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精神科入院詩

作者: 墨田ゆう

『信じる』


たとえば シーツをかえた指さき

頭のなかで見た 家で眠るわたし


たとえば みかんの皮をむいた指さき

頭のなかで見た 好きを食べるわたし


たとえば 丘のむこうを指さした

頭のなかで見た 街をゆくわたし




『昼』


昼は

朝であり 夜であり

あたたかく 寒く

光であり 宵である




『わたし』


わたしが消えていくことに

わたしいがいの人間は気づいていない

むしろ 喜ばしいことで

みんなひとつの大きないきものになって

これが幸福だとうなずいている

さよならもない 儀式もないまま

わたしはどこへ行くのだろう

だれもほんとうのことを言わない

ことばはどこへ消えたのだろう




『雪見障子のむこうには』


雪見障子のむこうには

おはじき お手玉 万華鏡

忘れたものに 手をのばすには

むこうに座っている子どもごと

ガラスを 紙を 木を

砕いてしまって

たとえおまえから血が出ようが

わたしは返してほしいの

おまえが持っている

こころや まどろみや ひかりを

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