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異世界設定中~俺のヒロインはモザイク必須~  作者: 神太郎
第1章 ヒロイン設定中
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その14

幸いにもゾンビ軍団は総じて足が遅く、50メートル8秒台の僕でも逃げることができた。

ひたいから流れる汗をぬぐい、呼吸を整え、状況の整理に入る。

家の近くまで帰ってきた。

このまま家に帰ってもいいかな?

いや、ダメだ。

奴らが僕を追って家まで来るかもしれないし、それで家族に迷惑をかけるわけにはいかない。

何より、肉を買えていない。


“へ?なんでこの状況で肉を心配しているのですか?”

心を読むなって注意しているはずだが、今回だけはこの考えは他人から聞かれると100%疑問をもつだろうから仕方ないので俺の謎思考について特別に、特別に、その質問に答えてやろう。

なぜ肉が買えていない方を気にかけるかというと、ゾンビ軍団の方はもしかすると家に来ないかもしれない。

それよりも、肉を用意できずに家に帰ることはある意味、確実な(死)を意味する。


“どうして、買えないことが死に繋がるのですか?”

まあ、焦るなよ。

うちの母は食べ物に対してこだわりを持っているが、それは常軌を逸している。シャケの皮は勿論、みかんの白い筋を捨てるのもうちでは死刑に値する。

食品らしいもので捨てていいのは、バナナの皮、ジャガイモの芽以上。

魚の骨は鉄板の上に乗せてそれを火のついた小鉢の上に乗せ、カリカリになるまで焼く。

みかんの皮は、外側をよく洗ってみじん切り。すぐに、サラダの彩りの一部になる。

そんな母に今日はハンバーグ楽しみだと言われている。

さらに言えば、ミンチ肉を見られてる。最低限、ハンバーグの材料を使った料理を作らないと怪しまれ、冷蔵庫を調べられるだろう。

そうなれば一巻の終わり。

もしくは、このミンチ人を母に差し出して…

まあどちらにしろ、君と僕、どちらかが助かり、もう一方が確実に死ぬ。

デッド(イート)オアライブだ。

“絶対に食べられるのは嫌です!正義(まさよし)くん、なんとかしてください‼︎”


わかってくれたようだな。

だから、何としても肉だけは買わなくては!

あっ、ちょうどいいところにスーパーが。

いやー、気がきくなぁ、薬丸町。

痒い所に手が届く感じ?

本当にありがとう、そして大好きだよ、薬丸町。

商店街に比べると少々品質が劣るが背は腹に変えられぬ。

買うしかない。


十数分後、無事買い物を済ませ店を後にし家に帰る。

家に着くとゾンビ軍団は家まではたどり着いていないことがわかり、一安心した。

あとは、ハンバーグを作るだけだ。

いやぁ、我が家ってこんなに落ち着く場所だったんだな。

鍵をあけ、家の中に入る。


「ただいま」


「おかえりなさい、マサくんゴミ袋ごめんね」

バタンッ

エ?イマ、ハハウエハ、ナント、オッシャッタノダ?

ゴミ袋?ゴミ袋……あ!

そういえば、出かける本当の理由を言うとやばいので、確かゴミ袋をもらって来るという理由をでっち上げたような…。

どうしよう、うちは一日置きの市役所配布のお一人様1枚で無料の40Lゴミ袋に頼っているのに…。

…スーパーで買うしかない。

その40Lゴミ袋は市販のものであるので大丈夫だろう。

今月は赤字か…お小遣いないから黒字になんかなることはないけど。

ちなみにうちは年俸(お年玉)制だ。

といっても、その年俸でさえ平均的高校生のお小遣いより少ない。

貧乏だから仕方ないか…。

ダッシュで袋を買いに行き、帰ってきた。

2度目の帰宅だ。

くそ、何も言えねー。


「ただいま」


「マサくんどうしたの?急に飛び出していって。汗もビチョビチョ。何かあったの?」


「別に?なにもないよ?」


「あらそう?別に何もないんだったらいいんだけど」

玄関で色々とややこしい話は無事?終わらせることに成功した。

ごり押しで何とかごまかせたようだ。


早速、手を洗い食材を持って台所へ向かう。

ちなみにミンチ(食用ではない方)は自分の部屋に置いてきた。

玉ねぎを刻み、それを肉と混ぜながら今日起きたことを振り返る。


脳を乗っ取られ、ハンバーグを作ることになって、ゾンビ軍団に追いかけ回され、挙げ句の果てには大事な有り金が半分以上無くなって……って散々じゃん!どんな厄日だよ!

僕、本日の終わりに戦闘力53万の宇宙人に爆死させられそう!


“本当にごめんなさい、正義(まさよし)くん…私がいるばっかりに…”

ミンチが僕の思考に答えてきたので意地悪をしてみる。

おっ、誠意が見られないなぁ〜反省してるなら態度で示せよ。ニチャ(ハンバーグのたねを混ぜる音)


“本体は正義くんの部屋にあるので今は態度に示そうにも何もできないのですが…”

意地悪をするということも奴には筒抜けのはずだが、茶番に付き合ってくれそうなので、続行。

その脳内にあるのは君の一部じゃないのかな。ニチャニチャ

“はっ!まさか…!”

ああ、僕を気持ちよくしろ。

“ぐっ、具体的には、何をすれば良いのですか?”

くくくっ、照れてる照れてる。

そんなこと、言わなくてもわかるだろう?

もしくは、そんなことはしたくないからわからないふりをしているのかい?

あーあ、全く誠意が見られないなぁ。

あの本体どうしよっかなぁ。

食べようと思えば食べられると思うし…ニチャニチャニチャ


“どうかそれだけは、それだけは…”

なら、さっさと僕を気持ちよくしろ。ニチャニチャニチャニチャッッッ


“…わかりました。わっ、私頑張って正義くんを一生懸命、きもちよくしますっ”


かくして、脳内麻薬と呼ばれているドーパミンを出してもらった。

「ウヒョヒョーイ、ゥ¥$#°¥$♪¥ォ3…♪$°€$%!」



時間にして数分、しかしながらその間の記憶はまったくなく、そして気づくとなぜかキッチン中が肉片まみれになっていた。

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