僕がとても小さかった頃
小学校中学年ぐらいの時、僕は毎日両親に怒られていた(叱りだったか?詳細はあまり覚えていない)。それはもう毎日のことで、誕生日の時ですら怒られていた気がする。
まだ小さかった僕は夜、テレビを見たりゲームをしたりするのも忘れて、分厚い掛け布団のなかで闇を抱きしめた。ぬいぐるみの中に詰め込まれた綿のように、正体の見えない深淵はやけに柔らかかった。その時僕は特別な美しさに気がついた。
「僕がこのまま死んでしまったら、皆は悔やむだろうか、お葬式では泣くだろうか」と何度も思った。
皆の泣いている姿が見える日と、見えない日があった。
「僕が消えた世界では、この子供部屋は大して変わらないかもしれないけど、やっぱり凄く寂しくなるだろう」その時僕は小さな子供ながらに、自分自身を見つめた気がした。そして死んでしまう美しさも知った。僕の喉元を容赦なく突き刺したようなあの苦しさに、この若い命が輝いているような気がした。
それからというもの僕は学校の帰り際、何度もマンションの廊下の手すりに足をかけて、深くに構えるアスファルトの向こうを見つめた。恐怖が僕を美しくしていた。