夜戦
―リミア姫―
「殿下……姫様」
イダニオに声をかけられて、わたしは顔をあげる。
作戦卓を前に、ぼんやりとしてしまっていた。
ギュレンシュタイン皇国南部の平原で、ゴート共和国軍一〇万の軍勢を前に、わたしは第七軍団を主力とした八万の軍を率いている。一日、両軍は睨み合いを続けていて、今はもう夜になる。
斑鳩は、大和の軍勢を率いる為に傍にいない。
「お耳に入れたほうが良いと思いまして……」
イダニオが、複雑な表情で歩み寄って来た。
わたしが許可すると、彼は囁くような声量で言う。
「大和の軍と、共和国の軍の間で、何度も人が行き来しております」
「イダニオ……まさか」
「本当です」
彼は苦し気な表情を変化させることができない。
大和の軍が、ゴートと?
いや、待て。
斑鳩が今は大和の軍勢を率いているとはいっても、あの佐々木道元は、ゴートにそそのかされて斑鳩討伐を目的とした軍勢を藤原と共に組織したのは事実だ。仮に、彼らが未だ、斑鳩排除を狙っているとすれば……。
あの、斑鳩の裁きに感謝していた佐々木道元の顔を脳裏に描き、仮にわたしの疑惑が正しいことであるならば、わたしはこれから、人をどう信じればいいのかと溜息をもらした。
「お前の他に誰が知っているか?」
「報告を齎した右翼の指揮官ホイレンス卿、その部下数名、見つけた斥候と上官、わたしと姫様です」
「他言無用となさい」
「ご安心ください。ホイレンス卿は部下達に厳命しております。よけいな混乱が全軍に波及すれば戦どころではなくなりますので」
「よし……斑鳩殿と会います」
「迎えをやりましょう」
イダニオが言い、立ち去ろうとした時だった。
角笛が激しい咆哮をあげた。
「敵襲!?」
イダニオの怒声に、わたしは怒鳴る。
「応戦! 各部隊は各個に対応! 状況を素早く把握しろ! 伝令!」
伝令達が慌ただしく現れ、わたしの指示を受けて方々へと散る。
イダニオが周囲に叫ぶ。
「斥候は何をやっていた!? いちいち指示を求めず武器を振るえよ!」
わたしは冑をかぶる。
父上の、亡骸が脳裏に蘇る。
矢と剣で命を絶たれた父上は、近衛に守られて都に帰られた。
母上や姉や弟達は動揺を隠せず、諸侯や選帝侯は次の皇帝をと復讐戦など無視したように騒ぎ始めた。
父上の死など、次の皇帝が就けばかたづくとでもいう彼らに、わたしは無視を決め込んで軍勢を率いてここにいる。
父上と共に戦い、敗れてしまった兵達は、復讐戦に戦意は高い。
だが、難しい大軍での夜襲をおこなってきた敵に嫌なものを覚える。
また、イダニオの言も無視できない。
「殿下!」
伝令の声に、わたしは歩を止めた。
彼は膝をつき、一礼し報告する。
「都からです! 皇太子殿下がお亡くなりになりました」
兄上……。
父上の亡骸を守る為に奮戦した兄上は、重傷を負っていた。
わたしは、伝令に言う。
「母上に……選帝侯にも……皇帝選出に関してわたしはどのような結果であろうとも異議は申し立てませぬと」
伝令が一礼し、去った。
どこかで喚声があがる。
大量の篝火がたかれた本陣から、戦場となる平原を睨む。
星空は、地上の地獄を無視するかのように美しい。
きらめく星々の下で、両軍の激突が行われている。
ゴート軍から、大量の火矢が夜空へと放たれた。
わたしは、後方に従う伝令に命じる。
「闇矢を返せと命じよ」
闇矢とは、黒くぬった矢である。
ギュレンシュタイン皇国軍全体では卑怯だと言われて広まっていないが、わたしの軍団では普通に使われていて、このような夜の戦闘ではとても効果がある。それは、矢がくるとわかっていれば盾に隠れることもできるが、暗闇の中を飛来する黒い矢は、直前まで気付きようがなく、兵は身を晒したままそれに襲われるからだ。
わたしは伝令達を呼び、次々と命令を出した。
「魔導士連隊を前に。味方前衛を支援させる」
「右翼と左翼に、前進命令」
「中央は後退」
「大和に……」
わたしは言葉を止めた。
斑鳩に会おうとした矢先の出来事だ。
彼の軍が、あやしげな動きを取っていたことをどう理解すべきか……。
いや、彼というよりも、佐々木だ。
新たな伝令が現れた。
「報告! 大和の軍勢! 動きました!」
なに!?
「どう動いた!」
大和は我が軍の右翼のさらに外、方角でいえば本陣からみて戦場の西端に配置している。戦闘が始まれば、ぶつかる両軍に横から接近し、ゴートに横撃をという算段でわたしがそう配置していた。
伝令が言う。
「戦場を南へと移動しております」
「南!?」
ゴートの軍勢に、まっすぐに向かっているのか!?
「姫様……」
伝令達がその声に驚く。
わたしも、驚いて振り返っていた。
「雉丸殿!」
いつの間にか、斑鳩の爺が背後にいたのだ。
彼は一礼した。
「若様からのご伝言……今夜の夜襲にて、敵は崩れますゆえ、突けば勝てると」
雉丸殿はそう言うと、わたしが瞬きした直後には、消えていた。
―斑鳩王子―
甲冑とは重くて動くのも大変なものだと思っていたが、着てみれば意外と軽い。
俺は、傍らで軍勢を指揮する佐々木に問う。
「おい、勝てるか?」
「若様の悪巧みで勝てぬのなら、この戦は勝てませぬ」
「……褒めているのか?」
「褒めております」
「そうか……ありがとう」
佐々木が、武将たちに命令を届ける伝令を発した。
大和の軍勢は、武士と呼ばれる身分の者達を中心に、仕える歩兵で組む小隊を一個小隊とする。その小隊が集まり、中隊となり、大隊となり……今は五個大隊規模の軍勢で五〇〇〇ほどが戦場にいる。ここにアテナイ騎兵五〇〇が加わり、五五〇〇の軍勢はゴート軍へと合流する動きを取っている。
もちろん、嘘だ。
味方をも騙す行いだが、事前に姫へと相談した場合、どこかで漏れるかもと俺は心配した。
というのも、姫は信じていないが、ギュレンシュタイン軍に裏切り者がいると考えているからだ。
キングスレイ二世陛下が敗れた経緯を爺に調べさせて、俺はそう考えた。
ゴートの別働隊が、正確に、皇帝の本陣を後方から急襲しているのだ。つまり、ギュレンシュタイン軍の配置が敵に筒抜けであった証である。ただ、これだけであれば敵の情報収集能力が優れていたとも取れるが、皇帝直下の近衛が移動の為に、一時的に矢や武器を荷馬車に片付けた直後に敵襲は行われたことから、これはもう疑いようがないと考えている。
この時、皇帝の傍にあり、生き延びた者達が疑わしい。
小者には用がない。
皇帝が死に、皇太子が死んで得をする者。
宰相の夫。軍の重鎮で、宰相を妻とする彼個人を見れば得はあまりないかもしれないが、皇帝と皇太子が死に、次の皇帝がリミア姫の弟であるとすれば、若すぎるゆえ、宰相の力は増すだろう。
選帝侯の一人であるファンデベーグ。彼の息子の妻は、リミア姫の姉君だ。姉君はとても良い人で、このような疑いをしたくはないが、仮に姉君がお産みになった御子が次の皇帝となるならば、ファンデベーグは外戚として権勢を振るうことができる。御子はまだ一歳……十分に考えられる。
皇太子殿下は重傷だった。
とても助からない傷だった……生きておられたのは、執念だろう。
父親を守る為に、国を守ろうと、死ぬほどの傷を負っても、戦い、敗れても父の亡骸を運び、都でお倒れになり、意識不明となられた。
「若様」
佐々木の声で、俺は顔をあげる。
「どうした?」
「ご覧なされませい……あのように、間抜けな奴らがおりまするよ」
佐々木の言う通り、夜戦を回避するようにゴート軍へと接近する我が軍に対し、ゴート軍は陣形を整えもしない。
夜戦を利用して、貴軍に合流いたす。さすればギュレンシュタインは、こちらの動きを知るのは夜明け以降であろう。
我々の嘘を、ゴートは信じている。
無理もない。
佐々木が窓口だからだ。
佐々木は、見事に演じてくれた。
俺に不満があり、仕方なく認めたが今も挽回を狙っている。軍勢をもってゴートに攻め込むと斑鳩を騙し、貴国軍勢に接近した動きをもって、斑鳩の身がらをそのまま引き渡すものとし、以降は貴国軍勢の一翼としてギュレンシュタインと戦う次第。
俺は、ゴートとこのようなやり取りをしてくれた佐々木に問う。
「仮に、お前は本当に俺を売ったら大和の大君になれたかもしれないが、どうしてしなかった?」
佐々木は苦笑する。
「若様、某はたしかに野心があり、若様に敵対しておりましたが、一度、仕えると決めたならばそれを守ります。大和豪族の端くれ、武士の頭領として、曲げてはならないものがありますので」
「そうか……助かる」
「なに、褒美は領地でお願いします」
「お前……」
俺が苦笑した時、伝令が現れた。
「ゴートより、武装を解き合流なされよとのこと!」
俺は佐々木を見る。
彼は、頷き、吠えた。
「者どもぉ! 斑鳩様とリミア様の為に奮い戦え!」
大和武士たちの咆哮の中で、俺も雄叫びをあげた。
―リミア姫―
「この機を逃すな!」
わたしは叫ぶ。
ゴート軍左翼で、派手な爆発が発生した直後、敵の攻勢が一度止まり、混乱した後に、崩れたように後退を始めたのだ。
「騎士! 突撃せよ!」
叫ぶなり、わたしも馬上となる。
白馬の背で、後方に続く騎士達の雄叫びを聞く。
重装騎兵の集団は、槍先を揃えて敵軍へと突っ込む。それを掩護するかのように、我が軍からは大量の矢が敵へと撃ちこまれ、魔法も敵軍後方へと放たれた。
敵前衛を蹴散らし、折れた槍を投げ捨てたわたしは長剣を握る。
敵兵を、すれ違いざまに斬り捨て、返り血をあびつつ馬を加速させる。
見れば、大和の騎兵が敵軍を混乱させていた。
大和の武士団は、いうなれば弓騎兵で、それも重装なのだと見て理解する。そして彼らは、弓を放ちながら敵に接近し、斬り結ぶとまた後退し、矢を放ちながら接近するを繰り返す。その武士たちに続く歩兵達が、敵と味方の間に割り込むことで、騎兵の後退を助けている。混戦となれば、騎兵を守る陣形を取り、それが集団となり、崩れない。
ちゃんと戦えば強いのだ。
わたしは敵が崩れる光景を見て、そう思えた。そして、これまでギュレンシュタインが大和相手に連勝できたのは、大和の指揮官が愚かであったのだと理解した。
今、大和の軍勢は、わたしの斑鳩が率いている!
斑鳩!
まさか! 戦場で貴方に助けられるなんて思ってもみなかった!
敵軍を斬り裂き進むギュレンシュタイン軍重装騎兵と、敵軍に混乱を齎す大和武士団は、火矢や篝火が倒れて燃える戦場で、昔から共に戦っていたかのように見事な連携が取れた。
これは、斑鳩がわたしを飛車だとみて、その掩護の動きを自軍に取らせているからだ。
逆にわたしは、彼の動きに合わせて、飛車たる我が騎兵を操り、攻撃に厚みを持たせるために全軍に前進命令を出した。
桂馬と銀をあげるのだ。
そして、歩で敵の陣地を削る。
ゴートは崩れた。
驚くほどに脆い。
勝ち戦だと、思っていた? わたしが負けるわけないでしょうが!!!
父上の仇!
「姫!」
「イダニオ!」
「敵が崩れながらも、大和に集中しています! 大和が敵の攻勢を引きつける動きを取っています! あれでは逆に! 大和が危ない!」
「助ける!」
わたしが馬首をめぐらす。
イダニオが、部下達に合図を出した。
ギュレンシュタイン騎士による重装騎兵の一団が、大和軍へと攻勢をかけるゴート軍左翼と中央に突撃する。
燃えて明るい大地は、疾走する騎士団を煌めかせた。
―斑鳩王子―
「若、後方に」
「うん」
素直に従う。
佐々木に細かい指揮を任せていれば問題ない。
それにしても……こっちに攻撃を集中させてくんじゃねーよ!
騙したのは悪かったよ! でも、お前らの敵はギュレンシュタインだろうがよ!
あ! 矢がいっぱい……
「若、甲冑を着ていればそうそう矢が刺さることはありません。ご安心ください」
佐々木……そう言うお前の肩に刺さっているのは矢だ……。
刺さるじゃねーかよ!
刺さりたくない。
武士たちに守られて後退する俺。
情けなくない!
司令官が倒れたら大変だもの!
あのキングスレイ二世陛下だって、倒れたから今が混乱してるんだもの!
俺は死んだらいかんのだ……。
そう。
だからこそ、俺は人に生かされているのだ。
つまり俺は、生かされている。
だから俺は、皆の為に、政治を行わなければならない。
お! おお……飛んでくる矢がすげぇ……。
「若!」
武士の一人が、俺を庇った。
その人は、幾本もの矢を浴びて馬から落ちる。
俺は助けようとしたが、周囲に止められて後退を強いられる。
「若! 貴方が倒れたら! あの者も浮かばれませぬ!」
武士の一人に叱責されて、俺は後退を急ぐ。
大和軍勢が、敵の攻勢を支えられないという体で後退する。これは、ゴートの布陣を西へと大きく引き延ばすことになるだろう。敵中央や右翼は隙間だらけになり、ギュレンシュタインの攻勢に薄い守りで対抗するしかなく、分断され、各個撃破されるに違いない。
佐々木、指揮が見事だ。
彼のおかげで、大和は戦えているようなものだ。
思えば、これまでは父や兄達が指揮をしていて、ギュレンシュタインにボコボコにされていたが、それを近くで見ていた佐々木や、他の豪族たち、武士たちは、きっと不満であったろう……。
どうして愚かな者に従わねばならないと、彼らが野心と呼ぶ反抗心を育んだのは無理もないかもしれない。そして、自分達の利に重きをおくようになったことに繋がったのだと今は思うことができる。
「敵! 突撃してきます!」
ゴート共和国の軍は決して強兵というわけではないが、竜騎兵と呼ばれる竜にまたがった戦士達は恐い。
数は多くないが、一騎が恐ろしく強いと聞く。
それが、俺のほうに来てるじゃねーかよ!
あの! 飛んできているの間違いねーだろ!
「矢で射よ!」
佐々木の声で、空へと矢が吐きだされる。
竜騎兵は、竜が吐く火炎弾で矢を蹴散らすと、凄まじい速度で突っ込んできた。
「槍衾!」
俺が叫ぶ!
武士たち、歩兵達が固まり、槍を空へと突き出しながら、魔法による攻撃も竜騎兵にくらわせる。
竜騎兵は、旋回すると距離を取り、間合いを計るように後退する俺達を空から睨んでいた。
卑怯だろ!
飛ぶのは無しだろ!
飛んでいるから、矢で倒すしかないが、火で焼かれてしまう。
「若!」
俺は伝令の声に、視線を転じた。
ギュレンシュタイン軍第七軍団の軍旗を掲げた騎士の一団が、俺達へとすごい速度で突進してくる。馬蹄の轟きは地震のようだ。
騎士達が、空へと槍を投げた。
竜騎兵の竜が、硬直したように固まると、騎兵が空から地上へと落ちる。
竜騎兵は落下しつつも魔法を周囲に放ちまくり、着地と同時に抜剣しようとしていたが、風のように疾走してきた一騎の騎士が、竜騎兵の首を切断した。
白馬に白銀の騎士は、輝く笑顔で俺へと駆けてくる。
「リミア!」
婚約者の名を叫ぶ。
「斑鳩殿! 間に合いました!」
俺達は、戦場で再会する。
離れていたのは二日ほどだけど、とても長く、会っていないように思えた。
―斑鳩王子―
ギュレンシュタイン皇国南部の中心都市ミモザ。
俺はこの都市で、大和が借りている皇室所有の屋敷に入っている。
戦闘は明け方まで続き、ギュレンシュタイン皇国軍圧勝で終わっている。
ゴート共和国軍は、軍勢の半数を戦死あるいは行方不明で失い、負傷者も入れると軍は崩壊したといってもいい。
自室として使う室で、俺は爺の報告を聞いている。
「――となり、共和国元老院は撤退を可決したとのこと……しかし民意は未だ戦争継続を叫んでおり、まだまだ油断できぬ状況です」
俺は対面の佐々木に言う。
「ゴートが戦力を回復させるのに、どれだけの時間を要するかな?」
「……おそらく、三月はかかりましょう。人員補充、物資追加……停戦を呼びかければ、よろしいかと思いますが」
「そうだな。姫に進言しよう」
「しかし……」
佐々木が悩ましいという顔で言い、言葉を続ける。
「リミア姫は、たしかに皇室の姫ですが、現在においてはその立場は微妙です。若の婚約者でありますし……選帝侯達は、次期皇帝選出の儀に入ったと聞きますから、終わるまでは外交どころではありませんでしょう」
「ギュレンシュタインもゴートも、結局は大国病だ」
俺は苦笑とともに言い放つ。
どちらも、内からの圧力に弱いのだ。
そして、内ばかりに気をつかう。
「爺、それでギュレンシュタインのほうの、陛下が戦死なされた際の本陣内の詳細はつかめたか?」
「は……まだ調査中ですが、いくつか興味深い話があります」
爺は言う。
皇帝に、本陣の移動を進言したのは宰相の夫であるらしい。彼は、敵の一軍が戦場を迂回する動きをしていることを掴み、本陣を狙われてはまずいとこの進言をしたそうだが、普通は、近くの部隊に警戒なりを命じるところだろう。
いちいち玉を動かすのは、序盤か終盤だろうだからだ。
佐々木が言う。
「宰相が皇帝の死を願うのであれば、ゴートと繋がっていると仮定すると、何が見返りになりますでしょうか?」
そこが悩ましいところだ。
若い皇帝を支えることで権勢を得るという考えは成り立つが、今、それをする理由は何だろうか。
ふと、ひっかかるものを感じた。
たしか、宰相が俺と姫のことを賛成したと言っていたな……。
姫を国外に出し、皇室を意のままに操るか……。
大和に俺が帰還する際、ついてきたな、あの人。
国外に出ることで、自分が留守の間に皇帝が死んだという図を作ったのか?
「爺、頼みがある」
「なんなりと」
「宰相の身辺を調べてほしい」
「承知しました」
爺は、一礼すると姿を消す。
佐々木が目を丸くしていた。




