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ツキ  作者: 葉っぱ
5/5

5

大広間を一通り探索した。

ほこり一つ落ちていることはなく、四方八方が大理石でできており、そこまでの徹底ぶりに違和感を覚えてしまった。

休憩を兼ねて、これから始まるゲームへの不安も相まって大広間で項垂れていると「大丈夫か。」と男性が声をかけてきた。


「ひぇっ。」

「なんだよ、情けない声出しやがって。」

「ごめんなさい、緊張してて。」

「んな、お前だいぶ緊張してんな。でもさ、実際は俺も緊張しちゃってさ、なんとなく仲間だと思って話しかけてみたんだ。」

男は身長は180cmほどあるだろうか。また、薄暗い中でも確認できるほどしっかりした体格をしており、こんな人でも緊張するのだと思った。


「あなた程の体格を持っていても緊張するんですね。」

「なんか失礼じゃね(?)」

「あぁ、すみません。緊張しすぎて本音が。」

「え(?)」

「すみません、すみません。僕は長田です。よろしく。」

龍司りゅうじだ、よろしくな。」

「よろしく、龍司さん。」

「長田、このゲームは何回目だい?と言っても、お前は初回だろうな。そんな感じがするよ。」

「はい、その通りです。初回です。妹に連れられて。」

「へー、と言ってもさ、ここに来るってことは前科持ちだよな?お前みたいな優しそうなやつでも悪いことしちまうんだなぁ。」

「いやいや、えぇ、まぁ。」

「まぁいいさ。俺は2回目だ。前回は運良く生き残ってな。」

「え、じゃあもしかして妹を知ってるのかも。妹も経験者なんです。」

「はて、写真とかあるかい?」

「これです。」俺は妹の写真を差し出す。車の事故があった際に興味本位で写真を撮影しておいたのだ。

「え。こいつ、知ってるよ。」

「そうなんですね。よかった。」

「こいつ、お前の妹なの?こいつさ、バカそうに見えてほんとに頭切れるんだよ。みんな大体グループで行動してたのにさ、こいつだけ単騎で10人まで残ってたから覚えてる。目立ってたなぁ。」

「へぇ、羽二がねぇ。」

「ハニって言うんだね。とにかく、そいつと一緒ならお前も安心かもね。なんならさ、俺とも仲良くしといてくれよ。俺も前回ギリギリだったからな。」

「前回ギリギリだったのに、また今回も参加したんですか?」

「やっぱ金がほしいからなぁ。それに、前回の勝者は参加するだけでちょっと金が貰えるんだよ。せっかくだからなぁ。」

「だから羽二も参加するのか。」

「おそらくそうだろうな。お、俺のペアから連絡だ。じゃあ、またな。」


休憩室に戻ると、羽二は部屋内で地図を眺めていた。それは、白紙に自分でここのフロアの詳細を記載したものだった。今入室してからここ周辺を調べていたのだ。


「すごいね、そんな事してるんだ。」

「兄貴はあたしの邪魔さえしなければいい。あたし、プロだから。」

「すごい自信だ。そうだ、龍司って人知ってる?前回の勝者だって。」

「龍司?誰だそれ。あたしあんまり他人に興味ないからな。」

「ええと、体格がでかい人。」

「いたのかもなー、あんま覚えてないけど。知らんけど、あんまり人のことを信用しすぎるなよ。ここにいる奴らは大抵ヤバいやつだからな。」


あと2時間でゲームがスタートする。

俺は緊張しながらも、ただ生き延びるために努めようと決意した。

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