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10.第一回破滅フラグ回避会議

ようやく第一回破滅フラグ回避会議です。

 俺様は、侍女、メイドのアリシアさんをあーちゃんと呼ぶ事にした。気軽に接して欲しかった。あーちゃんはとても可愛らしい容姿だった。まだ、9歳とはいえ、将来美人になる事間違いない逸材だ。今から懇意にした方がいいと思った。俺様のハーレム完成時は序列第一位で入ってもらおう。それに何より同じ日本出身の転生人という処が大きい。俺様の事はクリスと呼んでもらった。呼び捨てにしてくれと言ったのだが、それは辞退された。確かに誰かに聞かれるとまずいのかもしれない。俺様の父ちゃん、びっくりする位偉い人らしいから。俺様に甘々なので気付かなかった 。


そして、あーちゃんはとても重要な事を俺様に教えてくれた。


「乙女ゲーム?」

「そうです。私は確信しました。ここは乙女ゲーム、『エターナル・ラブ』の世界です!」

「何それ?」

「日本の女子に愛されたゲームです。知らないんですか?」

「俺様はアクションとかRPGだけしか知らない・・・」

「男の人は知らないのかもしれませんね。でも、女子には、かなり有名ですよ」

「そうなんだ。でも、何で、それが分かったんだ?」

「登場人物からです。第三王子カール様、そして、クリスティーナ様・・・」

「えっ! 俺様? 俺様、登場人物なの?」

「そうです。とても重要な人物です」


 俺様はドキドキした。まさか主人公じゃないだろうな? そんなの嫌だぞ。俺様は男なんだ。乙女ゲームの主人公なんかごめんこうむるぞ。


「で、俺様はどんな役なんだ?」

「悪役令嬢です」

「・・・・・・」


 俺様の知らない単語が出てきた。悪役令嬢? 何それ? でも、気のせいか、悪役ていう単語が・・・


「あの。もしかして、悪役令嬢って、悪い奴?」

「奴ではありません。悪い令嬢です」

「俺様、何するの? 俺様悪い事したくない!」

「クリス様は、この世界の主人公に散々嫌がらせをして、最後は大体、死刑になります」

「ひゃっ、ひっぃ!!し、死刑!!!!」


びびった。死、死、死刑・・・・


「俺様どんな事するの? 死刑って、そうとう悪い事しないと、ならない様な気がする・・・」

「おおむね、主人公の恋路を散々邪魔をして、主人公の攻略対象とうまくいくハッピーエンドだと、暴言吐いて、死刑、うまくいかないバットエンドの時も暴言吐いて、死刑・・・」

「暴言だけで、死刑って、酷すぎない?」

「良く考えると酷いです。ゲームしてる時は気が付かったんですけど、悪役令嬢は精神的に悪い事はたくさんするんですけど、人殺しする訳でもなく、大抵、男性に不敬をかって、死刑になるんです」

「それって、激しい悪口言って殺されるって事?」

「良く、考えたらそうですね」

「・・・・・・」


何なのこの世界? ものすごい男尊女卑じゃん? おかしくない?


「言われてみると、ここはかなり特殊な世界です。貴族社会で、優雅ですけど、陰湿な世界ですね。女性らしい表現世界なのかもしれません」

「そんな事言うと、女の人から怒られるから止めて・・・」

「はい、そうですね」

「それで、俺様って、どんな人物なの? 生い立ちから、最後まで覚えてるの?」

「あっ、はい、重要人物なので、ある意味、影である悪役令嬢がいるから、光の主人公が際立つんです」

「俺様、影の方なんだね・・・」

「あっ。ごめんなさい」

「いいよ。別に女の子の主人公なんかになりたくないよ」

「納得して頂いたのなら、思う存分知っている事をお教えします。覚悟してください」

「あい」


 あーちゃんが教えてくれた悪役令嬢クリスティーナ・ケーニスマルクは意外と可哀そうな娘だった。


 右大臣の侯爵令嬢として生まれ、蝶よ花よと育てられ、我儘で、高慢ちきな令嬢と育った。ここまでは俺様も知ってる。しかし、7歳で母親が急死し、あんなに愛してくれた父ちゃんが母ちゃんの死後、3ヵ月もしない内に、後妻を迎え入れる。後妻は妾だったらしい。貴族には妾が公然といる。父ちゃんは母ちゃんが亡くなって僅か、3ヵ月で再婚するのだ。しかも、俺様と同い年の連れ子を連れて・・・その子は父ちゃんそっくりで、父はすぐに自身の子である事を宣言する。そして、父ちゃんの愛情は段々薄れ、後妻と連れ子の方へ・・・そして、クリスティーナには第三王子という婚約者がいるが、婚約者も政略結婚であり、クリスティーナを愛してくれない・・・承認要求なのではないだろうか? クリスティーナは誰かに愛されたかった。それで、このゲームの、誰からも愛されるヒロインや、ヒロインの正当なライバルに対して散々嫌がらせをする悪者になるのだ。もちろん、第三王子は平民出身のヒロインに本物の恋をして、それを悟ってるから悪役令嬢クリスティーナはヒロインに嫌がらせをするのだ


「ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんん!ひっく、ひっく!」

「す、すいません。クリス様、平気そうだったので・・・辛いですよね? 誰からも愛されないなんて・・・でも、きってうまく回避して、幸せな結婚が・・・」

「ち、違うよ!・・・母ちゃん。もうじき死んじゃうんじゃん!」

「あっ!」


 あーちゃんは気が付いた様だ。そうなのだ。俺様は先日7歳になったばかりだ。つまり母ちゃんは1年以内に死ぬんだ。俺様には、この7年間、正確には、物心ついて数年だが、たくさん愛情を注いでくれた母ちゃんの記憶がはっきり残っている。悲しく無い筈がない。


「クリス様・・・」

「いや、いいんだ。教えてって言ったのは俺様の方だし、これからの参考になる」

「ええ、クリス様、破滅フラグを回避して、幸せな結婚をしましょう!」

「いやだぁぁ!!、嫌ぁぁぁぁぁぁああああああああだ!!!」

「へぇっ?」

「なんで、俺様が男と結婚なんてしなきゃいけないんだ?」

「でも、クリス様、今、女の子ですよ?」

「心はバリバリの漢だ!」

「そういうものなんですか? 私もそんな経験はないので分かりかねるのですが・・・」

「とにかく、結婚は嫌だ。死刑も嫌だ。つまりは嫉妬に狂って、悪い事をしなきゃいいんだろう?」

「死刑はそうですけど、結婚は回避は・・・多分難しいかと・・・」

「なんで?」

「先日、第三王子がいらしたじゃないですか?」

「そうだけど、でも、いいようにあしらったじゃないか?」

「彼が、このゲームの世界の攻略対象の第一人気の王子様なんですよ」

「でも、それが何を意味するの?」

「政略結婚なんですよ。クリス様の気持ちなんて関係ないですよ。だから、婚約は時間の問題かと」

「うげぇぇぇぇぇぇぇ」


俺様、吐いちゃった・・・


「ごめんね。あーちゃん。余計な仕事をさせて」


 俺様のキラキラをかたづけるあーちゃん。悪い事した。でも、王子との婚約を考えると・・・やばい、お代り・・・きそうだ。


「でも、ある意味、ヒロインに寝取ってもらえば、それで済むんじゃないか?」

「多分、そうはいかないと思います」

「なんで?」

「相手は王子様なんですよ。側室が何人いてもいいんです。つまり一夫多妻制です。そして、クリス様は右大臣の娘。暴言吐いて、死刑にならないなら、二人とも妻になればいいだけなんです。もちろん、クリス様はかざりになりますけど」

「なんかさー。ここって、びっくりする位、男尊女卑の世界だな。それと父ちゃん、俺様が死刑になるのにほったらかしな訳? あんなに愛してくれたのに・・・」

「死刑になる頃にはケーニスマルク侯爵様は、その・・・クリス様が疎ましくなっているのです」

「そういえば、連れ子の方に気持ちが行くんだったね」

「そうです。連れ子に散々意地悪をするから、ケーニスマルク侯爵様も、その」

「ひ、ひでぇ・・・」


父ちゃん、俺様を裏切るんだ。ちょっと、ショックだった。


「でも、なんで、そんなに連れ子情報があるんだ? 脇役なんだろ? 俺様って?」

「クリス様は脇役で悪役令嬢ですが、連れ子はメインヒロインの他に選べるサブヒロインなんです。つまり、主人公の内の一人なんです。だから、悪役令嬢のクリス様は様々な方面で活躍するのです。悪い意味で」

「連れ子、主人公なんだ・・・」


 俺様は段々悲しくなってきた。クリスって、そんなに悪い子なの? なんか可哀そうっていうか、あ! 俺様の事じゃんか! 他人事じゃねぇ!


「とりあえず、第三王子との婚約回避、それと、連れ子と後妻とも仲良くする作戦でいこう」

「はい、微力ながら、お手伝いします。同じ日本人ですから!」

「あ、ありがとう! あーちゃん!」


あーちゃんに抱きつこうとすると、あーちゃんは避けた・・・


「あ、あれ!?」

「今、男の子の悪い気持ちを感じました」

「ばれた、はははははは」


 俺様は可愛いあーちゃんに抱きつきたかった。あーちゃんはかなりの美少女なのだ。すりすりしたくなるんだよ。俺様、子犬とか子猫とか可愛い動物大好きなんだ。あっ! 決して性的な意味ではないよ。ホント、中身は男だけど、女性の体にそういう気持ちは湧かないんだ。体が女の子だからかもしれない。そんな事言ったら、自分が成長したら、自分の身体見て変な気持ちになる。それは無いと思う。少なくとも、今のところは・・・

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