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第3話

いま僕はプラチナ帝国の帝都プラチナムでアプリコット公爵の後継者であるクリムソン様の指示で、クリムソン様のお側で警護をしている。


大国との協定が近々結ばれるためにその代表者がプラチナムに来訪する予定らしいが、それを阻止する動きがあるかどうかを調査し、もしそのような動きがあれば妨害または首謀者の捕縛までを計画しているらしい。


とクリムソン様がそう言っていた。


屋敷にいるほぼ全員がその活動で出払ってしまったため、僕しかクリムソン様の警護を行う人間がいなかったみたい。


そして僕も家臣の一人としてだいたいの内容を聞かされた。


正直、スケールの大きな話なのでいまいちピンと来ない。なんか大国との協定を結ぶためにどうとかこうとかでチンプンカンプンだ。


・・・あとでイオニアに聞きなおそう。


でも恩義ある公爵家の役に立ちたいと思ってはいるんだ。


とりあえずいまは警護という形でクリムソン様につきっきりだ。


え、僕一人だけかって?そうだけど頼りないかな。


いま執務室で警護しているのは僕一人なんだけど、僕には僕の従者が3人もついているから、実質は警護が4人いることになるんだよねぇ。


今回は従者として5人のメイドから3名も来てもらった。僕がエクレアにお願いした。


名前はシェラにイオニア、それにリューシェ。


あ、リューシェのことはまだ紹介していなかったと思うから簡単に紹介をするね。


僕に仕えてくれている5人のメイドの一人で、しとやかで控えめながらも容姿は一目見た者全てを虜にしてしまう妖艶な美女だ。


ブロンドの髪をもち、サファイアを思わせる青い瞳をしたとても神秘的な印象を与える。


シェラは戦闘技術を買っているが、イオニアとリューシェは以前プラチナ帝国で生活をしていたことがあるというので役に立つかもと思って来てもらったんだ。


時刻は夜。


すでに月が出ているが、クリムソン様はまだ執務室で事務処理をしている。


ときおり、窓を眺めており、諜報員からの連絡を待っている様子だ。


時折り、


「ふぅ、無事でいてくればよいが・・・・・」


という家臣の身を案じるような言葉を口にする。


なんて優しいんだろうと思う。


しかし、この警護役もすることなくて立っているだけだけど気疲れするなぁ。


あと眠い。眠すぎて仕方ない。


がまんがまん。目の前にクリムソン様がいるし。


目をこするのを我慢していると、隣のシェラがそっと僕のほうをみてニコッと笑い、少し出かけてきますと僕に言い残して執務室を出て行った。


なんだろ?トイレかな?


と思いつつ僕は警護を続ける。


と、しばらくして、急に、屋敷の門が騒がしくなった。


どうやら諜報員が帰ってきたみたいだ。


クリムソン様は椅子から立ち上がり早く連絡を欲しがっている。


「待ちかねたぞ。首尾はどうだ。なにか手掛かりはつかめたか」


と気ぜわしく帰ってきたばかりの諜報員に向かい話しかけている。


「は。ご報告いたします。6大公爵の”青”の公爵様の手のものがシルバー王国の反協定派のものと会合した証拠をとらえました。証拠はこちらです。おそらく決定的なものになるかと」


諜報員がクリムソン様にメモを見せる。


「でかした!!!」


クリムソン様はそのメモをひったくるように取り見入っていた。


「これは決定的なものだな・・・よくこんなものを・・・」


「ではこれを至急父上に届けてくれ。そして私はこのことを”赤”と”茶”の公爵様に相談申し上げると伝えてほしい」


連絡係のものにそう伝え、屋敷を出る準備を始めた。


ちなみに、帝都からアプリコット公爵家の領地まで早馬で2日はかかる。


そのため帝都の公爵屋敷には、帝国の端っこにいる当主様と密な連携を取るため何人もの連絡係を置いているのだ。


「さあ、これからいそがしくなるぞ」


そう言いつつクリムソン様の目は生き生きとしてきた。


警護の僕も当然ついていく。


眠気が一気にさめた。


僕も執務室にいるよりは外に出ていくほうがまだましだ。


不謹慎だがラッキーと感じてしまった。


よかった。決定的な証拠とやらが見つかって。


気づいたらシェラも戻ってきて僕のそばにいた。


いつ戻ったか気づかなかったよ。相変わらずシェラは気配を感じさせないなぁ。



(作者に代わってエクレアからの一言メモ)◇◇◇◇◇◇◇◇◇


6大公爵はそれぞれ色の名前を持っています。色の名前を言うとき6大公爵を指すと思ってください。


アプリコットは橙です。ほかに赤、茶、青、黄、紫がいます。


派閥としてアプリコットの橙と赤と茶は協定派です。他は反対派です。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 


シェラです。


警護中ですが、麗しきご主人様が眠くなってきたようでございます。


まだ15歳にもなっていないので成長期の体が睡眠を求めているのでしょう。


であるにもかかわらず、仕えている公爵家の役に立とうと必死に頑張っているなんて、なんと健気でございましょう。


安心してくださいませ。わたくしシェラがさっさとこんな証拠探しを終えて仮眠がとれるようにいたしますので。


証拠を見つけそれをアプリコット家の諜報員に発見させるようにすればよろしいのでございましょう。


執務室を出て屋敷の外に出たわたくしはさっそくこの国全土を覆う探知魔法をつかった。


およそ周囲500kmほどでしょうか。


探知魔法で2人以上の集会とその話の内容を集め、それを集計、検索し、関係のありそうなものを探しだす。・・・・・すると


「・・・見つけた」


「ふむふむ、協定の調停時に合わせて帝国の国境の砦を襲撃・・・・・・それと要人が一同にあつまったところをを邪神に襲わせる・・・・・・・か」


この話をしている場所を探知し、その場へ転移する。いくつか脆弱な結界らしきものが張られていましたが障害にもなりません。


そしてその場にいる者たちを拘束魔法で縛り上げ、ついでになにか証拠となるものはないか探知魔法で探る・・・・・・と、服の中にメモがあったのでそれをとる。


そこには先ほどの内容のくわしい打ち合わせが書かれていた。


「これは願ってもない証拠」


これを手に、今度はアプリコット家の諜報員の居場所を探知し、さらに、催眠魔法で自分たちがそのメモを入手したと思いこませ、屋敷に戻した。


ここまでおよそ10秒。


「さて、そろそろ麗しきご主人様のもとに戻りますか」


という独り言と同時に転移魔法で私はご主人様の元へ戻った。


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