七 遊園地にて
約束通り息子を連れ、私たち夫婦は遊園地にやってきた。
混まない時間帯を狙い、開園時間から並んだのだが、既にその遊園地は人であふれかえっていた。
アトラクションに並ぶ時間には辟易したが、それでも楽しそうにはしゃぐ息子の顔を見ることができて救われた。
息子の身長が足りないためジェットコースターなどには乗れないが、コーヒーカップのような乗り物でも、息子の顔は輝いていた。
昼ごはんには三人で、園内のレストランで息子の顔ほどもある大きなハンバーガーにかぶりつく。裕樹は私が飲むコーラを欲しがり、少しだけ飲ませてやると咽ていた。
午後は徘徊しているキャラクターを捕まえ、写真を撮りまくる。カメラマンは専ら私の役目で、被写体はいつも妻と息子だ。はじめは大きな着ぐるみに戸惑っていた裕樹だったが、最後には慣れて、キャラクターたちを蹴りつける始末だった。無論叱りつけたが、それでも私たち家族は皆笑っていた。
ヘトヘトになるまで、一日中遊んだ。
そのお陰で、私は例の不気味な手紙のことを忘れることができた。
しかし、帰宅するとき妻が郵便受けを確認すると、やはり今日も件の手紙が入っていた。
「ヤダ、今日もよ」
遊び疲れて電車の中で寝てしまった裕樹を背負う私に、聡子は手紙を渡す。なにもマンションの玄関先で、両手がふさがった私に渡さずともよいものだが、その気味の悪い手紙を触っていたくないという妻の気持ちも理解できた。私はそれをジーンズのポケットにねじ込んだ。