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1.

ケンゴへ

 私は幸せです。決して絶望しないでください。怒っていると思うけど、ごめんなさい。でも私はケイゴに会えて ----


「おい、起きろ」

全身が凍えるような冷たさに支配されて意識が戻る。

「バカだよなぁ本当に、本当にバカだ」

背中に強烈な痛みが走る。しかし叫ぶ気力はもうとっくに尽きている。

「お前のようなバカがバカなことをしないように我々がいると言うのに」

再び背中に痛みが走る。

「少しはこっちの立場になって考えてみろよ。いや、無理か。バカだもんな」

目の前の男は嘲笑すると、唾を飛ばす。

「なんとか言ったらどうだ」

今度はスネが痛む。痛みを誤魔化すように口を開いた。

「こんなはずじゃなかった」

吐き捨てるように呟いた。

「こんなはずじゃなかったんだ」

 男は大笑いをする。非常にうるさい。

「死ねクソガキ」

 耳が焼けるように熱い。何か怒鳴っているがよく聞こえない。

 こんなはずじゃなかったんだ。どこで狂った?どこで間違った?

 ああ...忌々しい...


 ・

 ・

 ・


 「ケンゴ、学食行こうぜ」

 講義後すぐにこちらに向かって来た友達の松尾。高校時代からの付き合いで、何かと一緒にいることが多い。腐れ縁というやつだと勝手に思っている。

 「ちょっと待って、教授に質問したいことがある」

 「おい、俺が餓死していいっていうのか?」

 「大袈裟だよ、ちょっとした質問だから」

 「食堂の激混み具合は知ってるだろ?すぐ行かないと昼食抜きになるって」

 「じゃあ先に行っててよ。俺はメシ抜きでもいいから」

 「そんな冷たいこと言うなよ、なあ行こうぜ」

 そんなやり取りを繰り返して、ふと教授を確認するとすでにいなくなっていた。松尾もそれに気づいたようで笑顔を俺に向けてく。

 「あ、教授っち行っちゃったな。じゃあ学食行くか」

 俺は呆れてため息をつく。こいつのこういうところは好きになれない。だが俺にもメリットがあるから松尾との付き合いを維持している。馬鹿馬鹿しいと思うが、生きるためには多少我慢が必要なのだ。小中高と散々教え込まれてきた道徳教育が俺の思想を形成している。

 「ちょっとそこの冴えない男子ども、置いてかないでよ」

 今度は柏木がやってくる。こいつも高校からの付き合いだ。

 「おーいたのか、俺のこといつも嫌いって言ってるからさ、一人で行っちゃったかと思ったぜ」

 「死ね」

 柏木が松尾の横腹を殴る。松尾は声にならない悲鳴をあげて吹っ飛ばされた。

 「相変わらず仲がいいな」

 「ケンゴも殴られたいの?」

 俺は手を挙げて降参のポーズをとる。柏木は不機嫌に口を尖らせて鼻を鳴らした。

 「いてて...怪力女が...」

 「もう一回いっとく?」

 「勘弁してくれ。それより早く学食行こうぜ」

 「あ、忘れてた」

 俺たちは急いで学食へ向かった

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