2話
ああ。腰が痛い、あの後に布団を床に敷き寝たのだが...。
やはり毛布を下に敷きその上に寝るのは身体の負担が酷い。
「んんっ。ふぅ。」
体を伸ばし、体の凝りをほぐしながら自室のドアを見て少女の事を思い出して様子を見に行く事にした。
自室のドアを開けようとドアノブに手をかけると
「イヤッ!来ないで!」
部屋の中から少女の声が聞こえてきた。声からは恐怖が感じられ怯えているようである。
「大丈夫だよ。昨日、君が倒れているのを見つけた助けたんだ。君の体が治っているかだけ確かめさせてくれ。」
助けたことを穏やかに伝えると、部屋の中から息をのむ声が聞こえ、また少女から返事があった。
「分かったわ...。ゆっくり入ってきて...。」
おそるおそると言った感じではあったが許可が出たのでゆっくりドアノブを捻り部屋に入った。
「失礼するよ。」
部屋に入り、ベットを見ると隅の方に布団に包まり震えている少女が目に入った。
「体の様子を見たいから布団から出てきてくれないかな?」
「どうして私を助けたの?」
「うーん。君がかなり弱っていたからね。そのまま見殺しにするほど僕は酷い人間ではないよ。」
少女は私をジロジロ見た後におそるおそると布団から体だけ出てきた。しかし、頭だけは布団で固くガードしており手で押さえている。
やはり蛇がついていることは隠していたいのだろう。
しかし、そう隠されていると体の様子を見にくい。
「あー、最初に謝っておくけど昨日、君の頭を見ているから隠さなくても良いよ。」
「えっ、」
少女は私の言葉を聞き一瞬固まり、後ろに後ずさった。
「や、やめてー!」
少女はいきなり叫び、手をブンブンと振り回している。
「だ、大丈夫だから!君の頭の蛇のことは知っているけど何もしないから!」
「うっうぅ。」
少女は涙目である。
「大丈夫だからね?こっちにきてくれる?」
「うん。」
少女は再びこっちにきてくれた。
手足を簡単に見てみても傷は治り、顔色も良さそうだ。少女に体の痛みなど無いかと聞いても無いとのこと。
そして頭だが...。やはり蛇だ。昨日は暗くてよく分からなかったが緑かかった黒髪に同じような色の蛇が1匹生えている。
蛇は少女、同様に元気になっており私に対してシャーシャー鳴いている。
ぐぅ〜〜。
お腹の音だ。
少女の方から聞こえてくる。
あっ顔が赤くなってる。
「お腹すいたよね?朝ごはんの準備をしてくるから待ってて。着替えも用意するからそれに着替えてから部屋で着替えて。」
流石なら着替えと言っても男一人の家なので女性用の服は無いので私の服で我慢してもらうしか無い。
食事はずっと食べていないだろうからスープで様子を見ながら別の物も出してやろう。
スープを作っていると、後ろからドアが開く音が聞こえ少女が出てきた。
「あの、この服だいぶ大きいのですが?」
やはり男用の服は大きすぎるので袖から裾までブカブカだった。
「あぁ。ちょっと待ってね。」
私は少女の袖と裾を捲り簡易的に縫い付け長さを調整した。
ズボンもずり落ちないように押さえていたのでベルトに新しく穴を開け長さを調節して、ズボンに着けさせた。
そして年を入れてサスペンダーも付けさせてズボンが落ちないようにしてあげた。
「これで平気かい?」
「はい。大丈夫です。」
「もう少しで用意できるから座って待っていて。」
食卓の方を指で指して座るように指示をすると少女は大人しく従っていたが目が泳いでおり、頭の蛇も左右と落ち着きが無い。
なんだが分かりやすいなぁ。
その後、食事の準備が終わり、僕も食卓に着いた。
「さぁ。食べようか。」
促すとスープに目が釘付けになっていた少女はすぐに食べ始めた。
「聞きたいことがあるから食べながらでいいから聞いて欲しいのだけど。まずは君のことは何て呼べばいいかな?僕はね、デニスなんだけど呼び方は好きにしていいよ。」
「サラ」
「サラか。いい名前だね。じゃあサラくん、君はなぜあの洞窟にいたのかな?もちろん答えたく無いのなら答えなくてもいいよ。」
なにより彼女の頭についている蛇について聞きたいが、なんだかデリケートな話題な気がするから洞窟に居た理由からせめて行こうと思う。
「...。」
少し考え込んでいるようだ。
「なんで蛇の事を聞かないの?」
「聞いてもいいの?」
サラは首を縦に動かして肯定した。
聞いても構わないのなら聞いてみても構わないのだろう。
「君の蛇だけど昨日洞窟で頭についていることはわかった。君は何者なんだい?」
「わ、私家にお母さんと居たら...。いきなり何人もの男の人にお、そわれて...家が燃えて...。」
サラは俯き涙声で答えていた。
「強盗かい?」
強盗かと聞くと彼女は首を横に振った。
「近くの村の人...。私たちの頭の蛇が君が悪い化け物だって...。お母さんは、私を逃すためにっ...。」
「それは...。」
つまり彼女は迫害を受けて逃げてるうちに洞窟まで辿り着いたのか。
私たちということは彼女の母親も同じく頭に蛇がついていて彼女を逃すために囮になったのだろう。
話を聞き、同情心と怒りと同時に昨日の自分が彼女に対して化け物だから見捨てるべきだという考えがあった事を思い出し、冷や水を浴びたような気分になった。
「少なくとも僕は君に対して酷いことはしないから...。神に誓うよ。だから安心して。ね?」
「うん...。」
「良かったらでいいんだけど帰る場所が無いのならここに住むかい?この家は広さの割に私一人でね。部屋は余ってるんだ。」
僕はここで、この子を見捨てたらこの子を襲った人達と一緒なのでは無いかという恐怖にも似た罪悪感を消すように提案する。
僕は知らずとはいえ一度は見捨てかけた。畜生になりかけたという恐怖が心の片隅にあることに気づいてしまった。




