天国にしたい
ここはとある天井界。最高神の老人を含め、多くの神が集まっていた。
「皆のものよく集まってくれた。これから人間の生き方について話し合いたいと思う」
老人はそういって金のボタンを取り出した。
「今回、人間の生き方の改正案がまとまらなければワシはこのボタンを押す。よいな?」
みなは息を飲んだ。金のボタンは地上界をリセットさせるボタン、つまり生物を皆殺しさせるボタンだったからだ。
「現地上界を見てワシは地獄にしかみえん。本当は天国にしたかったのに」
最高神は遠い目をした。
「ところがじゃ。人間の私利私欲で環境破壊やら動物殺傷。ひどい有り様じゃ。しかも人間は矛盾した思考をしとる。そうはおもわんか?」
「人権問題ですね」
その他の神が答える
「うむ。人間の行動を見てて人権なんてある様に思えるか?TVもネットも人権無視。個人情報ばらまきまくりじゃ。それを止めさせようとすれば文句ばっかり。なんにでも文句。自分は棚上げじゃ」
「人間は臭いものには蓋をしますからな」
「そう。事実を見ようとせぬからセクハラは受けた側が決めるとかいうんじゃ。お前ら差別的思考でようそんな事いえるなとワシはあきれたぞ」
「最高神?何か個人的に恨みが?」
「な、なんのことじゃ?ワシはただ、人間は矛盾して文句ばっかりといいたいんじゃ」
その他の神々は思った。こないだ最高神が地上界に降りた時に何かあったのだろうと。
「ワシは地上界を天国にするんじゃ。今のままじゃ地獄じゃ。みなのもの地上を天国にするよい案を何かだせ」
その他の神々は悩んだ。
「ほらほらないのか?いっておくがワシの個人的な話でいっとるんじゃないぞ」
確かに彼ら自身も人間の思考の矛盾や利己的な部分には辟易していた。しかしその解決案がなかなか出てこないのだ。
「う〜む困ったの」
その時、一人の神が声をあげた。
「安心してください最高神。地上界は地獄じゃありません。天国です」
「は?」
予期せぬ発言にみな首をかしげた。
「だってよく考えてみてください。地上界はクレーマー天国じゃないですか」
一瞬の沈黙の後、どっと笑いがおき、最高神はスイッチをおもいっきり押した。