友人の手記(2)
君の瞳には光がないと、人々は言っていたね。転じて冷淡だと言う人もいた。
実際、君はその大きな瞳を重々しい瞼で隠している。私にはその虚ろな視線が宛もなく滑るのが分かる。電車に揺られながら窓硝子ばかりに焦点が合ってしまう時のように、後ろに流れる景色の方はただぼんやりと濁って見えるのだと思う。
視力が下がっただけだと、人は言ったね。そんなのは当たり前だと言う人もいた。
でも私は君のその現象はひどく深刻であったと考える。私にはそれが良いものであると断定しえないが、最終的には君はそれを愛すことになるのだろうと予感した。
それは選ばれた人にしか授けられない、本物の救いなんだ。私は知っている。君の瞳の光は、いつも君の内側の広大な世界を照らしていたのだと。
そんな強烈な輝きは、時々このぼやけた世界にも届くことがあった。強く輝いているものや、逆に闇に包まれたものが、偶然にも君の目の前に現れた時である。君の瞼がパッと軽やかさを持つと、君の光は美しくこの世に登場してきた。それは愛すべき友と手を繋いだり、救いを求める友に手を差し伸べたりした。君の表情は決まって優しそうであった。それは消して暗いものでは無かったと言える。
君は勇敢にも夜を迎えることを受け入れていたようだね。君をよく知っているつもりの私でさえも、きっと半分も君の世界を知らないのさ。それが孤独と、恍惚を生むんだろう?いつか君が理解されないつもりで言っていた言葉さ。ちゃんと覚えているよ。
君はよく歩きながらに目を瞑っていた。はじめの頃は眠いのかと思っていたけど、どうやら違うらしい。心地良さげな微笑みがそう言っていたから。でも、君の見ていた世界がどんなに素晴らしいものか、私には分かることなんて出来ない。それが残念だけれども、




