32話:Mr.ゴブリン
ロルもすぐに、最近ニュースで話題になったゲームの続編を思い浮かべた。
「もしかして、『僕と君の夏』ですか?」
「あ!はい!ロルさんもこのゲームを知っているんですか?」
「ええ、この前ニュースで続編の話題を見ましたから」
ゴブオが興奮した様子から見て、本当にゲームが好きな人なのだろう。
そこでロルもゲームの話題に合わせてゴブオと話し始めると、彼がゲームについて語る時に目が輝いているのが分かった。
多少主題から外れるとはいえ、ゴブオがこうしてよどみなく話せるのは良いことだ。
依頼人がずっと自信なく口を開けないままだと、本当に求めている要望を聞き逃してしまう可能性があるからだ。
突然、ロルは袖をそっと引かれたのを感じた。ライラの困惑した視線は、彼女がこの内容を全く理解していないことを伝えていた。
もっとも、ライラがこういう類のゲームをしないのだから、それも不思議ではない。
ロルもすまながるように、そのゲームを簡単に説明した。
「簡単に言えば、魔法も種族もない世界で、全員が人族である学園恋愛ロールプレイングゲームだよ」
「魔法も種族もない世界……なんだか目新しいですね」
『僕と君の夏』は新興企業のシリーズ第二作で、彼の紹介通り、世界観がとても目新しい恋愛ゲームだ……
とはいえ、ロル自身がプレイしている時も何とも言えない感覚があり、その感覚をどう説明すればいいのか分からなかった。
「はい!世界観が非常に目新しいため、プレイヤーから多大な好評を得ているんです。でも、僕の友人関係の中には、こういうゲームをプレイしている人がいなくて、カナイさんが初めてこのゲームについて話してくれた人なんです」
ゴブオも慌てて付け加え、表情はさらに喜びで弾んでいた。ゲームについて語ると同時に、ロルが必要な情報も次第に話してくれた。
「僕たちの好きなキャラクターもたまたま同じで、ゲームの長所と短所についての考えも一致しているんです。私はカナイさんと接するのは得意ではないけれど、彼女とゲームの内容について話している時は、すごく嬉しいんです……」
「へぇ〜、それって良いことじゃない」
ここまで聞いて、ライラの耳が思わずピクピクと動いた。ロルもライラの気持ちが理解できないわけではない。このような純粋な中学生の恋愛話には、誰もが思わず口元が緩んでしまうものだ。
ただ、今の話はロルの耳には全く別の感想として響いていた。
ロルは表情を歪ませ、声さえ微かに震えだした。
「こ……怖い、すごく怖い!」
ライラはすぐに耳を立て、驚愕の表情で彼を見つめた。
「怖いって!?兄さん、何を言ってるの!?」
「分かる!本当に怖いよ!」
「分かるんですか!?」
ゴブオも一緒に困惑した表情を見せたことで、ライラは途方に暮れて混乱した。
彼女は二人を交互に見比べたが、彼らが一体何を恐れているのか全く理解できなかった。
その時、ロルは咳払いをして、一つの偉大な伝説を語り始めた。
「むかしむかし、一人の偉大なゴブリンがいた。その名は——Mr.ゴブリン」
「どうしてわざわざ『Mr.』を使うの?『~さん』じゃだめなの?」
「そんなこと言っちゃだめだ!Mr.ゴブリンはエイブダムの伝説なんだぞ!」
ロルは激昂して立ち上がり、オペラ俳優のように大袈裟な身振りで、その悲劇の伝説を描写し始めた。
「その頃も龍王祭が近づいていた時期で、ずっと女性に縁のなかったMr.ゴブリンは偶然一人の女性と知り合った。その女性の趣味がMr.ゴブリンと同じだったため、彼はいつの間にか彼女に夢中になってしまったんだ」
ロルはサーカスのピエロのように、大げさに自分の顔を覆い隠した。
「その後、彼はその女性を追い求めるために、時間もお金も惜しみなく費やした。二人は龍王祭にも一緒に行ったんだ。その時、Mr.ゴブリンは値段の高いバッグまでプレゼントしたそうだ」
覆い隠していた手をどけ、ロルは悲しげに窓の外の青空を見つめ、この物語の不公平さを神に訴えたいと言わんばかりだった。
「結果、祭りの翌日、Mr.ゴブリンはその女性と一切連絡が取れなくなった。メッセージも面会も、相手は文字通り、忽然と姿を消したんだ。全てを理解したMr.ゴブリンは、涙ながらに伝説的な名言を言い残した——『さっさと洞穴に帰れ!ゴブリンめ!』」
ロルは大袈裟に物語を語った。一方、ゴブオは強く頷き、心から同意している様子だった。
「だからこそ、『ゴブリンよ、集まれ!団結せよ!強くなれ!』という全てが、Mr.ゴブリンが後世に残した教訓なんだ!」




