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71話:竹とんぼ制作

笹の葉プロペラとかもあったなあ……。

 いや、刃物の話を書いたら懐かしくなっちゃって。

 子供が刃物に触れる機会が少ないというのは、私が子供だった頃の大人たちも同じような認識を持っていたらしく。

 田舎らしいとは思うのだが、『竹とんぼ(と竹馬)を作ろう』的な催しが突発的に小学校で開催されましてね。


 で、見事にハマったのが私。(笑)

 正確に言うと、学校で私だけがハマった。(笑)

 カッターナイフでは細部の仕上げが思うようにできない(次兄いわく、お前が不器用だから)ということで、お年玉をはたいて小刀を購入。

 やべえ、こいつは、小刀だぜ……などと、ネタを含みつつも、包丁やカッターナイフとは一線を画する(個人的偏見)小刀の構造というか、これこそが刃物だと感動。

 ちなみにこの頃、次兄は鋼線の切れ端などをどこからか入手して、ハンマーで叩いて叩いて、砥石で形を整えて、またハンマーで叩いて……いわゆる鍛造ではなく削り出しによる小さいながらもナイフの制作に傾倒。

 そして長兄は、ラジコンカーのレースの合間に、爆竹などから火薬を取り出し、起爆装置を用いた『なんちゃってボカン』の制作を。


 あれ、この3兄弟ヤバくね?(笑)


 うん、田舎はのどかで、古き良き時代なのだ。

 まあ、そういうわけで不器用ながらも私は小刀片手に、竹とんぼ制作に没頭……もちろん、ランニングと素振りは日課。

 とりあえず最初はいくつか作って、飛ばして、ああでもないこうでもないと頭を悩ませながら修正して、また飛ばして、再度の修正で竹とんぼ破損の繰り返し。

 回転させる軸をつけたままのノーマルタイプから、刃だけを飛ばす分離タイプ。

 空を飛ぶんだから軽いほうが良いだろう……と軽量化してみたところ、確かに瞬発的な上昇力は目を見張るものがあったが、すぐに回転が停止してしまうのだ。

 まだ10歳にならない子供に、運動エネルギーとか、慣性の法則は少々荷が重く、『ああ、そういうものなんだ』と納得するしかなかった。

 強い回転力を与えるためには……と、軸の一部分だけを太くしてみたり。

 これは、軸の半径を大きくすることによって……などと考えたわけでなく、ただ単にちょっと太いほうが回しやすいという、経験則に従ったカスタムだ。

 竹とんぼの刃の角度を付けるためには、材料である竹の厚みが必要となる。

 よし、ランニングがてらに素材を収集しにいかねば。

 ……以前も書いたが、この頃から私の『オタク気質』は明らかだ。(笑)

 ヘンタイ国家日本の職人の魂がどこからともなく紛れ込んだようだが、その魂にふさわしい手先の器用さが与えられなかったのは残念である。

 悔しいことに、長兄も、次兄も、かなり器用なのだ。

 長兄は、プラモ製作のかたわらジオラマ(一言で言うと立体模型。プラモデルのサイズに合わせた建物や自然物を制作し、そこに配置して、まあ撮影したりする)製作なんかも手がけていたし、釣り道具やルアーなんかも自分で作っていたからかなりのものだろう。

 まあそれはさておき、良い素材を求めてあちらこちらに……うん、今思うと他人の私有地の竹を思いっきり盗んでいるぞ、私。(時効ということで)

 無断で失敬してきた竹を、ある程度ばらして、乾燥させて……気が付くと、次兄が竹ひごを作って鳥かごを作ったり、水鉄砲を作ったりしている。

 憎い、その器用さが憎い。

 悔しかったので、私もチャレンジしてみたが思うようにいかなかった(特にカゴ関係)……ただ、竹という素材がモノづくりにおいてめちゃめちゃ便利だなあということはわかった。

 などと油断していると、長兄がこっそりと竹で釣竿を作っていたりする……しかも継ぎ竿だ。継ぎの部分に色をつけた糸を巻いて補強及びおしゃれにしているのが無駄にテクニカル。(笑)

 ただ、竹という素材は本当は1年以上自然乾燥させて加工するのが普通らしい。

 まあ、乾燥させない竹は削りやすく、竹とんぼ制作の練習としては悪くなかった……質は落ちるが。

 気が付くと、長兄と次兄が共同で、水鉄砲を改良した庭への水撒き機を制作……冷静に考えると、あまり実用性はないのだが、この時点で私は兄たちに対抗する愚かさを悟った。

 私は竹とんぼ一本に絞ることにした……10歳になる前から負け犬人生である。

 ああでもない、こうでもないと、改良、時に改悪を重ね……ここでようやく、『空を飛ぶ』というのはどういうことかについて考えるようになった。

 さあ、飛行機熱の始まりである。

 紙飛行機に始まり……兄に相談して、1枚20円もする紙を小遣いはたいて購入して、羽の角度、重心バランス……もちろん全ては経験則に頼る事になるのだが。

 紙飛行機を一旦卒業し、ゴムを使った動力付きエアプレーンと、ゴムのチカラで飛ばす滑空式のグライダーっぽい何か……次兄がエアプレーンに興味を持ったので、私はグライダーに逃げた。(笑)

 長兄の伝手を頼って購入した強力ゴムを利用したスリングっぽい発射機を使って、大空に向かって機体をぶっぱなす。

 滞空時間を重視した機体が初速に耐えきれなくて崩壊するなどのお約束イベントはもちろんだが、建物に激突して破壊とか、風に乗って行方不明とか、川に落ちて母なる海へ帰っていった(推測)自信作とか、様々なイベントは、周囲への迷惑行為と近似値だったりする。

 ちなみに、この経験がベルヌーイの法則というか、野球に対する知識的アプローチにつながるのだから、人生ってのは無駄なく出来ている。

 

 そして私は、竹とんぼに帰ってきた。

 多少なりとも小刀の使い方が向上したのか、久しぶりの竹とんぼ制作はそれなりにサクサク進み。

 某漫画に影響されて、対人攻撃仕様のブレード(私命名)を作ったり、1本の軸に3本の刃をとりつけた3兄弟(私命名)は、名前はともかく生まれて初めて次兄に感心された。

 ちなみに、竹とんぼの刃の揚力に差をつけて、軸を回転させると、上から順番に空へと飛び上がっていく感じのモノ。もちろん、刃をセットする順番が狂うとダメだし、回転軸の太さの問題があって、成功率は低かった。

 でもやっぱりメインは滞空時間の長さに重点を置いたものである。

 回転がすぐ止まらないようにある程度の重みを残しつつ、最高高度に達したあと、緩やかに落下してくるようなそんなものができるかなあ……などと試行錯誤するうちに、ちょっとしたお遊びで作ったのがこれ。

 グライダーで使った発射機で竹とんぼの刃の部分を空へ……落ちて来るさい、くるくるくると刃が回転を始めるタイプ。

 ただめちゃくちゃ風に弱く(以下略)。


 まあ、そんな感じで色々とやりました。

 風の影響もあるけど、滞空時間1分に迫るかなりの自信作が、ほんの1削りでいきなりダメになってしまうとか、ものすごく微妙なバランスで成り立っているんだなあと、世の無常を知ることが。(大げさ)


 しかし、ボール遊び禁止の公園で竹とんぼが許されるとは思えないし、今の時代、都会では飛ばす場所が確保できないから竹とんぼは作ることしか許されないかもしれない。

 個人的に言えば、飛ばして修正、工夫して飛ばしてまた修正、の繰り返しこそに楽しみの大部分というか、充実感とか達成感があるような気がします。

 まあ、竹とんぼ以外の、何かでそういったものを経験できればいいだけのお話。  

竹は便利なんだけど、手入れが行き届かないと周辺がボロボロになります。(笑)

竹とんぼとか作ったけど、割り箸を使ったゴム鉄砲なんかは作ったことがない私。

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