12/36
諦観と恍惚
面談の時、先生が僕に言った。
ー君は優秀だから将来の選択肢なんて山ほどあるのに、遅刻ばかりしてたら良くないぞ。
先生は何も分かっていなかった。そういう選択肢は、僕にとってはもう既に捨象されたものだった。それと同時に先生みたいな無知な人も捨象されていった。僕はもっと遠くの方を見据えていた。
捨象というのは、僕にとっては抽出の裏返しであって、誰かの作ったものとか、美しくないものを僕の庭に迎えないための選別だった。僕はそういう時、決まって虚ろな目線を何処かに送っていた。それに含まれた遠い諦めは、僕自身の恍惚とひどく似て、表裏一体となって目の前の世界を滑ってゆくのであった。




