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06話 凶獣襲来

 依頼を受けたアインたちは、静岡を目指し街道を歩いていた。春としては季節はずれの暑さの中、箪笥を背負うアインの表情は険しく。早くもこの依頼を受けたこと後悔するのであった。


「み、水をくれアイン…。私は皮膚が乾いて死にそうだ。」


 激しい日差しにやられたのであろう。ゲロ助は背負っていたベッドに押しつぶされながら、アインに水を懇願する。


「…またかよ。ほら受け取れ。」

「かたじけない。」


 アインが差し出した水にゲロ助は勢いよく飲み干す。渇きがいえて落ち着いたのか人心地ついたように穏やかな表情を浮かべた。


「はあ生き返る。…しかし、アインやはり家具を背負ったまま静岡を目指すのは無謀ではないのか?出発してから、もう半日が過ぎたがまるで進んでいないぞ。」


 そういってゲロ助は背後の町を指差す。町からは5km程度しか離れてなかった。


「いうな…俺も今後悔しているところだ。なあ、アルトセリアさん依頼を受けるときなんで止めてくれなかったんだよ。町から離れすぎるのでやめましょうってさ。」


(わ、私ですか!?すみません。気が回りませんでした。まさか家財道具を背負っていくとは私の想像の範疇を超えていましたので…。)


「こらアイン!女神様に責任を押し付けるな。女神様が困っていらっしゃるだろう。」


 申し訳なそうにアルトセリアを見かねたのか、ゲロ助はたまらずアインを戒める。

 ゲロ助の言葉にアインは不貞腐れたような態度とるのだった。


「だって、アルトセリアさんは俺たちが魔王退治するためのアドバイザーみたいなものだろ。俺たちが気付けないようなことも、ちゃんとフォローしてもらわないと。」


(そうですよね…ごめんなさい。次からは気をつけます。)


「このような男の戯言など聞き流せばよいのです。女神様。」

「戯言とはなんだ!」


 憤慨しゲロ助に襲い掛かるアインを、ゲロ助は華麗にかわす。目標を失ったアインはその勢いのまま地べたに転がるのだった。


(いえ、ゲロ助さん。今回は私にも非があります。静岡で魔王軍が暴れている言う情報に気を取られ。アインさんの愚かさを見過ごしてしまいました。)


「おお、なんとおやさしいお言葉!よかったな、アイン。女神様のお慈悲に感謝しろ。」


「うるせえよ。どこがやさしいんだ。遠まわしにアインさんはイケメンだけど、ちょっぴり頭が残念ですねって言っているんだぞ!」


「言葉が遠回りしすぎて余計な情報が付加されていないか?」


「どこがおかしいっているんだよ!」


(落ち着いてくださいアインさん!アインさんは個性的な顔立ちをしているので、それを気に入る女性もいるはずです。人は見た目ではないです!)


「ケンカ売ってんのか!」


(ひぃ…ごめんなさい。)


「貴様!性懲りもなく女神様に対し無礼な口をききおって。」


「なんだよ、やるっているのかゲロ助?いいぜ、その生意気な舌を引っこ抜いてやる!」


「ひゃめろ、ひたをひかむな!」


(やめてくださいアインさん!ゲロ助さんが嫌がっています。)


 アルトセリアの説得も空しく。アインはゲロ助の舌を無理やり引っ張る。


「ほら言え。謝罪の言葉を口にしたら許してやるぞ。」


「はれかひさまはんかに!」


 地面にのた打ち回るゲロ助の舌を執拗に引っ張るアインだったが、突如背後に何者かの気配を感じたため、舌から手を離すとゆっくり後ろを振り返る。


「フフフ、ずいぶんと楽しそうじゃないか。俺たちも混ぜてくれよ?」


 視線の先には、獲物を前にして嗜虐的な笑みを浮かべる2匹の凶獣モンスターの姿があった。


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