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スライムを倒しに行こう

作者: シア

雨がずっと降っている。

僕は錆びて古ぼけた剣を抱えて

窓の外をボーっと眺めていた。


「スライムは弱いが獰猛だ。

雇った冒険者も大したことないな。

村の要路に居座ったスライムに

コテンパンにやられちまったよ」

村長である父は言う。


「お前も10歳になるんだ。本ばっか読んでないで

スライムぐらい倒してきたらどうだ」

父はそういい錆びた剣を押し付け

呆れたような態度で僕を追い払った。


ーーーー


雨が弱まったので仕方なく出かける準備をする。

この地域の雨は一度降ると数日は止まないので

完全に止むのを待つのは得策ではない。


気休めに磨いておいた剣を持ち

自分の家である村長の屋敷を出て

村の郊外の森へと歩き出した。


ーーーー


少し歩いて森の泉の近くの

道の途切れる場所に着くと、スライムは居た。

小さいのが7体。中ぐらいのが2体だ。

小さめのスライムは倒したことがある。


剣で小さいスライムを叩き潰すと

小さいスライムは散り散りに逃げ

中ぐらいのスライムは襲いかかってきた。


ーーーー


何匹か小さいスライムは逃したが

大体のスライムを倒すことが出来た。

「なんだ、冒険者がやられるぐらいだから

ちょっと成長したスライムかと思ったら

あっけなかったなぁ。冒険者は変なスライムだったんだ!

って言い訳してたけど」


一抹の不安を抱えながらその場を離れようとすると後ろから声をかけられた。


「ちょっとキミ、これやったのキミだよね?」

青く透き通る人型をしたナニカは

足元の水たまりを指差してこっちを見た。


まずい、本能がそう言っている。

冒険者の言っていた半分人型の

大型スライム。間違えなくこいつのことだろう。


スライム?の顔を見ながら後ずさりする。

「ちょっと」

スライムの発言と同時に走り出す

どう考えても勝てる相手ではない。

死にたくないという思いから

全力で走って逃げた。


後ろに振り向いた時スライムは

侮るような、呆れたような顔をしていた。


ーーーーーー


逃げ帰って一日。

ますます父は呆れた態度で

「あの冒険者と同じ言い訳をするのか」と

僕を突き放してきた。

村の人たちも心配はしているが

うっすらバカにしてるような気がする。


いきなり逃げ出した時のスライムの

バカにしたような侮った顔を思い出し

僕はだんだん腹が立ってきた。


「くそ...どいつもこいつもバカにして...

スライムなんて弱小生物相手に逃げ帰ったとはいえ

相手は未確認個体だぞ!なんで誰も信じてくれないんだ!」


今日はいっそう強く雨が降っている。

雨が弱まったらまたスライムを倒しにいかなければならないが

人型のスライムを思うと少々血の気が引く。

僕は気が重かった。


ーーーー


雨が弱まった。

トボトボとした足取りで森へと向かう。

所詮はスライムだ。と思いつつも

手に持った剣が震える。


泉の近くを歩いてると突然後ろから手を肩にかけられた。

「よう、少年」

少女のような高い声に驚き僕はその場で飛び上がった。

「な、なんだ!?」

後ろを見るとスライムが爽やかな笑顔で

こちらを見ている。

「ヒッ?!」

雨の影響かスライムは一回り大きくなっていて

驚愕で心臓が止まってしまうかと思った。

僕は胸を押さえながら地面に座り込んでしまった。


「相変わらず弱気だね〜」

スライムは相変わらず小馬鹿にしたような声で

こちらを見下している。

「あ、前ほどは怒ってないよ?今度は挨拶をば。ってね」


心臓はまだ高鳴っているが何故だか

少し落ち着いてきた。後ろに下がりながら

立ち上がり剣を構えてスライムの方を見る。

青い髪だ。透き通って後ろの木々が見えている。

少女のような姿をしており細い手足で

足の先端は溶けたように形を失っている。


ごくりと生唾を飲む。

小ぶりな乳房が揺れる。スライムは

一糸纏わぬ姿をしており女性器すら付いていた。


「...キミもしかしなくてもスケベだね?」


僕は勃起していた。少女の肉体に反応しているのか生命の危機に反応しているのかは分からないが

確かにまたぐらの自己主張は屹立している。

ブルーに透き通った肉体が美しく思え

モンスターに欲情している自分が恥ずかしくなってきた。


「ス、スライムめ、何言ってるんだ...お、お前をぶっ倒してやる」


「おー、こわいこわい。倒すだなんて言わないでエッチな棒倒しでもしない?一発抜いてあげるからさ」


「ふ、ふざけるな...」


怒りと恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら

後ずさりし気づけば逃げ出していた。

スライムは逃げる僕のことを

煽るような顔で見ている気がした。


ーーーーーー


再び逃げ帰って3日。

周りには完全に呆れられているが

それが気にならないぐらいには

スライムのことばかり考えていた。


「......よし」

考えがまとまったら自然に足が動き出していた。

雨が降ってるのも気にせずに僕は森に向かっていた。


「やあ、少年」

「おい、スライム」

泉で言葉を交わす。以前のような恐怖は

既になかった。


「スケベニンゲン。私に抜かれたくて

こんな森にまでやってきたのかにゃ?」


「そんなんじゃない...スライム、お前が好きになった」

「ストレートだねぇ。嫌いじゃないよ〜そういうの」


「お前の青く透き通る体に心が奪われてしまったんだ。将来的に結婚してほしい!」

「うわ〜思春期特有の瞬間発情下半身直結n...」

「ふざけないで聞いてくれ!本気なんだ!」


スライムの乳を握る。間違えた。

手を握り直す。


「...まじ?いや乳を握ったのもまじ?なんだけど」


「うん」

空を映したかのような瞳を見つめる。


「困ったにゃ...」


「これ」

ピカピカに磨かれた元・錆びた剣を手渡す。

「何これ」

「ウチの村の宝剣。これがないとオレは大人になれないんだ」

「その時が来たら僕を大人にしてほしいんだ。

それまで預けておく。指輪の代わり」


「スケベなんだから...えっちなヒト」


ーーーーーーーー


スライムと僕は付き合うことになった。

5年後、結婚式をあげ

スライムは人型スライムの赤ちゃんを

7人産んだ。

村はスライム村として有名になり

観光業で栄えたという。

久しぶりの投稿です

楽しんでくれたなら幸いですね

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