7話:陸上競技場に吠えろ
8時間で7話か……文字数の割に時間かかったけど、こんなもんかな。
友人がポツリとつぶやく。
「……納得いかねえ」
さっきあれだけ愚痴って、シャワーを浴びてなお怒りが収まらないようだった。
木曜日は、彼の行きつけの銭湯がお休みであり、こうして私のアパートまで風呂を借りに来る。
友人は陸上競技部に所属しているのだが、本日は部全体で大学近くの陸上競技場まで足を運んで合同練習を行っていたらしい。
もちろん、個人がそれぞれ使用料を払ってのことだ。
下が土とはいえ、1周400メートルのトラックを備えた練習場が大学にあること自体恵まれているとは思うのだが、やはり競技場のタータンというかアンカーというか、とは勝手が違うらしい。
短距離、中長距離、跳躍、投擲パートの人間が、トラックの中央の芝生に入って体操やら準備運動を始めようとしたところ。
「あ、芝の保護のため、中に入らないでください」
などと、競技場職員にダメ出しされたのだとか。
それで困ったのが、投擲の選手たち。
テレビ中継でご覧になったことがあるだろうか?
トラックの中の芝の部分で、ハンマーやら円盤やら槍が飛ぶ。
つまり、中に入るなってことは……。
「投擲は、競技場外の、第二サブグラウンドでお願いします」
第二サブグラウンドは、下が土というか……投擲サークルがかろうじてあるだけの、広場だそうで。
友人曰く、学校の方が設備がましらしい。
使用料払ってそれは……。
そもそも使用許可を取る際に、芝の保護云々の伝達ミスがあったらしい。
それだけならまだ許せる、と友人は拳を固める。
聞けば、この芝の保護……この陸上競技場を本拠地とする(当時)某Jリーグチームのためのものだとか。
「陸上競技場だよな?ここ、陸上競技場だよな?」
ああ、うん……気持ちはわかる。
ただ私は、野球部として過去にほかの部活を圧迫してきた過去を持つため、少々後ろめたく思ってしまうのだ。
どこかの監督さんにいたっては、サッカー部やラグビー部の連中に『おうお前ら邪魔じゃ、どけ!』などと、平然と言い放ってたし。
「陸上競技場なのに、なんでサッカーが優遇されんだよ……どっかいけよ、あいつら」
うん、陸上競技場に限った事じゃなくて、施設には維持コストというものが必要で……おそらく、その競技場にとって某Jリーグチームは最重要お客さんなんだと思うよ。
などと、友人の愚痴を聞きつつ、心の中で呟く私。
これだけ聞くと、出来た人間のようだが、他人事だからね。
多分、自分が当事者になってたら冷静じゃいられない。
あれから20年あまり。
某Jリーグチームは、陸上競技場の隣にできたサッカースタジアムを本拠地にしています。
さて、予約投稿はちゃんと出来てるかどうか…。
次に街に出てくるまで、確かめるすべがないのがなかなか笑える。