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非日常的物語  作者: 森 神奈
1シーズン

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5/6

5話 非日常的な肝試し


夏の夜。

とある山間の合宿所。

生徒たちが円になって座り、先生の説明を聞いていた。

「はい、今夜のメインイベント〜! 肝試しです!」

白上猫乃、通称「白猫先生」が両手を叩く。

その笑顔はにこやかだが、目は鋭い。

「怖がって逃げるのは禁止。最後までやり遂げなさい。わかった?」

「わかってませーん!」

大声で返事をするのは上坂翔真。

彼は既に震えており、冬の腕にしがみつく。

「ふ、冬ぅぅ!なんでこんなイベントあるんだよぉ!俺、帰りたい!!」

「……知らねえよ」冬はうんざりした声で答える。

「落ち着きなさい翔真くん」井神愛が冷静に言い放つ。

腕時計をチラリと見ながら、眉をひそめる。

「ほら、予定より10分押してる。さっさと行く」

「予定の心配かよ!」翔真が即座にツッコむ。

そのやりとりに、周囲から笑いが起きた。

どんどん出発していき、冬と乃亜のペアは、翔真&愛の後。

提灯を手に持ち、暗い森の小道を進む。

「やれやれ……肝試しってのも、ほんと暇つぶしにちょうどいいな」

乃亜は余裕の笑みを浮かべている。

「怖がる暇もなく顔引っ掻くなよ」冬は呆れ顔で返す。

遠くで翔真の叫び声が聞こえた。

「ぎゃあああ!!出た出た出た出たァーーー!!」

「それ、人間だから」愛の冷静なツッコミが木霊する。

冬は苦笑しつつ、提灯を持つ手を少し強く握った。

だがその瞬間。

背筋に、ぞわりと冷たい感覚が走った

「……おい乃亜。気づいたか?」

「ん? ああ」

乃亜は真剣な目をして、前方をじっと見ている。

小道の先に、ひとりの少女が立っていた。

白いワンピース。

顔は髪に隠れて見えない。

ただ、提灯の光に照らされたその姿は、異様に静かで、まるで時間から切り離されたようだった。

冬は心臓が高鳴るのを感じた。

(……これ、冗談じゃないやつだ)

乃亜が顔を引っ掻こうとする手を止め、低く笑う。

「へえ、本物か。こいつは……退屈しなそうだな」

少女が、ゆっくりと顔を上げた。

その瞳には、深い悲しみが宿っていた。

冬はごくりと唾を飲み込む。

「……乃亜。やっぱり俺たち、非日常から逃げられないみたいだ」


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