始まり
「とりあえず、これは契約ということで」
「そうですね。これで世界はしばらく平和でしょう」
「そう願います」
「これは、ひょっとすると歴史的にすごいことなのでしょうか」
「あ・・・やべ」
「え?」
「いえ、すみません。今あなたが仰ったように、これ歴史的にすごいことなんだなぁって思ったらこの契約書・・・」
「一生残りますね」
「私達の名と共に」
「・・・」
「・・・」
「名前消しますか」
「そうしましょう。よく考えたらこの契約のせいで誰かが不幸になって私達が恨まれるなんてことになりかねません」
「それはなるべく避けたいですね。そしたら契約書と歴史については私達におまかせください」
「何から何まですみません」
「いいえ。あなた達がやってくださったことに比べればこんなものどうってことないです」
「いやいやいや・・あ、1つお願いがあるんですけど」
「どうしました?」
「どうせやるなら、歴史をものすごくかっこいい物語にしましょう」
「・・・」
「・・だめ?」
「いえ。あなたの考えることはいつも凄いというかなんというか・・」
「だってかっこいい物語なら、私達が恨まれることが少なくなるかもしれません」
「なるほど、それは一理あります。それなら、私からも1つお願いがあります」
「なんですか!なんでもおっしゃってください!」
「あなた達がやってくださったことは事実として歴史に残しても良いですか?」
「え」
「このことは一生語り継いで欲しいんです」
「・・・」
「・・だめ?」
「いえ、その嬉しい・・です」
「よかった!」
世界暦445年
黒く光る大きな大きな山の頂より