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第3部 おまけ   とある令嬢の学園生活~通常版~

魔法学園のある子爵令嬢の一日


「お嬢様、時間ですよ。起きてください」


侍女の声で目覚める。


今日も1日が始まった。


憂鬱ではない。学園は結構たのしい。


少し派閥争いはあるが、それは家にいてても同じこと。


私はプラチナ帝国内の子爵家の娘。


お兄様がいるので結婚相手を見つけるのが目的でこの学園に通っているの。


あと、派閥ね。


家のつながりを強くするためにも上位の貴族の方についていかなくてはいけない使命がある。


貴族の学生寮は個室、または2部屋以上をもらえる。


たいていは侍女を連れてきているというのが理由よ。


公爵家だと5人は連れてきているんじゃないかしら。私は1人だけど。


そして朝。


侍女に手伝ってもらって、髪、肌、そして服と整えてもらう。


そして朝食をとり部屋の扉をあける。


「いってらっしゃいませ。お嬢様」


と声をかける侍女に、「行ってきます」と返して私は貴族棟の門へ向かうのだ。



「ごきげんよう」


という言葉に対して、私は声のしたほうにカーテシーをして敬意を示す。


派閥のトップであるデルフト侯爵家のサーラ様だ。サーラ様は私をみて


「今日も一日いい日になるといいわね」


と優雅にほほ笑む。


サーラ様は淑女の鑑として学園内でも大人気だ。


私はサーラ様の隣へ行き、今日の予定を伝える。


「本日は1限目が魔道具の授業、2限目が魔法薬の授業、3限目に淑女の嗜みの授業があります。ですが、今日の講師さまはあの「純情可憐な聖乙女」様でございますわ」


サーラ様は目を見開いて、にっこりと微笑む。


「やはり、今日はいい日になりそうですわね」


私は続けて


「そして昼休みは生徒会室の業務がありますので、昼ご飯も生徒会室でとることが許されておりますわ」


「まあまあ、それでは愛しのローレル様と一緒に食事をとることが可能なんですのね」


と嬉しそう。


ローレル様とはプラチナ帝国第3皇子ローレル・プラチアーナ様のことであり、サーラ様の婚約者でもある。


そして現生徒副会長でもある。生徒会長は第2皇子殿下がつとめている。


サーラ様は学園ですこしでもローレル様のお側にいるために生徒会の書記として入り、業務を手伝っていらっしゃる。なんて健気。


私は残りの予定を次々伝えていく。


午前中はサーラ様と同じ授業をとっているが、午後の授業は違うので別のものがサーラ様に付き添う予定だ。



昼休み。


私は生徒会室には入れないので貴族棟の個室になっている食事スペースで昼食を食べている。


ここのシェフはすばらしい。


我が家のシェフと同等かそれより上かもしれない。やはり魔法学園は違う。


昼のコースを堪能しながら、私は3限目の淑女の嗜みの授業を思い返していた。


内容はあまり残っていないが聖女ノワールさまのお姿はしっかりとこの目に焼き付いている。


しぐさ、言葉遣い、歩くたびに揺れる漆黒の髪、そして黒い瞳。もうすべてが尊い。


声もまるで歌っているかのよう。


素晴らしすぎて話の内容が入ってこないほどよ。


あれほどの容姿に加えて聖属性を持ち強力な回復魔法を操るのだから妬む気持ちなどひとかけらも起きない。


私は空いた時間で「純情可憐な聖乙女」ファンクラブの義務である、配布用パンフレットの作成をしていた。


内容は3つ折りにすること。ノルマは100枚。


これは侍女にもさせない。私の気持ちを込めて折ることが大事なのだ。


ちらと隣をみると別の個室でも私とおなじようにパンフレットを折っている気配がする。


おそらく同志だろう。


私は自分の会員カードをとりだし、会員番号0008の数字を眺める。


これを見るとテンションがあがるのだ。どんな高位の令嬢といえど一桁ナンバーは譲れない。


これは私だけのもの。


そして再びパンフレットを折り始めた。



午後の授業がおわり、今日は放課後の活動もファンクラブの活動もない日だ。


早く帰って授業の課題をしよう。


足早く貴族寮の自分の部屋へと向かう。扉をノックし侍女に開けてもらう。


「おかえりなさいませ。お嬢様」


「うん。ただいま、ねぇー聞いてよ。今日ね。純情可憐な聖乙女様を間近で拝見できたの。もう~~~~信じられないぐらい肌がつやっつやなの。どんな化粧品をつかっているのかしらね」


「はいはいお嬢様、まず扉を閉めて、部屋に入ってからお話くださいね」


侍女は私を軽くあしらいながら器用に服を脱がせ、部屋着に着せ替えてくる。もう10年来の付き合いだから慣れたものだ。


夕食をとり課題をすませベッドに入る。


「お嬢様。おやすみなさいませ」


と侍女から就寝のあいさつをもらい、「おやすみ」と私は返事を返す。


あとは最後の儀式をするだけよ。


「麗しの美剣士様、愛してます。麗しの美剣士様、愛してます。麗しの美剣士様、愛してます」


「お嬢様、うっさいです」


部屋の外から侍女に小言をいわれる。


私は「ごめん」と返す。


そう、私の心の中心に座っているのは、サーラ様でも純情可憐な聖乙女様でもない。


麗しの美剣士様なの!!!


「純情可憐な聖乙女」ファンクラブに入っているのは派閥のため。クスン。


麗しの美剣士様は学園では大人気で、ファンクラブが3つもあるの。


「麗しの美剣士様に斬られる会(貴族・平民)」、「麗しの美剣士様非公認ファンクラブ(貴族)」、「世界に私と美剣士様だけ(平民)」の3つよ。


私はそのどれにも所属しているの。当然一桁ナンバーよ。


えっへん。


そして「世界に私と美剣士様だけ」の会員からきいたのが、今はやっているおまじないなの。


このおまじないは寝る前に3回愛してますと言うと願いが叶うというもの。


だから寝る前にいつもやってるの。


ああでも、そろそろ眠たくなっちゃった。


ふぁ~あ、明日もいい日でありますように。


おやすみなさい。

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