No.20 皇帝ソドグからのお便り
ゼレアンが討たれた事により北東大陸に激震が走った
北東大陸南部ソード領
領主ソード
「ゼレアンよ…あぁ…なんという事だ…」
ソードの近衛兵
「ソード様…ソドグ皇帝がお見えです…」
重厚な鎧を纏う王都近衛兵に囲まれ
漆黒の独特な鎧を身にまとった
ゴッゴ皇国皇帝ソドグがソード領主城へ入城した
領主ソード
「ソドグ皇帝…如何なる処分も甘んじて受け入れる所存です…」
ソドグ
「ワシの書簡を持たせた早馬が、一足遅かったようぞの。初期の情報に、アルティメットスキル使用者が複数居る事が分かっておりながら、何故、ゼレアンを単騎で向かわせた?」
ソード
「ベルンの情報が正しくない可能もあるかとも思いましたし。こんなに短期で、しかもアルティメットスキル使用者が複数名。常識的に考えて、ありえない話しだと思いました。ゴッゴ皇国に置いて、脅威が及ぶ芽を早く摘むべきだと、祖国を思い、早まりました。全て私の責任にございます…北西大陸との国境線にも緊張が走っている事も存じ上げております。4大将軍のゼレアンを失わせた責任は承知しております。甘んじて、処分を受け入れます…」
ソドグ
「ソードよ。お前が1代でこの南部大都市ナンカンを統治するまでの苦労。ワシは知っているつもりだ。その裏表の無い。ゴッゴ皇国への真なる忠誠心があってこその領主地位である。1度の過ちでワシがお主の首を取るとでも?」
ソード
「私はゴッゴ皇国の。ソドグ皇帝の力になりたく。邁進して参りました。しかし、4大将軍ゼレアンを失うと言うことは、北東大陸全土を危険に晒す行為。私の首1つでは、到底賄えるモノとも考えておりません…」
ソドグ
「まぁ、終わった話しはもう良い。あの島については、ワシに任せよ。」
ソード
「ソドグ皇帝のお手を煩わしてしまい、本当に申し訳ございません…」
ソドグ
「今後もそなたの忠誠心に期待しておる」
一方にその頃、竜人族が統治する北西の大陸では
竜人族B
「兄者、あのゼレアンが死んだってよ!」
竜人族A
「知っておる。」
竜人族B
「これは、北東の大陸を奪う時が来たんじゃねーか?」
竜人族A
「そんな簡単な話しでは無い。仮に我らが北東の大陸を攻めて居る中、南西の大陸が我が国へ攻め込めばどうなる?」
竜人族B
「それは分かってるよ!でも、こんなチャンス滅多に無いじゃないかよ!」
竜人族A
「今、南西の大陸へ使者を送っている。二国不可侵を申し込み、受け入れられれば、北東大陸を奪いに行く。略奪後は、南西の大陸と手を結び、この世界の1/2を我ら竜人族の領土とする。」
竜人族B
「さすが兄者だ!動きが早えっ!」
さらに。
人族が多く住む南西の大陸では
評議会司会
「北西の大陸、竜人族より、不可侵の申し入れが届きました!」
評議会員A
「どうせ、北東大陸が欲しいのであろう。侵攻する間、不可侵の約束が欲しいだけじゃ。」
評議会員B
「まぁ、我が国にとっても悪い話しじゃないんじゃなかろうかの?」
評議会員C
「不可侵を与え、戦力を消耗した北西の大陸を叩くかの?ひゃっひゃっひゃ」
評議会長
「くだらぬ。無視しておけ」
王
「静観せよ。関わるな。我が国では、均衡を保つ。」
評議会全員
「王の仰せのままに!」
アインと言う異質な存在が《グランツオリオン》の世界に誕生してから、全世界の均衡は歪み始めたのであった。
当の本人、アインはそんな事全くお構いなしに過ごしているのだが
アイン
「見てご覧!こうやってアパルカは1度胃に入れた干し草を口へ戻して、再咀嚼を始めるんだぁ!」
ミュカ
「っ!なんでこんな事するのかなぁ!不思議可愛いなっ!」
能天気なアインと能天気なミュカは波長が合うようだ
ケットシー
「おい、ブサイク。美女はどこだニャ?」
久しぶりにケットシーが尋ねてきた
アイン
「クレオパトラなら受付のリン達の所へいるよ!」
ケットシー
「この女も。ブサイクでは無いニャ。」
ミュカの顔を覗き込み、そう呟く
ケットシー
「でも、あの美女が1番だニャ。さらばだニャ〜」
クレオパトラのいる、アイン城へ入って行った
ミュカ
「っ!!!アイン、お前!ケットシーと知り合いなのか!?」
目を丸くして尋ねる
アイン
「もちろん!友達だよ!だからアパルカが俺の町に居るじゃないか!」
ミュカ
「ケットシーは竜種ほどの戦闘力がある!あのケットシー1匹で、普通の国なら平気で半壊以上の損害が出る最上級精霊だぞ!?しかも、同じケットシー族としか親交を深めないで有名だ!」
アイン
「そんな事知らないよ!どーでもいい!ケットシーがどれだけ強いとかも、全く興味もない!俺は、この世界で不思議に思った事だけを知りたいだけなんだから!」
ミュカ
「お前。本当に地位や名誉が欲しい訳じゃないんだな。数週間、ここで暮らして見て分かったんだよ。町のみんなは幸せそうで。仕事に汗を流し、助け合い、食卓をみんなで囲み、誰1人として強さを求めていない。まぁ、お前達が強すぎるから安心してるってのもあるんだろうがな。不思議な国だ。」
アイン
「俺の中では、普通だと思っているよ。普通を維持する事はとても難しいって事は理解しているよ。でも、俺はここの住民の「普通」を守り抜く、そのためだけに、与えられた力を行使するよ!」
ミュカ
「不思議な男だな。」
クレオパトラ
「ミュカ!仕事へ戻るぞ!ゴンゾウじぃさんの帽子が飛ばされて、煙突へ引っかかってるそうだ。帽子救出作戦へ出動する!」
クレオパトラが真顔で伝えた
アイン
「これでいいんだよ。」
俺は幸せを噛み締めた
その夜、夕食後
ラムセス
「アイン様。北東大陸の王、ソドグ皇帝から直筆のお手紙が届きました。読み上げますか?」
アイン
「あぁ、頼むよ」
島の領主殿へ
先日、我が皇国南部領より軍を出撃させてしまい申し訳ない。謹んで謝罪申し上げる。
言い訳になるが、南部領主の独断で軍を派遣したようである。
我が軍、聖騎士ミュカが貴国に捕虜として囚われて居ると情報が入った。
聖騎士ミュカの返還と、今後の関係性構築の為、ゴッゴ皇国皇帝ソドグが直接、交渉にお邪魔したいと存じ上げておる次第。
ご返答願う。
ラムセス
「だそうです。」
ミュカ
「ソドグ皇帝…」
アイン
「いいんじゃない?ミュカも祖国へ帰りたいでしょ?話し合おうよ!」
ベリサリウス
「アイン様、また罠かも知れませぬぞ。」
ミュカ
「っ!お言葉ですか!!あっ、すまない。会話を遮ってしまい…ソドグ皇帝は…そんなお方ではありません…1度吐いた言葉を、書簡であれ、覆すようなお方だと思って欲しくなくて…本当にすまない…」
アイン
「ミュカもこう言ってる事だし!ね?」
ナポレオン
「別に、我々は構いませんぬぞ?反意あらば命を刈り取るだけですので」
ベリサリウス
「ミュカよ。お主の主張を信じる為にも。ここでソドグと言う奴のアルティメットスキルの内容を申せ」
ミュカ
「それだけは…出来ません…申し訳ございません…」
ベリサリウス
「ほう。それでは、このソドグの書簡とやらは、罠の可能性が出てきたな?」
ミュカ
「それだけは絶対にありえません!ソドグ皇帝は正々堂々!それだけが信念で生きておられます!」
ベリサリウス
「正々堂々か。ふむ、読めた」
ミュカ
「…!?何を言っている??」
ベリサリウス
「アルティメットスキルは、その本人の背景に多く依存する。例えば、ナポレオンのアルティメットスキルは、元々砲兵出身者だから砲撃のアルティメットスキルだ。クレオパトラのアルティメットスキルは、毒蛇の研究をしていた事からコブラの召喚だ。アイン様に然りそうだ。お主、正々堂々と言ったな?それだけが!と」
ミュカ
「…」
ベリサリウス
「アンチ系のアルティメットスキルだろう」
ミュカ
「!!!!」
ミュカは驚いた。このベリサリウスと言う男。本物の天才なのかも知れない。
ベリサリウス
「身体強化系解除、魔導増幅系解除、下手したらアルティメットスキル発動リセットとかもありえるな」
大正解であった。
ソドグ皇帝のアルティメットスキルは
《オールアンチロック解除》
全ての効果を無効にする能力であった。
今まで仕えた王が幾人もこの男に嫉妬し、このベリサリウスと言う天才を追放し続けた。
ほんの少しの情報で、ありとあらゆる仮説を立て、そのほとんどが核心を突く。生粋の天才ベリサリウスである
アイン
「関係ないよ!俺達はこの町を守るだけ!それだけさ!」
偉人一同
「アイン様の仰せのままにっ!」
ラムセスが返信を書き、
4日後に再び海岸線で話し合いの場を持つ事となった




