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第四章 1、教会での目覚め


 ウィンドヘルムを魔物が襲った夜から、丁度二十四時間が経とうとしていた。


 時刻は夜中の十一時半を過ぎた頃。村人達の手によって教会へと運び込まれたベル達四人は、ようやく目を覚ました。


 何故、敵である男まで居るのかというと、敵であろうと、怪我人を放ってはおけないというマリーの計で助けられたのだ。


「……皆さん」


 教会の一室、ランプの明かりがゆらゆらと揺れる薄暗い石造りの質素な治療室。


 そこに四つ並べられたベッドに仲良く横たわっている四人を見て、マリーはピクピクとこめかみを痙攣さながら呟いた。


 ベルとエリスは布団で顔の半分を隠した状態でそんなマリーを眺め、ギリアムは仏頂面をしながらそっぽを向いている。黒ずくめの男は、未だ眠りから覚めていない。


「あなた方は、自分たちがどれだけ危険な事をしたか分かっているのですかっ!」


 マリーが、ダン! っと足を踏み鳴らす。ベルとエリスはすくみ上り、ギリアムは「へんっ!」と、嘲笑うかのような溜息を吐く。


「ちょっとそこの無精髭! 何ですかそのふてぶてしい態度は!」


「うっせぇんだよ、済んだ事をギャーギャー喚きやがって」


「言っておきますけど、一番重症だったのはあなたなんですよ? そして誰があなたを治療したと思っているのです! もっと感謝の心を」


「頼んでもねぇのに余計な事したのはてめぇだ、このババァ!」


「んなっ!」


「眼鏡! この眼鏡ババァ!」


「んななっ!」


「田舎の女ってのは全体的に色気がねぇよな。お前はその代表に相応しい人物だよ」


「なぁ~~んですってぇ~~~~!」


 普段はにこやかで優しいマリーだが、今は怒りのオーラを発しながら怒っている。


 それを見たベルが、慌てて仲裁に入った。


「マリーさん、僕達本当に反省しているんです」


「……この顔が反省している人の顔ですか?」


 マリーがギリアムを睨む。ギリアムはというと、口元をニヤリと歪ませ、まるでバカにしたような視線をマリーに向けながら、右手の小指で鼻くそをほじっている。


「ギリアムさんっ! マリーさんの神経を逆撫でするような事をしないで下さいよ!」


「道具屋。俺は何もこのババァに感謝してない訳じゃないんだ。ただこの糞ババァが恩着せがましく喚くもんだから、ついこのメガネ糞ババァに」


 マリーは怒りのあまり、顔を真っ赤にし、体をフルフルと震わせながら、


「私に対する卑下の言葉が段々グレードアップしているじゃないですか! それに、私は別に恩を売る気なんてありません! 何故なら、怪我人を治す事が、白魔術師である私の使命だからです」


「どうだか。後で治療費をふんだくってやろうとでも考えてんだろ? 冗談はあんたの胸の大きさだけにしてくれ」


「ひぇっ!」


 マリーが腕で胸を隠しながら、後ずさる。顔が赤いが、今度は怒りではなく、恥かしさによるものだ。


「ベ、ベル! あなたのような良い子が、何故このような下品な男と付き合っているのですか! わ、私は悲しいです!」


「下品で悪かったなぁ、でもお前さんの乳も下品だと思うぜ。どうせ歳の所為で垂れてんだろ?」


「垂れてません!」

「もがっ!」


 マリーは恥かしさのあまり、目に涙を溜めながら、ポケットに入れていたリンゴをギリアムの口に押し入れた。


「んむ! ふむむ! んむむむ!」

「下品なお口は、こうして……こうして! こうするのよ!」


 マリーはグリグリとリンゴをギリアムの口に押し込む。今まで見た事の無いマリーの動転っぷりに、ベルは言葉を失っていた。


「……はっ! 私、一体何を……あぅ、恥かしいぃ」


 やがて、自分が何をしているのか気付き、ギリアムの口元から手を離す。そして、両手で顔を覆いながらパタパタと部屋から飛び出していった

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