No.21 皇帝ソドグ
先日、海岸線より帰ってきた道を、同じメンバーで再度海岸線へ向かう一行
海岸線へ到着し、漆黒の鎧を身にまとったソドグ皇帝とその近衛兵が浜へ立っていた
戦艦は1隻のみ
ソドグ
「お初にお目に掛かる!ワシはゴッゴ皇国皇帝ソドグである!」
そう言うと、大きな剣をこちらへ投げてきた
剣がアイン側の砂浜に突き刺さる
アイン
「これは?」
剣に目を配り、ソドグを見つめる
ソドグ
「ワシの愛刀だ!戦う意思は無い!そう捉えて頂きたい!」
ソドグの目はまっすぐだ
ソドグ
「まず初めに!謝罪させて頂きたい!こちらが軍を起こし、貴殿の領土への侵攻。ワシの指示ではないにしろ。全責任はワシにある!すまなかった!」
ナポレオン
「どれほど強大な国か分からぬが。謝罪する所はちゃんと謝罪する当たり、ミュカの言う通り、信用の置ける指導者なのかも知れぬな。」
ナポレオンが小さく呟いた
ソドグ
「誠に勝手ながら、捕虜として囚われた当大陸聖騎士ミュカの返還をお願いしたい!」
ミュカに目を配るソドグ
アイン
「もちろん。いいよ。さぁ、ミュカ、行っていいよ」
ミュカはこちら側へ深々とお辞儀をし、ソドグの方へ歩き出した
ソドグ
「寛大なご対応!感謝する!」
ミュカがソドグの前へ到着し、片膝をついた
ソドグ
「無事で良かった。すまなかったな。」
ソドグは本当にまっすぐな男であった
ソドグ
「領主殿!お名前をお伺い出来れば!」
アイン
「アインだ!俺は俺の町の住民、俺の仲間に敵意を向けられない限り、こちらからどこの大国であっても侵攻しようなどと考えていないよ!」
ソドグ
「アイン殿か。して、質問させて頂きたいのだが。1年前まで、この島には町の1つも存在しなかった。ケットシーの領土故、どこの大国も手出し出来なかった。が正しいのだが。貴殿らはどこの大国出身であろうか?」
アイン
「俺は転生者だ!職業は「召喚士」ここにいる、ナポレオン達は俺が召喚した偉人達だよ!町も、助けを求めて来たモンスター達を助けてたら、あんなに大きくなってしまっただけだし、ケットシーさんとも、良好な関係を持たせて貰ってるよ!」
ソドグ
「テンセイシャ?ショウカンシ?すまない。初めて聞く名前ばかりで、良く分かっていない…」
アイン
「元々、この《グランツオリオン》以外の世界に住んでいて、突然、この《グランツオリオン》と言う世界に来てしまったんだよ。」
ソドグ
「なんと!」
アイン
「俺も理解するまでに時間が掛かったよ。だから、この世界の覇権や領土争いなんか、全く興味無いんだ。俺はただ平和に暮らしたいだけだから。」
ソドグ
「もう1つ質問しても?」
アイン
「あぁ!もちろん大丈夫だよ!」
ソドグ
「いや、ワシが先に名乗るべきだな。ワシが保有するアルティメットスキルは《オールアンチロック解除》と言うアルティメットスキルだ。全てのバフ効果を無効化する。アルティメットスキルに関しては、1日に4人まで、1日だけ相手のアルティメットスキルを封印する事が出来る能力だ。ワシは武人として、この腕1本で上り詰めたと自負しておる。して、アイン殿達は複数のアルティメットスキルを保有していると存じ上げておるのだが。」
アイン
「そうだね。俺の召喚した偉人達は必ずアルティメットスキルを保有して顕現する。1人1つね。俺はその偉人達が持つアルティメットスキルを共有出来る。先日、貴国との戦闘では、クレオパトラのアルティメットスキルによって、巨大なコブラが召喚されたけど、俺も全く同じ事が出来る。今ここで、俺とクレオパトラがアルティメットスキルを発動すると、合計4体のコブラが召喚される事になるね。」
ソドグ
「すなわち。4人の偉人で4つのアルティメットスキル。アイン殿がさらに同じアルティメットスキルを4つ保有。そう言う事ですかな?」
アイン
「その通りだ。」
ソドグ
「アイン殿は知っているかは分からぬが。この《グランツオリオン》の世界では、アルティメットスキルはとても希少なスキル。そのスキルを各大国が保有し、均衡が保たれているのが現状。その上で。アイン殿が望まれるのは、本当に「自分の抱える民の安全のみ」だと。そう申されるのか?」
アイン
「そうだよ」
ソドグ
「他に欲しいモノは無いのですかな?」
アイン
「強いて言えば。俺はこの世界に来る前、研究者だった。この《グランツオリオン》と言う世界は俺の知らない事ばかりなんだ。鉱物、草木まで、文化や食事、歴史なんかも沢山知りたい。俺は学ぶ事しか興味が無いんだ。正直、自分の身を守る為に、偉人達が剣技なんかをたくさん教えてくれたけど。あまり得意ではない。」
ソドグ
「そうか。」
1拍の間を置いて
ソドグ
「アイン殿。相互不可侵条約を結んで頂けぬだろうか。今後、我が北東の大国より、アイン殿の領土への武力行使は一切禁止とする。同様にアイン殿も我が北東大陸への侵攻はしない。そう約束して頂く。その上で、文化交流を広げ、お互いの事を知る為に共生して行く。しかし。先程も言ったように。この世界では、アルティメットスキルは希少な能力。アイン殿達をこちらの北東大陸の勢力加担として世界に発信してしまうと、世界の均衡が破れ、乱世が再び始まってしまう。軍事協力はせず、文化交流のみだと。条約を結んで頂けぬだろうか?」
アイン
「どうだろう?」
俺には政治の才能は全く無い
偉人達に聞いてみた
ベリサリウス
「ナポレオンとラムセスが同意するのであれば。」
クレオパトラ
「同じく」
ナポレオン
「悪く無い提案かと。」
ラムセス
「貴国から外交官を我が国へ駐屯して頂く。貴殿の国で重要なポストの人材を望む。貴殿は豪胆にしてまっすぐな男だから我もはっきり言おう。要は「人質」をこちらへ寄越せ。と言う事だ。責めるつもりは無いが、先に武力行使を行ったのは貴国。それ相応の不利益を被り、誠意を持って対応される事を望む。」
ソドグ
「寛大な対応、有難く頂戴する。それでは、ミュカを外交官として、貴国へ駐屯させよう。ミュカの使用人も後ほど派遣する。ミュカは我が大陸で10本の指に入るほどの騎士である。問題無いだろうか?」
ラムセス
「問題ない。それでは、調印を致しましょう。」
北東大陸との調印も済ませ、俺達は今朝来た道を、再度同じメンバーで帰って行った
アイン
「ねぇ、ラムセス?何故人質が必要だったの?」
俺は政治の事は全く理解していない
ラムセス
「そうですねぇ。北東の大陸から人質を取れば、北東の大陸から攻め込まれない。と言う表向きな「人質」としての役割ももちろん。それと、北東大陸の主要な民が我が国に駐屯している。と言う事は他の大陸から侵攻される際、侵攻する側は北東の大陸を敵に回す可能性が出て来ます。我が国を攻撃する。北東大陸の外交官が危ない目に合う。北東大陸を敵に回す可能性がある。均衡が破られ、自国が責められる可能性がある。ようは牽制ですね。」
ラムセスはそこまで考えていたのか。
丸投げして正解だった
そう強く心に刻んで町へ帰って行った




