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友人の手記
あの子はある時分から、急速に天使のような容貌を手にし始めた。いや、元々そんな子であったかもしれないが、それをあえて自覚するような著しい光曜をまとい始めた、と言ったほうがいいか。
私があの凄惨なる手記を目にした時にも、やはりあの子の成し得た矛盾をも甘受する美しさは認められた。本当に健気な子供なら、影を被って微笑んだりはしないはずだった。あの子はそういう悲しみにすら、手にかけていたというのか?単に夭折なんて言っても、あの子のは特段美しかった。緻密な計算の元に編まれた天使の羽のように、何も言うことはなかった。ただ、恣意と、必然が仲睦まじく、あの子のことを見守っていたのだった。




