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小清水清莉ちゃんでした!


「落ち着いたか?」


土手に寝転がり空を見上げる朔弥へと声を掛けて来たのはイケメンの中のイケメン、男だけど抱かれたい男のイケメンゴッド、間宮レイジだった。

俺と同じく全力疾走したにも関わらず、息一つ乱れず汗の一筋も流れてないイケメン振りを発揮しているヤツに、俺は上体を起こして答えてやった。


「………うるせえ、クッソ…もうどんな顔してアイツと話せば良いんだよクソっ!!」


昔好きになった娘に告白をして、見事に撃沈した俺なのですがぁ…。正直言って笑って話せる気が全くしなかったのだった。


「まぁなんだ、切り換えて行こうぜ?…ササラちゃんには付き合ってる奴が居る。転校初日に付き合いだしたとか、きっとあの子にとっても特別な奴なんだろう?それなら気持ちを切り替えて、次を探せばいいさ。」


ーーー簡単に言うが、そんな軽いアレがソレじゃないんだが。


「あぁでも、ササラちゃんに振られたからってすぐにサラサちゃんに行くのはやめとけよ?…軽薄なヤローって思われるのは嫌だろ?」


全くですな。………とは言え、俺だってそんな簡単に切り換えて行ける話でも無い。つい無愛想に答えてしまった。


「分かってるって、………もうほっといてくれよ。」

「分かってるなら良いんだよ。」


イケメン神の包み込みますオーラ全開の笑顔…笑顔?に、思わず毒気を抜かれそうになるのだが、敢えて愛想を消し飛ばして答えてやった。

ーーーと、そこに遅れてやって来たのは奏だった。


「ゲホッ!ゴホッ!………だっ………大丈夫……?」


全身で息をして噎せてすら居るのは身長160センチ有るか無いか程の小柄で、何処と無く女の子じみた顔立ちの少年だが、俺に対して心配そうに弱々しい視線を向けて居る。

心配してくれてるのだが、今の惨めな気持ちの俺には何と無く見下されてる様な気がして、少しイラッとしてしまった。

ーーーので、思わずコイツの首根っこを引っ捕まえて、耳元で囁いてやった。


「お前がキスしてくれたら納まるかもな?」


奏はその言葉に身体が強張ってしまったようだ。レイジさんもまた、笑顔が引き攣った表情のままドン引きしてらっしゃった。


「いや、幾ら女の子に振られたからって、そっちの道に走るのは全力で引くぞ?」

「………うん。………色々と節操無いよね。」

「なるほど、男に揉まれて鍛えてる奴は同性愛に走りやすいって現象の生き証人的なやつか。」

「………そう言うのも有るんだ…」


チクショー!!ちょっとした冗談じゃねーか!!

こうして、俺のホモ疑惑が二人の間に浮上したのだった。


ーーー

ーーーーー



ーーーそれから二人と別れて一人、道場へと向かう俺なのでしたが、その道中、嫌な場面に出くわしてしまったのだった。

それは、女の子が三人の女子に囲まれて何やら髪を引っ掴まれたり、女子トイレの方に引きずり込まれそうになってる場面だった。


制服から察するに、ウチの学校の奴だな。………どうしてこうもこの世界はイジメと言う物が止まないもんかねぇ?


「なぁアンタら、俺も混ぜてくんない?」


はい、なんかもうイラつきマックスな俺は思わず声を掛けちゃいましたよ?

するとどうでしょう?最初はイラついて見えたイジメグループの女子共だったのだが、俺の顔を見た途端に何故か色めき立ちました。


「えっ?レイジクンと連んでるサクヤクン??」

「ちょっ、マジかよ!?ーーーいや、ウチ等別にフツーに遊んでるだけだから!」

「なー?きよりん?アンタもこれから遊びに行く所だっただけっしょ?」


三人の女子にちょっとだけ愛想を振り撒かれた俺は、イケメン様に取り付くって貰おうって魂胆が見え見え過ぎて、逆に引いてたんだが、それは一先ず置いておこう。

『きよりん』と呼ばれた女子だが、軽く肘で小突かれると、笑顔でコクコクと頷くのだった。

しかしまぁ、昔からイジメられて来た俺から見れば手に取る様に状況が良く分かる。

あからさまに両目はビクビクと震えて、泣く事も助けを求める事も恐怖を感じて出来ない様だ。身体も強張っていて、何処からどう見てもこの三人には逆らえない雰囲気が見て取れた。

それもその筈だ。

きよりんと呼ばれた女子は身長からしてそれ程高くなく、150センチ未満で身体を鍛えてる様にも見えない。

逆に三人組の内、一人は小太り気味できよりんより10センチは身長も高く、如何にも喧嘩にも慣れてそうな三人組の守護者役とでも言った所か。

もう一人は背が低めだが155センチ程で、きよりんを上から圧倒するには十分だろう。…しかし、見た目には分かり難いが、恐らく実行犯役を行なってる様にも見える。後、魚顔だ。

そして最後の一人だが、これがまた微妙に綺麗系で、身長も中では一番高く、165センチは有るだろうか?

今時のギャルと言った感じなのだが、多分この三人のリーダーなのだろうか?強気な印象の顔立ちが、出来ればお関わりにはなりたく無いタイプなのだ。


しかしまぁ俺は今日の腹癒せで、ついつい割り行ってしまった。ーーーので、『きよりん』と呼ばれた女子の手を引いてこう言ってしまった。


「なぁ三人とも、今日この子俺に貸してくんない?」


そう言われて手を引かれたきよりんさんは戸惑い何も言えずにビクビクと震えて居たのだった。

キョトンとする三人だが、リーダー格が二人に目配せした後、代表して俺に対応したのだった。


「えー?サクヤクンにその子は釣り合わないって!……ウチ等なら満足させてあげられるケドー?」


まぁ下に見てるヤツに出し抜かれたらこうなりますよねー。

しかしまぁ、俺様の本意は別に有りますし、どうせ分かってるだろうから俺の腕の中でビクビクと震えて怯える女子の肩にもたれかかってこう言ってやったのだった。


「今日は後腐れ無い子の方が良い気分なんだよ。……ソレッターはやってないけど、『繋がれ!!』なら交換出来るぞ?」


そう言ってスマホを取り出した俺の固め切った笑顔に、手の中の女子は完全に世界が終わった様な顔をして居たのだが、それとは別に俺と交換する事で特が有ると踏んだらしいリーダー格は、綺麗系の笑顔で俺のアカウントと繋がっちゃう訳だった。

ーーーーイケメンレイジ様よ、すまん。後で何とか回避してくれ。


「んじゃまたねー、サクヤクン!レイジクンにも宜しくー!」


俺は手を振って三人を見送るのだが、片手はガッシリときよりんを掴んで離さなかった。

どうやら、この後自分の行く末を理解してるらしい女子は半ば諦めた様に顔を青ざめて俺にしがみ付いて来た。


「あの………出来れば壊れない程度で……お願いしましゅ…」


言葉が噛み噛みなきよりんさんに、クククっと笑い掛けると俺は彼女を伴って手近なバーガーショップへと招いたのだった。




ーーーーー

ーーー



「とりあえず、連中に付けられても面倒だから入ってみたけど、何か食う?」


メニューを眺めながら尋ねる俺の意図を理解してるのかしてないのか、きよりんさんは怯えた表情で俺の制服の袖を引っ張って答えた。


「……あの、……フィレオで……。」


彼女の注文通りに自分の分含めて注文を頼むと、適当な席に着いて貰った。逃げないと言う事は、どうやら逃げてしまうと更に酷い目に遭わされるんだろうなぁと思うと…なんて言うか、昔の自分と重なる気がして思わず苦笑してしまう。

ーーー商品を受け取った俺は、彼女の正面に座って早速バーガーに齧りついた。


「………サクヤさん………って、学校でも有名…ですよね。」


きよりんさんの言葉に、俺は首を傾げるのだが彼女は続けてこう言った。


「イケメンなレイジさんと友達で、美人な彼女さんが居るのに、……こんな所で私と浮気してて…良いんですか?」


ちょっと待て。美人な彼女さんって誰だよ。


「いや、浮気も何も俺は彼女無しの………まぁアレだぞ?未経験的な?」


性的な話に敏感になってるのか、きよりんさんはビクッとして硬直してしまった様だ。

これは色々失敗したか?……どうやら実情は根深い様で。


「よし!自己紹介!俺は篠長ささおさ朔弥さくや。一年C組、彼女無し、趣味はまぁ身体を鍛えたりとか、そんなトコ。君は?」


突然の自己紹介に戸惑う眼前の女子は、オドオドと卑屈気味に俺に答えたのだった。


「………小清水こしみず清莉きよりです。…一年D組。」

「隣のクラスか、キヨリね。かわいい名前じゃん?」


そう言われて少し俯いてしまう彼女でしたが、ちょっとだけ頰が赤い様に見えますなー。

でもまぁそれはさて置き、俺は彼女にこう告げるのだった。


「それで、どうして…とは聞かんし、あの子等からどうして欲しいとも聞かん。………けど、キヨリさんはこのまま帰っても良くないだろ?………ちょっとだけ俺に付き合って貰うぞ?」


きよりんさんはとうとうその時が来たのかと、絶望に満ちた顔をして居たのだが、俺はそれを無視して悪辣に笑った。笑ってやったのだった。


そうして食事を済ませて俺が彼女を連れて行った先は…………。



ーーー『葉達流道場』の看板が掲げられたボロ道場だった。



「ーーー成る程、朔弥くんの事情は理解しました。」


稽古時間に大幅に遅れて登場した俺は、師匠達に正座をさせられ、膝の上には大きな岩を乗せられて居たのだった。要するに、稽古をサボった罰である。

しかしながら俺の話を聞いてくれたキアさんは、道場の隅でプルプル震えて怯える女子に視線を向けてため息を吐いていた。

多分、きよりんさんはこの後自分がどうなるのか想像も付かず、怯えてるんだろうなーと思いました。


「ーーーしかし、うちは困った時の駆け込み寺では無いのですよ?……精々出来る事と言えば、学校に居る時に気に掛ける位でしょうか?」


海外系美人さんのキアさんが美しく困り顔をするのですが、俺の膝は限界を告げてますよ?助けては貰えないんでしょうなぁ。

しかし何やら考えがある様で、キアさんが俺を放置してきよりんへと向かうと、正面に座して尋ねたのだった。


「小清水…清莉さん。…貴女に問います。………もし貴女にその気が有れば、我が道場に通ってみてはいかがでしょうか?」

「えっ?無理です…ごめんなさい…」


即答かーーーーい!!


流石のキアさんも表情を強張らせてますよね?


「そうですか、無理強いは出来ません…し、朔弥くんを見れば確かに敬遠してしまいますよね?」


「ほーらサクちゃん、ついでに打撃訓練も追加しようか。遅れた分も効率的に鍛えないとね。」

「えっ今はちょっと待っぶべべべべべべべべべべばばばばばばばばばば」


キアさんときよりんを尻目に、俺は変わらず石を膝に乗せて固定されたまま電動回転式の回転マシンから生えたブッとい棒で殴打され続けてた。

そりゃこんなシーンを見せ付けられたら誰だって恐怖するわ!!


しかし俺の脳内ツッコミも虚しく、機械による蹂躙を受け続けるしか無かったのでした。

ーーーーそして小清水清莉はこの光景を、やはり怯えて見守っていたのだった。

久し振りに投稿です。

多大なる遅れとご迷惑をお詫びします。

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