第2話
僕は、ナスと一緒に魔法学園の近くの「学生通り」を歩いていた。
魔法学園を退学した僕を心配したナスが今後の身の振り方について相談にのってくれていた。
やっぱりナスは優しいなあ。
そんなナスは僕に、
「それで、これからどうするつもりなんだよ。まずはお前の考えを聞かせてくれよ」
「うん、とりあえずは以前所属していた商業ギルドで商業人として活動を再開するつもりだよ。一応、学園での仕事ぶりは評価されているらしい」
「だからこれから商業ギルドで依頼達成の報告にいくつもり。後のことはそれから考えようかなって」
「なるほどな。商業ギルドへいくのは賛成だ。俺もついていっていいか?」
「もちろんOKだよ」
会話の途中、ナスは、
「俺も卒業まであと1年半あるからなあ。本当はおまえのように学園をやめて手伝ってやりたいんだがな」
その気持ちだけでうれしい。
だけど、実際に学園をやめると今後の進路に影響すると思うからしてほしくない。
僕たち2人は飲食店の通りをすぎ道を歩いていると、帝国民らしくない服装をした少女がぼんやり立っているのを目にした。
あの服装からして、おそらくプラチナ帝国以外の国からきたのだろう。
しかし、少女はどうしたらいいか困っている表情で今にも泣きだしそうに見えた。
僕は気になったので声をかけることにした。
「あの~。気のせいだったらいいんですけど。もしかして何かお困りですか。あ、怪しいものじゃないですよ。それに困ってなかったらいいんです」
声をかけられた少女は僕を見てしばらくぼんやりとしていた。
あ、関係なかったか。でも困ってなかったのならいいや。
「すいませんでした。余計なことを言って」
といって足早に立ち去ろうとすると、少女は僕のうでをギュっとつかんで泣き出した。
少女はリリと名乗った。
そして自分が魔法学園に入学するために帝都に来て、宿に泊まっているといきなり父親が逮捕され、途方に暮れていたということを説明した。
それを聞いた僕は、
「なるほど。冤罪かもしれないんだね。なのにお父さんを捕まえた騎士団は話を聞いてくれないと。それは辛い思いをしたね」
「リリさんとしてはお父さんが盗難をしていないことを証明し冤罪だと認めてもらってお父さんが釈放されればいいんだよね」
「なら、お父さんが盗難していない証拠をあつめ、警察省にかけあってお父さんを釈放してもらおう」
そういう僕の考えを聞いたリリは、
「え、そんなことができるの??」
と聞き返してきたが、
「無実を晴らせるかは約束できない。でも証拠を集める調査は約束するよ。このままではリリさんも納得できないでしょ。僕もやるだけやってみる。だってリリさんのお父さんは人のものを盗むなんてことはしないでしょ」
そういうと、リリは、
「うん・・・うん・・・・」
と涙声でうなずいた。
「僕は商業ギルドの商業人だ。一応、リリさんから父親の冤罪の証拠を集めると言う依頼を受けたことにするね。こうしておけばたとえ僕が失敗してもギルドが引き続き依頼を引き継いでくれるから」
そう言って、僕とナスとリリは商業ギルドへいき、所定の手続きをとった。
ナスから、
「相変わらす、人のいいやつだな。まあそれがお前のいいところだ」
と呆れた顔をしていたけど、ナスのそういう優しいところが僕は好きだ。
その後ナスとは別れ、リリのお父さんの調査に向かった。
まずはリリのお父さんと被害者との関係を調査する。
2人の間にはもしかしたら、過去になんらかの関係があるかもしれない。
つまりリリのお父さんが相手を憎む動機があるか、または相手がリリのおとうさんを冤罪におとす動機があるかを調査する。
リリのお父さんのことはリリから聞くので、まずは被害を訴えてきた相手の調査を始めることにした。
被害を訴えてきた相手はブラウン王国の文官だった。
ブラウン王国はプラチナ帝国傘下の国。当然その国の人がプラチナ帝国の帝都にいても不思議ではない。
どうやら所持していたカバンを盗られたといって訴えをしたようだ。
僕はその被害者の経歴と家族の調査をしたがずっとブラウン王国から国外へでておらず、リリのお父さんもケープルの村から国外へでたことがない。
ということは2人は面識すらないことになる。
あの飲食店で初顔合わせだ。お互いに動機がないと考えたほうがいい。
なら、ただの勘違いという線もあり得る。
ブラウン王国の文官が盗られたというものを見つけるほうが早いかもしれない。
これはもう少し時間がかかるな。
僕はリリに調査で分かったことを伝え、盗られたものを探してみると伝えた。
リリにはその間、帝都での仮宿にいてもらうことにした。ノワールとガーネットの邸宅を借りようと思う。
リリは驚いて遠慮しようとしたが、この件が解決するまでにどれぐらい時間がかかるかわからないし、このままケープルの村に帰すわけにもいかない。
そして宿屋へ泊まるにもお金がかかる。
そう説明して、リリは僕の案内する邸宅についてきてくれた。
リリの持っている荷物は父親の持ってきた茶色い四角のバッグだけだ。そのバッグを肩にかけて必死で僕についてきた。
リリは知らない男の家に住むのかと覚悟していたようだが、案内された邸宅のあまりの大きさに口をあんぐりあけて驚いてた。
そして家にいたノワールとガーネットの姿をみてさらに驚愕の表情をした。
驚きすぎて声がでないみたい。
「帝都ってすごい。こんな女神様みたいにきれいなひとがごろごろいるなんて」
ノワールとガーネットの2人は魔法学園の教師であり、学園内でも美人で有名だよと説明しておく。
それを聞いたリリは早く学園に入学したいわと目をキラキラさせていた。
暗い表情のリリがすこしでも明るい笑顔を出せてよかった。
僕はノワールとガーネットにリリの世話を頼んだ。
ちなみに、2人は僕が学園をやめたときに、一緒に学園をやめようとしていたが僕がそれを止めた。
学園での2人の人気を知っているし、教師としても優秀な2人を僕のために辞めてほしくなかったからだ。
さあ、これでこころおきなく調査をすることができるぞ。
被害者のブラウン王国の文官はカバンを盗られたといっていたので、どんな形のカバンかを調べよう。
被害者に会いに行こうと道を歩いていると、背の高いがっしりとした軍人風の青年に声をかけられた。
「君、突然でわるいね。人違いなら申し訳ないが、君は最近魔法学園を退学した「ギルド屋」かい?」




