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88話:調べてみれば調べて見るほど、さよなら私の故郷

どこかのネズミみたいに、『ハハッ』と鼻で笑いたくなります。

 前話に引き続き……なのですが、故郷という括りの幅にもいろいろあるわけで。

 たとえば、所属は〇県の〇市〇町だったとしても、家から一番近い街は△県の△市だったりするケースもあるわけです。

 単純な直線距離なら10キロも離れていなくとも、そこに行こうと思ったら高低差数百メートルのつづら折りの峠を自転車で抜けていかなきゃいけない……そんな場所に子供(小学2年生)が出かけようとするとどうなるか。

 峠を越えてへとへとになりながら海にたどり着いたのは良いのだが、体力配分も考えずに遊びまわったあげく、帰り道で力尽きるわけで。


『朝に自転車に乗って出かけたバカが、陽が落ちても帰ってこない!』


 などと、知り合いやら近所に連絡が回って大騒ぎになるのは当然で。(笑)

 帰りの上り坂を自転車を押して歩くうちに陽が沈み、下り坂をハイスピードで疾走するうちに、『これは正直に答えると絶対に怒られる(説教時間が長くなる)』と判断。

 別の場所に遠出したんだけど自転車がパンクしたので遅くなったという言い訳がもっとも被害が少なくなりそうだと考えて、こそこそと家の近くでタイヤの空気を抜いてアリバイを(以下略)。

 まあ、玄関で2時間の正座プラスビンタ二発、頭にゲンコツ1発ぐらいで終わったから……たぶん信用されたんでしょうね。


 と、話がそれました。

 人それぞれというか、故郷というのは個人の活動範囲に影響されると思うんです。

 同じ県内だったとしても、行ったこともない場所を故郷として実感できるかというと……疑問です。

 私の場合、大学進学で故郷脱出したし、中学~高校はほぼ野球漬け。

 そういう意味では、活動的だった期間が小学校低学年に限定される私の『故郷』の範囲は他人に比べてかなり狭いのではないかと推測されるわけで。

 住居は町の隅っこに位置していて、町を構成するいくつかの集落とはあまり関わりがなく、そもそも町そのものも属する市の隅っこに位置していて、中心部とは無縁に過ごしました。

 高校は県庁所在地にあったのですが、野球漬けですから、活動範囲はせいぜい駅前の書店のみ。

 つまり、私の『故郷』は子供の頃遊んだ山と川、中学高校の通学路と、本屋のみ。


 ……ああ、うん。

 深く考えるのはやめます、ウツになりそう。

 まあ早い話、今も連絡を取り合う故郷の友人からもたらされる情報は、私の『故郷』とはほとんど重ならないわけですね。

 だから、前話の『母校の小学校が何年も前になくなってた』みたいな事態に。

 まあ、友人からもたらされる情報もかなりアレなのですが、所詮友人も県庁所在地に住む『街モン(田舎もんに対する街モンみたいなニュアンスで)』なので。

 しかも。


 私の故郷(町)<<私の故郷(市)<<<<<私の故郷(県庁所在地)<<大学時に住んでた街。


 はは、故郷脱出したら、故郷でほかの追随を許さぬ大都市(県庁所在市)よりも大きな街に住むことになったでござる。

 うん、情報に切実さが足りないというか。(笑)


 私の故郷(県)には映画館(シネコン系含む)がありません……という自虐ネタで笑いが取れるのは県庁所在地在住レベルまで。

 そもそも、昔はここに映画館があったと言える人間はいいのですが、『そういう施設が世の中にはあるって知ってるけど…』というのが、私の故郷のスタンダードになります。

 私は、高校進学で街に出たから『街の雰囲気を知ってる街モン』と周囲の人間には見られてました……ネタじゃないのです、本当なのです。(笑)

 大学進学で故郷を脱出し、『コンビニさえあれば生きていける』とか『このアパートならコンビニが近くにあるから不便ではないと思いますよ』などという言葉を耳にするたびに、『そうか、私の故郷(町)は人が生きていけない場所なのか』などと、心の中で黒い想いがわきあがるのを感じていました。

 ついでに言っておくと、私の故郷(町)は、私の故郷(県)の中ではそれなりに上位の都市レベルにあったりするのです……。

 私の故郷(市)の中に含まれる町は全部で8つ。

 私の故郷(市)は、県で2番目(合併の影響で今は3番目になったらしいが)に大きくて(人口数)、私の故郷(町)の人口は、私の故郷(市)の人口のおよそ6分の1。

 つまり、こうなる。


 県で二番目に大きい市の中の、二番目に大きい町。


 わぁお、都会だ。


 うん、面積とか人口密度とか無視して人口の数だけで説明するのがポイント。(笑)

 正確に言うと、私の故郷(町)の中でも、私の住んでいた地域は人口密度がかなり低いです。

 小学校の校区内に信号機がないという時点でお察しください。


 田舎が田舎であることをなめてはいけません。

 これはもう、『山をなめるな!』レベルのお話。

 田舎はもう、本当に田舎だから田舎なのであります。


 ネットで調べた市の歴史情報で、『某店がオープン』とか、『某店が閉店』などと書かれてて、涙が止まりませんでした。

 そうだね、田舎だと大きな店がオープンするって一大事だもんね……。

 でもそれは、市の中心部のおはなし。

 何度でも言おう。

 田舎には、コンビニも商店街もないんやでー。

 小学校の校区には、そもそも商店が存在しないの。

 あ、いっけね。

 もう、小学校もないんだった。



 ……ワラッテクダサイ、オネガイシマス。


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