No.12 魔狼族の実力
ナポレオンはドゥックとハナ、歩兵の兵隊2人を連れ森を北東へ進む
森に入り2日目の昼
ドゥック
「…ナポレオンさん!濃い血の匂いが!近いです!」
ドゥックは鼻先をクンクンさせながらナポレオンへ告げた
次の瞬間
大量の足音が凄い勢いでこちらへ向かって走り出した
ドゥック
「っっ!!」
既に囲まれたっ!
魔狼族の男
「なんだ。犬コロと人族か。でも、不思議な匂いだな。おめえ」
魔狼族の男がナポレオンを睨みつけた
魔狼族の男
「鼻が効くのはおめえだけじゃねぇんだよ、犬コロ。」
次はドゥックとハナを睨みつけた
ドゥック
「………」
間違いなく、この魔狼族は俺より強いっ!匂いで分かる…っ!
ナポレオン
「うーん。ネームドですか。自然にネームドが生まれるとは考えずらい。」
冷めた声でナポレオンが分析する
魔狼族の男
「おかしな奴だなてめぇ。なぜ俺がネームドだとこんなにも早く見抜く?」
ナポレオン
「いや。オーラで分かるよ。そんなもん。私がこれまでの人生、どれほどの強者と渡り歩いて来た事か。」
再び冷めた声でナポレオンが答えた
魔狼族の男
「喰ったのさ!北東の大国で作られたネームドキメラが脱走した。そいつを俺が喰ってネームドを頂いたのさっ!ははっ!」
魔狼族の男が得意げに話した
魔狼族の男
「俺の名は「ゾウラ」だ!てめぇ、名前は?」
ナポレオンを睨み、問う
ナポレオン
「私の名はナポレオン・ボナパルトだ。我が王、アイン様にお仕えする一介の下僕の1人に過ぎん。ゾウラよ。自ら名乗りを上げる姿勢。私は貴様が嫌いではないぞ。」
ゾウラ
「ふんっ。偉そうに。今からおめえは俺に食われるんだけどなっ!しっかし、おめえより強え奴が居るって事か?」
ナポレオン
「私など。アイン様に比べると何者でもない。そして、お前は俺より遥かに「弱い」」
ゾウラ
「…。殺れ。我が下僕たち。」
ゾウラが眉間にシワを寄せ、不満そうに魔狼達へ命令した。
魔狼達が一斉に襲い掛かって来た
ナポレオン
「ドゥック、ハナ。私と歩兵は加勢しませんよ。自分の命は自分で守りなさい。」
ナポレオンはそう言うと、サーベルを抜き、1歩も動く素振りを見せず、自らに迫り来る魔狼のみを切り裂いて行った
ドゥック
「ハナっ!やるよ!まずはザコ達の制圧からだ!」
ハナは大きく頷き、構えた
ドゥックとハナは、ドフ達に鋼鉄製の鉤爪を作ってもらっており、両手に装着している
一瞬で身体強化を発動させ、音に迫るスピードで魔狼を切り裂いて行った
ナポレオンとゾウラは1歩も動かず。
ドゥックとハナ vs 魔狼
との戦いが20分以上続いた
ドゥックとハナもそれなりにダメージが蓄積し、多くの切り傷から流血しながら戦っていた
ゾウラ
「甘く見てしまったな。犬コロ、おめえらは、それなりには強いよ、認めてやる。」
そう言い終えると、ゾウラは一瞬で姿を消した
ぼこーーーんっ!ぼこーーーんっ!
ドゥックとハナは一発づつ、ゾウラの重い一撃を腹に喰らい、白目を剥きながら後方へ殴り飛ぼされた
2人とも木にぶつかり、完全に意識が飛んでいる
ゾウラ
「おめえがこいつら2人を鍛えたのか?」
ナポレオン
「いや、私ではない。私と同じ立場の者がもう一人居り、その者が鍛えた。」
ゾウラ
「今の俺の一撃を見て、冷静に貴様はどう分析したよ?」
ナポレオン
「悪くない。センスはある。しかし、私からすれば、か弱き子羊だな。」
ゾウラ
「…っ!切り刻んでやるよ…!」
ゾウラは剣を抜いた
またしても、消えた
ゾウラ
「口ほどにもねえな、てめぇ。」
ナポレオンの肩から腹に掛け、剣で切りつけた
ナポレオン
「うむ。悪くはない。」
ナポレオンの身体にはバックリと切られた跡が出来た
しかし、血の1滴も零れない。
むしろ、既にその傷は修復を始めていた。
ナポレオン
「不思議か?」
ナポレオンが首を傾げた
ゾウラ
「…ありえねぇ」
ゾウラが驚いた表情を隠せない
ゾウラ
「なんなんだよてめぇは!?この世の理をフル無視じゃねーかよ!?そんなの!!」
ナポレオン
「この世。か。そんな小さな物差しでアイン様を測るな。私は下僕の1人に過ぎん。」
ゾウラ
「…ふざけんなよ…。こんなの…どうやったらてめぇは死ぬんだよ!!?」
ナポレオン 「「私は不死だ」」
ゾウラ
「…ありえねぇ。この世界は…お前達の存在は…歪んでいる…!!」
ナポレオン
「私の下に付くのであれば、命は助けてやる。お前はきっと、強くなる。」
乾いた表情でナポレオンが言った
ゾウラ
「…教えてくれ」
ナポレオン
「なんだ?」
ゾウラ
「てめぇの下に付けば…俺は、てめぇみたいに強くなるのか?」
ナポレオン
「それは無理だ。アイン様も私もこの《グランツオリオン》の世界の理から遥かに外れている。しかし、お前にこの《グランツオリオン》の頂上の景色を見せる事は可能かもしれぬな。」
ゾウラは片膝を付いた
ゾウラ
「俺を、あんたらの配下に加えてくれっ」
ナポレオン
「うむ。やはりお前は見どころがあるな。よし、村へ帰るぞ」
数十分後、ドゥックとハナは目を覚ました
簡単にドゥックとハナの治療を行い、ゾウラを連れて、ナポレオンは村へ引き返して行くのであった




