、ピアーノの願いで特別依頼が発効されたと聞いて、全員が感謝してくれた。特別依頼というのは、それだけ重い意味を持っているということか。



「お母さん、ライムちゃんとマシロお姉ちゃんとリュウセイお兄ちゃんが来てくれたよ」



 ピアーノがベッドに駆け寄り、母親の手を取って語りかけるが、そうされてもまったく反応がない。こうして見ていると、普通に寝ているだけの状態に見えるが、娘の呼びかけにも反応しないのは、やはり呪いによる眠りだからだろう。



「真白、準備はいいか?」


「うん、お願いねお兄ちゃん」


「かーさん、がんばってね」


「今から始めさせていただきますね」


「私たちが見ていても構わないのかね?」


「目が覚めるように、みんなで見守っていて欲しい」



 俺はそう言って真白の左手を取りながらじっと見つめると、それに応えるように視線を合わせて、しっかりと(うなづ)いてくれる。オールガンさんの奥さんや、この屋敷の使用人の人たちの態度を見て、真白もこの依頼の意味を感じたんだろう、とても真剣な表情をしている。だが、この世界にない魔法が発現した俺たちなら、きっとみんなの期待に応えられるはずだ。



カラー(色彩)ブースト(強化)



「どうだ?」


「大丈夫、いけるよお兄ちゃん」



 自分の魔法を表示させた真白が、左手に浮かび上がった文字を確認して、力強く返事をしてくれた。そしてベッドに寝ている母親の手を両手で包み込んで集中し、祈りを捧げるようなポーズで呪文を紡ぐ。



ヒール(治療)



 怪我が治っていくような見た目の変化はないが、何となく不浄なものが抜けていくようなイメージが浮かんできた。ベッドの周りに集まってきたオールガンさんや使用人たちも、固唾を飲んでその光景を見守っている。



「……………あら? 私いつの間に寝てしまったのかしら」


「お母さんっ!!!」


「ピアーノちゃんったらどうしたの、泣き虫さんね」


「体の調子はどうだ?」

「どこかおかしい所はない?」

「お嬢様っ!」

「……お目覚めになられて良かったです」


「お父さん、お母さん、それにみんなも集まってどうしたの?」


「良かった、本当に良かった、悪魔の呪いが解けるなんて奇跡だ」

「あなたは一昨日家に帰ってきて急に眠ってしまったのよ」



 集まった人たちは涙を浮かべながら、目が覚めたことに喜びの声を上げベッドに駆け寄る。体にもおかしな所はないみたいだし、本当によかった。母親はまだ戸惑っているが、すがりついて泣いているピアーノの頭を優しく撫でながら、オールガンさんから説明を聞いている。



「お疲れさま、真白」


「かーさん、かっこよかった」


「目が覚めて良かったよ。ありがとう、お兄ちゃん、ライムちゃん」


「真白が頑張ったからだ」


「そんな事ないよ、三人一緒だったから出来たんだよ」



 こちらにに駆け寄ってきた真白とライムを抱き寄せて、その頭をそっと撫でる。色彩強化で拡張された治癒魔法は、薬で治せない状態異常を治療する効果を発揮できた。悪魔の落とし物は滅多に見つからないので、それがきっかけで発生する状態異常は(まれ)にしか起こらないが、もし別の原因で同じような症状に悩まされている人がいれば、助けになれる可能性があるだろう。



「あなた達が治してくれたのね、娘と私を救ってくれてありがとうございました」


「お力になれて良かったです」


「リュウセイお兄ちゃん、マシロお姉ちゃん、ライムちゃん、本当にありがとうございました」


「よかったね、ピアーノちゃん」


「ピアーノが頑張ったおかげだ。

 それに今、最高の報酬をもらえたよ」



 お礼を言って頭を下げてくれたピアーノは飛び切りの笑顔を浮かべていて、俺たち三人は何物にも代えがたい報酬を受け取ることが出来た。



◇◆◇



 ピアーノの母親は念のために治癒師の診察を受けるそうなので、オールガンさんに送ってもらい馬車でギルドに戻ってきた。その道中に何度もお礼を言われ、自分にできることは何か無いかと色々提案してくれたので、持ち運び可能な小屋作りの相談に乗ってもらうことにした。


 そして依頼達成の報告をすると、ギルド内が大きく湧き上がった。



「やったなリュウセイ! お前なら出来ると信じてたぜ」

「この世界に来たばかりなのにやるじゃないか!」

「報酬はもらってきたか?」


「あぁ、最高の笑顔をもらってきた」



 俺は男性冒険者に囲まれ、肩を組んだり背中を叩かれながら祝福を受けている。力加減を微妙に間違えてるような気がするのは、興奮のあまり身体強化を無意識に発動してしまってるからだろうか。ちょっと……いや、かなり痛い祝福が混ざっている。



「マシロちゃんもお疲れさま」

「よく頑張ったわね」

「マナ切れとか大丈夫?」


「はい、お兄ちゃんとライムちゃんがいてくれたから大丈夫です」



 真白も女性冒険者達に頭を撫でられたりハグされたり、祝福を受けていた。オールガンさんに冒険者のマナーについて教えてもらったが、やはり真白に対してどんな方法で治したのかとかは聞いてこない。



「ライムちゃんのお父さんとお母さんすごいな」

「特別依頼ってすごく難しいって聞いたぞ」

「どんなお家に行ったの?」


「えっとね、すごくおっきくて、人がいっぱいいたよ」



 ライムも子どもたちに囲まれて、質問攻めを受けている。特別依頼というのは、こんな小さな子供にまで浸透してるのは、ちょっと驚いた。



「特別依頼達成の祝いだ、今日は私が全員に一杯ずつ(おご)るから、好きなものを頼んでいってくれ」


「さすがギルド長だ!」

「話がわかるぜ!!」

「今日はいい日ね」

「やったー! なに頼もうかなぁ……」



 ギルド長の言葉で、その場で祝福してくれていた冒険者達が、飲食スペースの方へ散っていく。



「君たち三人は応接室の方に来てもらえるかな」


「わかった、二人とも行こうか」



 四人で応接室に行くと、中にはクラリネさんが待っていた。机の上にはギルドカードを作る時に使った道具が置いてあるので、何かの手続きをしてくれるみたいだ。



「特別依頼達成おめでとう、ギルドを代表してお礼を言いたい、本当にありがとう」


「偶然、解決の糸口になることが見つかったからなんだ。ピアーノの家族が悲しい思いをしなくて、良かったと思う」


「私たちが力になれたのは本当に良かったです」


「ピアーノちゃんが笑ってくれたから、ライムもうれしい」


「お疲れさまでした、皆さん。

 申し訳ないですが、少しだけギルドカードをお預かりしてもよろしいですか?」



 全員分のギルドカードをクラリネさんに差し出すと、一枚ずつ道具に通しこちらに返してくれた。カードの色には変化はないが、周りを模様で出来た枠が囲うものに変化している。



「これは?」


「特別依頼を達成した冒険者に贈られる、称号みたいなものだ」


「この模様がついたカードを持っていると、街の通行税が免除になります」


「他にもギルド内で信用が上がる」


「凄いね、お兄ちゃん」


「きれいな模様がついて、すごくうれしい」


「ピアーノの笑顔だけでも十分だったけど、これはありがたいな」


「特別依頼というのは、他の誰にも任せられない特殊なものばかりですから、達成の暁にはこうした恩恵が得られるんです」



 ギルドに戻ってきてから、あれだけ祝福された意味がわかった。こんな称号を得られるのは、やはり特別という名がつくだけはある。しかし通行税が免除というのは、この先ライムの仲間を探す旅に出る時に都合がいい。依頼を受けた時にはまったく気にしてなかったが、依頼主も達成した冒険者も他の冒険者仲間も笑顔になれる、とても良い仕組みだ。


 三人で解決できて、本当に良かった。


資料集のモブキャラの欄に、ピアーノたち三人を追加しています。

ピアーノの母の名前は特に設定していませんが、敢えて付けるとしたら“エレクトネ”でしょうか。


ピアノ・オルガン・エレクトーン(Electone)で揃えてます(笑)

(エレクトーンはヤマハ(株)の登録商標なので、作中に名前は出していません)

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後日談もよろしくお願いします!

色彩魔法あふたー
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