序幕
もし飛竜となって空から大地を見下ろせたなら、まるで何もないキャンバスに鮮やかな色彩を落としたかのように見えるだろう――企業を中心に発展を遂げた超巨大都市「エイブダム」は、まさにそんな場所だ。
「企業」を中心に発展したと謳われるこの巨大都市は、数多の国々を結ぶ交通の要衝に位置しており、現在は八ヶ国の交通の中心となっている。企業であれ、旅人であれ、漂流者や傭兵であれ、この地を素通りすることなど不可能だ。
国王や領主の統治を受けず、独自の法規と企業間の制度のみで形成されたこの街には、毎日あらゆる種族が行き交っている。
そして、その街の外れに、知る人ぞ知る一件の店がある。どんな依頼でも引き受ける、兄妹二人で営む道具屋――その名を『ハイム道具屋』という。
さて、今日の彼らは一体どんな依頼人を迎えるのだろうか。
ペンを動かす手を止め、オフィスの窓から外を眺める。雲一つない青空がどこまでも広がり、太陽が大地を暖め、冷たかった微風にも次第に春の息吹が混じり始めていた。
風に揺れて波打つ純白のカーテンを見ていると、ふとあの頃の日々が思い出される。
「いらっしゃい、不死鳥。五百年ぶりね」
振り返る素振りすら見せず、ただ窓外の景色を見つめながら、いつまでも色褪せない思い出を静かに噛み締めていた。
「五百年ぶりに会う相手への態度とは思えんな! なんじゃ、五百年見んうちに、随分と雰囲気が変わったではないか! セイレンよ」
現代の各国で通用する共通語を話してはいるものの、その口調には色濃く古代語の訛りが混じっており、聞いていると思わず吹き出しそうになる。
部屋に現れたのは、赤い長髪に無精髭を生やした人族の中年男性だった。もっとも、それはあくまで仮の姿に過ぎない。彼の本体は、どうあがいても死ぬことのない『不死鳥』なのだから。
かつての名を呼ばれ、女はようやく振り返った。少し懐かしむような手つきで、首元に輝く青い宝石のネックレスに触れる。
「セイレン、か……懐かしいわね。今時、私をそう呼ぶ人なんて誰もいないわ」
「ほう、名を変えたのか。今は何と名乗っておる?」
「今はみんな、私をマリーナと呼んでいるわ」
「マリーナか。ならば、我もそう呼ぶとしよう」
「あなたは遠慮してちょうだい。あなたみたいな奴が気軽に呼んでいい名前じゃないのよ」
「相変わらず手厳しいのう」
軽い軽口を叩き合った後、不死鳥はオフィスのソファに腰を下ろし、背負っていたバックパックから何かをゴソゴソと探し始めた。
「して、今回はどちらから始める?」
「先に言っておくけど、今回の私は負けないわよ」
「随分と自信満々じゃな。ならば、そなたから始めるがよい」
女の宣言に対し、不死鳥はどこか余裕のある態度を見せた。それがかえって、女のやる気に火をつけた。
彼女は自慢の触手を伸ばし、空中に浮かぶ本棚から一列の本を取り出した。高級な革で作られたその表紙には、今でも懐かしい魔力の残滓が感じられる。それは、彼女が自身の愛弟子から譲り受けた手記だった。
「見せてあげるわ。五百年前の私とは違うってことをね。さて、どこから始めようかしら……」
どこから語るべきか迷いながらページをめくると、そこには大勢の人々が一緒に写った一枚の写真が挟まれていた。
『ハイム道具屋』という名の店の前で、誰もが満面の笑みを浮かべて収まっているその写真を見て、女――いや、マリーナはふふっと笑みをこぼした。
それはまるで、我が子の成長を喜ぶ母親のような、美しく慈愛に満ちた笑顔だった。マリーナは写真を隣の不死鳥へと渡し、優しく穏やかな口調で語り始めた。
「決めたわ。まずは彼らの紹介から始めましょう。これは、呪いによって十六歳以前の記憶を失った少年と、その大切な妹が、どんな依頼でも引き受ける道具屋を営む――まるで童話のような物語よ」
私は台湾出身です。現在は自分が書いた小説を、AI翻訳を活用して日本語に訳しています。そのため、日本語として少し不自然な部分があるかもしれません。ですが、今は日本語を猛勉強中で、いつか自分の力で日本語の小説を書くのが目標です!温かく見守っていただけると嬉しいです。




