自己紹介ってきっついなぁ
中学時代は青春なんてするだけ時間の無駄だと思ってた。
どうせわかれるのに付き合うなんてばからしいと考えていた。
まぁ、結局友達が数人しかおらず、恋人もいない俺が意地を張っていただけなのだが。
そんな俺こと田崎慎也は自称も他称も陰キャである。
今は中学卒業をし、春休みの最中である。当然常人のように友達や彼女と出かけることがない俺は部屋でスマホゲームと買いだめしたラノベ消化に勤しんでいた。
「はぁ、俺も青春したい。」
ため息とともに本音が漏れてしまったが青春したいMAJIDE。
中学時代、俺はカラオケやクラスの打ち上げはもちろんアニメ等のイベント以外で自宅から15分で着く学校より遠くに行ったことはほぼない。
なぜか。
理由は一つ陰キャだから。
ただそれだけで中学時代を棒に振った俺だがほんっっとに青春したい。
彼女ほしい、イチャイチャしたい、リア充爆ぜろ。
そろそろ高校生になるので俺は入学初日のために自己紹介を考えた。
そして入学式の日、まずは自分のクラスを確認する。
2組の21番の俺は自分のクラスに入り、席に着いた。
そしてこれからのために後ろの席のやつに話しかけようと後ろを振り返る。
男子であることに喜んだが話しかけ方がわからない。
こんにちわでいいのか?
いや朝だからおはようだな。
じゃあそのつぎは?
趣味を聞くか?
それは悪手だとすぐに理解する。
もしアニメとかを見ないやつだったら共通の趣味なんてあるわけがない。
結局話しかけられないまま担任の先生が来て入学式会場である体育館に連れていかれた。
長い話を聞いたり校歌を聴いたりと暇な時間を過ごした。
教室にもどり、ついに来た自己紹介の時間。
まずは先生が自己紹介をし始めた。
「今日から1年2組の担任になりました。新原里美です。趣味は料理で英語を担当しています。よろしくお願いします。まだ始まったばかりの高校生活に戸惑うことも多いと思うけど、一緒に頑張りましょう。では、先生の自己紹介を例に出席番号1番から自己紹介してください。」
そういわれて順々に生徒が先生の例に各々付けたし自己紹介をしていく。
そして俺の番がくる。
「こんにちわ、桜谷中学校出身の田崎慎也です。えー、しゅ、趣味は読書です。えと、あー、よろしくおねがいします。」
少量の拍手が鳴り響く。
最悪だ。準備していた自己紹介の台本があったにもかかわらず頭が真っ白になり言葉が出てこなかった。
もう俺に高校生活は終わったかもしれない。
そんな安易な絶望に包まれながら俺の高校生活は幕を開けた。