ウォーカーさん登場
そういえば、どうしてヒーローに憧れたのだろう。
僕が弱いから?偶然テレビで見て格好いいと思ったから?
・・・まったく思い出せない。
さて、こんなことを考えていると言う事は徐々に僕は目を覚まそうとしているのだろうか。
しかし変だな・・・こう布団の中にいる気がしない。妙に足元は冷えるし・・・
ーガサ
なんだ、今の寝返りをうった時の音は。それになんか土や葉の匂いがする。
それに、全体的になんか・・・
「おかしい!!」
飛び起きると、目を疑った。
まさに、目の前で葉が飛び舞っているのだ。薄暗いどこか、辛うじてあたりは見えて外だと分かった。
だから、おかしいんだ。だって、担任を恨みながら熟睡していたじゃないか。
それがなんで、どうして・・・?
「ま、まさか・・捨てられた?」
(いやいやいや!両親を疑うのはまだ早い。まだ、僕は義務教育が一年くらい残ってる!)
なんだかよく分からなくなってきたぞ・・・そういえば昔こんな映画があってかなりトラウマで眠れなかったのを思い出した。
「うわぁーー!余計混乱してきた!!」
時間帯を忘れて僕は叫ぶ。
「ごめん、ごめん待った?」
そんな僕に対してかなり軽く後ろから声をかけてきた誰か。
振り返ると、かなりはっきりその人は見えた。
高校生くらいだろうか・・・青い髪が外はねして、首に薄紫色のネックを巻き後は緑系統なジャージを着ている。というか、なんだその髪色は。地毛なのか?他国の人か?というか、青い髪の人なんて初めて見た。正直、格好いい。
「あの・・・その・・・これはいったい・・・あなたは・・・」
僕は結構人見知りの部類に入る。慣れればば大丈夫なんだ、慣れれば・・・。
「え?俺の名前!?」
なんで、この人名前聞かれて驚いているんだろう。変な人じゃないかな・・・
「あーそっか。名乗ってなかったね。俺、ウォーカーさん。」
ウォーカーさんだと?この人が・・・た、確かに見た目変わってるけど。
「証拠は?」
「俺がそういってるから、そうだよ。まぁ、いいだろう?夢程度でいてくれればいいからさ!」
夢にしては、リアルすぎるから困っているんだ。
しかし、俺が呼んだことはあいつしか知らないからこんな年上が知るわけがない。
「分かりました。僕の名前は八神和也です。」
「知ってるよ、和也ね。さっそくだけど願い事を聞こうか。」
ウォーカーさんは命を取るという。
その覚悟はできているというか、正直僕自身どうなってもよかった。最後に誰かを守るヒーローになれるからだ。
「幼馴染の女の子が僕をかばっていじめられているんです。助けてあげてください。」
「なるほどね、いいよ。その変わりだけど俺の願いを聞いてもらうよ。」
僕にとって大事として残るのは命だけだ。それ以外取られることはないだろう。
「俺の願いは・・・」
分かっていても、緊張する。
「ちょっと、散歩に付き合ってくれないかな。」
「え?」
気が一気に抜けた。
なんて、散歩?ウォーカーさんと?
「うん、ちょっと色々和也と散歩がしたいんだ。一人が長いと話相手がほしくなるんだよ。だから散歩している間だけ、ね?」
成程、ウォーカーさんも一人が長いと寂しいのか。というか、ウォーカーさんって人の形してるけど人なのか?
「俺だって元人なんだよ!寂しくないウォーカーさんもいるけど!俺は寂しいウォーカーさんなんだよ!」
ウォーカーさんって何人もいるのか・・・というかそんなことばらしていいのか。このウォーカーさん。
「散歩って言ってもどこを・・・」
「このトンネルだよ!」
「あれ、このトンネル・・・」
なんだ、ここだったのか。
知っている。小学生の時よく遊んでいた廃トンネルだ。
この回りは竹藪だったりして、結構遊んでいた。中学生になってからなぜか唐突に来なくなったけど。
「このトンネルを通って、またぐるっと一周してここに帰ってくる。どうかな?」
それなら、たぶん一時間もあればいける。明日の学校にも間に合うはずだ。
「分かりました。」
「よっしゃ、契約成立だ。よろしくな、和也!」
「は、はい!」
何故かうれしかった。
こんなに、親しく誰かが話してきたのは何年ぶりだろう。
中学へ上がる前は、確かまだ友達もいたはずだ。
それが何でこうなったか・・・
「和也、早くしねぇとおいてくからな!」
「ま、待ってくださいよ!」
ウォーカーさんはとにかく早い。
すでに、トンネル入り口で手招きをしていた。
僕は一人置いていかれるのが不安でただ、ウォーカーさんを追うように走り出した。
ウォーカーさんって人なんだけど、ウォーカーさんっていう種類の生き物なんだと思います。私自身もなんだかあいまいな存在です。
交換条件は基本、ウォーカーさんによって変わります。
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