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ハイム道具屋の日常手記  作者: 夜眠
第1章:龍王祭の騒動
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48話:兄妹喧嘩 上

ノートをエイヴァに渡した後、ロルとライラは丸一日のボランティアに励んだ。


教会の仕事量は想像を絶するもので、ハイム道具屋の比ではなかった。


まず活発な子供たちの相手をし、昼になれば食事をさせ、その合間に山のような洗濯物を干し、急いで戻って散らかった食器を片付ける。


午後になる前には子供たちの昼寝の時間があるが、その間も教材の準備に追われる。その後は騒がしい子供たちを静めて授業を受けさせるのだが、人数が多いため一筋縄ではいかない。


それに加えて、教会本来の仕事もある。絶え間なく住民が祈りに訪れ、あるいは悩みを打ち明けに来る。


エイヴァたちが笑顔を絶やさず住民と接する姿を見て、ロルは「神の僕」として生きるには相当な覚悟が必要なのだと改めて痛感した。


時折、聞き分けの良い年上の子たちが手伝ってくれることもあるが、やるべきことは夜空の星を数えるように果てしなく、多岐にわたる。


エイヴァたちが人手不足に陥るのも無理はなかった。


ふと気づけば、空は夕焼けにオレンジ色に染まっていた。


教会の裏門で凝り固まった体を伸ばすロルの背後で、ライラが静かに立ち、背中をさすって疲れを解きほぐしてくれる。


「……本当に死ぬほど疲れました。まさか『マリーナさんの玩具になっている方がマシだ』なんて思う日が来るとは……」


「それは、兄さんが普段から怠けすぎているからですよ」


「エイヴァと比べれば、確かにそうかもしれませんね……」


「王子様、それにライラちゃん。本当に助かったわあ〜。二人のおかげで救われたわ、本当にありがとう〜!」


エイヴァは相変わらず巨体を揺らしてはいるが、その強靭な体にも隠しきれない疲労の色が滲んでいるのをロルは見逃さなかった。


「大したことはしていませんよ、ほとんど雑用でしたから。エイヴァこそ、目の下に隈ができています。無理は禁物ですよ」


「王子様……! もしかして、あたしのことを心配してくれてるの〜っ!?」


「待った! 抱きついてくる前に、やるべきことを言ってください!」


今度は間一髪でエイヴァの突撃を回避した。空振りに終わった獣人の男は不満げに頬を膨らませ、二人を教会の裏にある倉庫へと案内した。


そこには数えきれないほどの段ボールが積み上げられていた。その高さはロルの目線に届くほどで、二人は思わず呆然とそれを見上げた。


「これが最後よお〜。中身は全部、明日龍王祭で子供たちに配るお菓子やスナックなの〜。できれば、これを全部教会の中に運んでほしいのだけど〜」


「お菓子や点心くらいなら、私一人で……待って、重い……」


ロルが手を伸ばした瞬間、予想以上の重量に腰が砕けそうになった。仕方なくバッグから魔道具『軽量化手袋』を取り出し、段ボールを軽々と持ち上げる。


軽量化手袋の能力は単純だ。魔力を通じて触れた物品を軽くする便利な道具だが、唯一の欠点は「触れているもの」しか軽くならないため、一度に一箱しか運べないことだった。


「エイヴァさん、これ全部子供たちに? 少し多すぎませんか?」


「祭りで通りかかる人たちにも配るのよお〜。ここ数年、注文する量がどんどん増えちゃって〜」


言い終えると、エイヴァは焦った様子で振り返った。明日の教会の催しのリハーサルが始まる時間のようだ。


「王子様、ごめんなさい〜! 急いでリハーサルを済ませて手伝いに戻るから〜っ!」


「ゆっくりでいいですよ。私が何十往復かすれば終わる量ですから」


「一人じゃありません。私も兄さんを手伝います」


ライラはそう言うと、手袋なしで二つの段ボールを軽々と抱え、ロルの後ろを軽快についてきた。


運搬の途中、二人は言葉を交わさなかった。ロルが息を切らしているのを見て、ライラが体力を温存させるために気を利かせて黙っているのだろう。


だが、周囲が静かになると、ロルの思考は乱れ始めた。


一日中忙しく立ち働いていたが、あの「夢」についての問いがずっと心の中で渦巻いていた。


疲れのせいだろうか。夢のことも、ライラの学校のことも、今は脳内で混ざり合って整理がつかない。


(良い友達はできたのか? 学校の先生はどうだ? 行事は楽しんでいるのか? ……誰かにいじめられたりはしていないか?)


そんな問いが次々と浮かんでは消える。


(……いや、むしろ、今が聞き出す絶好の機会ではないだろうか?)

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