No.50 神秘的な夜には狼
その晩、何事も無く朝を迎え、俺たちは宿屋で朝食を済ませた
アイン「さぁ!ゴルンへ向けて、しゅっぱぁ〜つっ!」
元気良く、ポポンの村を後にした
諸葛亮
「ゴルンまで3日と言っておられたが、それまでの道中、めぼしい村は無さそうですね。」
今日も諸葛亮が地図を見ながら道案内してくれている
ジャンヌ
「野宿かぁ〜...」
関羽
「自然の中、野営するのも悪くないぞ!気候的にも、丁度いい季節だしの!」
アイン
「実は、転生特典で、アイテムボックスに一軒家入ってるんだよ!しかも、再度アイテムボックスに収納可能!野宿はしないよ!」
ジャンヌ・諸葛亮・関羽
「なんと!!」
アイン
「女神様もナイスアイテムくれたよねっ!」
俺は心の中で、やっと女神様も役にたったと、強く思った
俺達はのんびりゴルンへ向かっていた
道中、野生のモンスターなんかも出て、交代交代でモンスター退治を楽しんだ
諸葛亮
「モンスターの核や毛皮なんかは、それなりの村や町では、買取り所があるので、路銀の確保も自給出来そうですね!」
モンスターを退治すると、核を獲得出来る
モンスターの大小によって核の大きさ、価値は変動し
その血肉は食べる事も出来るが、放置して帰っても、いずれ昇華されるシステムとなっている
アイン
「なんだかやっと異世界転生って感じがするなぁっ!」
国創りや外交、邪神との対峙
色々忙しく、終盤にはドフ達の所へ勉強にすら行けなくなってた
俺の異世界転生ライフは始まったばかりだ!
ジャンヌ
「湖があるわ!」
道中、小さな湖があった
アイン
「時間も時間だし!今日はあの湖の畔に家を出して、夜を過ごそうか!」
関羽
「良き提案ですなっ!」
俺はアイテムボックスから一軒家を出した
豪華!とは言いづらいが、一般的な一軒家が出て来た
アイン
「へぇ〜、ちゃんとした一軒家だ!入ってみよう!」
俺は玄関のドアを開け、家に入ってみた
玄関フロアが有り、12畳程だろうか、リビングとキッチンがある
寝室は2つあり
なんと...
シャワー室があった...!
「シャワー室あるんかぁぁぁぁぁぁーーっいっ!!!」
俺は心の中で、転生してすぐ、お風呂を作る事を目標にした日の自分を思い出した
「まぁ...浴槽ないし...いっか...」
心の中は複雑だった
諸葛亮
「今夜の食事はどう致しますか?」
アイン
「せっかくの野営だから、外でみんなで食べようよ!」
なんちゃってBBQを考えた
道中退治したモンスターの肉もあるし!
ポポンの村で購入したビールもアイテムボックスに入ってるし
関羽
「良いですな!ワシは薪を集めて来ましょう!」
そう言うと関羽は薪拾いに森へと入って行った
焚き火を起こし、食材をそこら辺の木の枝で串にする
そうこうしていると、関羽が帰ってきて、両手にキノコを持っていた
キノコも串にして、さぁ、晩御飯のスタートだ
アイン
「かんぱ〜いっ!」
ビール片手にモンスターのBBQを楽しむ
そんな一時が進んだ
ジャンヌ
「アイン様!見て〜!綺麗〜!」
湖の畔を蛍光色を発しながら、蝶の様な夜光虫がヒラヒラ舞っていた
湖には満月が映し出され
とても幻想的な雰囲気だ
アイン
「綺麗だねぇ。」
俺はロマンチックな気分で言葉を発した
「わおぉぉーーーーーんっ!!!!」
どこからともなく、獣の鳴き声が
ダッダッダッダッ!
多くの足音が近づいて来た
アイン
「うん。魔狼だね。」
圧倒的既視感
魔狼族
「有り金全て出せ!さもなくば殺す!」
魔狼族の女が30匹ほどの魔狼の群れを連れてやって来た
諸葛亮
「ネームドですかね。」
羽扇子で口元を覆い、諸葛亮が呟いた
魔狼族
「よく分かったな!私は魔狼族のネームド、ソーラだっ!ビビったか!」
胸を張り、ソーラが威勢よく言った
諸葛亮
「はい。驚きました。こんな小声を聞き取れる事に。しかしながら、我が王国にもネームドの魔狼族、しかも魔狼王に進化した者がおりますので、驚きは薄いですかね?」
なおも羽扇子で口元を覆い、ちょこっと首を傾け諸葛亮は呟いた
関羽
「ゾウラは我らが旅に出てすぐ、魔賢狼王に進化したみたいじゃのぉ。これ以上の進化は見込めんらしい。魔狼の頂きに到達したようじゃのぉ。良き部下を持ったモノぞ!」
ソーラ
「...有り得ない!!まず、魔狼王ですら500年に1匹誕生するかしないかのレベルなのに、魔賢狼王だと!?しかも、その魔狼の最上位種がお前達みたいな人族の眷属に成り下がっているだと!?信じれるか!」
ソーラは驚きと不満な表情で捲し立てた
ジャンヌ
「せっかく良いムードで食事してたのに。アイン様、こいつ殺していい?」
ジャンヌはレイピアに手を掛ける
アイン
「ダメだよっ!弱いものイジメは良くない!」
ソーラ
「弱いものだと?試して見るか?あっ!?」
威圧的に1歩2歩と近づいて来た
アイン
「あぁ...怒らせちゃったよ...どうしよぉ...」
ジャンヌ
「こんな犬っころ、殺せば良いのですよ!」
ジャンヌが無意識に挑発する
ソーラ
「もう許さんっ!!」
ソーラは鋭い爪を露出させ、襲い掛かって来た
「ばきーーーーーーんっ!」
拡げた羽扇子の先端で、いとも容易くソーラの爪を正面から受け止める諸葛亮
諸葛亮
「もう、おかえりなさい。命を粗末にするものではありません。」
ふわっと、優しくひとつ羽扇子を仰いだ
「ぶおぉーーーんっ!」
小さな突風が羽扇子から巻き起こり、ソーラと魔狼の群れは次々と背後の木々に衝突した
ソーラ
「まだまだ!八つ裂きにしてやるっ!」
ソーラは諦めない。爪を剥き出しに突進してくる
「ばきーーーーーーんっ!」
次は俺が腰に挿している、サバイバル採取用の小さなナイフで、ソーラの爪を受けきった
アイン
「ごめんね。この中では、俺が1番弱いんだぁ...そんな俺に、渾身の爪を受け止められるようじゃあ...申し訳ないけど、本当に命落としちゃうよ...もう、帰った方が良い...」
ソーラ
「こんなに舐められて!引き下がれるか!!」
関羽
「アイン様、ここはワシが。」
関羽が1歩前へ出た
青龍偃月刀の刀身はカバーが着けられているままだ
関羽
「ワシが相手になってやろう。」
それから何分経ったのだろう
カバーの着けられままの青龍偃月刀で沢山峰打ちされ、ボロボロになったソーラは膝を震わさせ、ギリギリ立てていた
関羽
「根性だけは認めよう。しかし、弱すぎる。」
仁王立ちのまま、息ひとつ切らせていない関羽
ソーラ
「...負けを...認めるぐらいなら...死んだほうが...マシだ...」
アイン
「そんなに簡単に死んじゃダメだよ...」
「う〜〜ん。」
俺は頭を悩ませた
アイン
「しょうがない...」
俺は右手を前へ差し出した
右手はみるみる光を放つ
バインっ!!!!
大きな音と共に煙がモクモクと上がる
ナポレオン
「なぜ私なのですか。」
呆れ顔のナポレオンが召喚された
アイン
「しょうがないじゃないか!だって、ゾウラの保護者はナポレオンだろ?じゃあソーラの保護者になるのもナポレオンさ!」
ナポレオン
「なぜですか?全然理屈が理解出来ません。」
ますます呆れ顔になるナポレオン
関羽
「ナポレオンよ、根性だけはありそうだぞ、こやつ。」
意識を失い、白目を剥き倒れ込むソーラを指差した
ナポレオン
「やれやれ。アイン様にも困ったモノです。」
ナポレオンはそう言うと、ソーラの首根っこを掴み、引きずりながら帰って行った
アイン
「ナポレオーーーン!ありがとうーーー!気をつけて帰ってねーーー!」
俺はナポレオンへ大きく手を振って見送った
ヨシ、寝よう




