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69話:なんちゃってキャンプ

私のオリジナルアイデアではありません。

『仕事が忙しくて、息子をどこかに遊びに連れて行ってやることもできなくてね』

 などとぼやく知人に対し。

 遊びに連れていく時間がないんじゃなくて、気力がないの間違いでは……などという言葉をぐっと飲み込む私。

 正直は決して美徳ではないのである。(笑)

 そもそも私には、息子も娘もいない。

 つまり、彼は私にまともなアドバイスを求めていないということだ。(意図的な曲解)


 それで私は、彼になんちゃってキャンプを提案した。

 何かで目にした、だれかのアイデアをそのままスルーパス一択である。

 その名のとおり、キャンプである。

 その名のとおり、なんちゃってである。

 家の庭にテントを張って、そこでひと晩過ごすのだ。

 風呂は家で入る。

 余裕があれば、カセットコンロや七輪を用いて庭で食事を作る。

 バーベキューっぽく、配線つないでホットプレートを使っての調理でも良い。

 最近のいたれりつくせりのキャンプ場はそれに割と近いものがあるが、結局は遠出をするかしないかだけの違いかも知れない。

 当時、彼の息子は小学校低学年。

 まあ、運がよければいけるはず……ぐらいの、計算はあった。

 非日常、秘密基地、男の子なら、目をキラキラさせるはずの要素のはずだが、世代が変わればこの手の価値観は一変することも多い。

 さて、彼の息子にはどうだろうな……と思っていたのだが。


 よりによって、父親の方がハマりやがった。(笑)


 ああうん、男っていつまでたっても子どもの心を忘れない生き物だから。

 説明するまでもなく、子どもの心を忘れない政治家が子供の喧嘩を繰り広げているのはある意味世界共通事項であるし。

 仕事でストレスフル状態なのが良くなかったのかもしれない。

『いやあ、断熱シートを3枚重ねても、寝袋を通して冷気が身体に染み込んでくるんだよなぁ……やっぱ冬は厳しいよ』

 などと言い出したときはどうしようかと思った。

 登山はやめろよ、絶対に登山だけは興味を持つなよ……などと、心の中で念仏を唱えるように願ってましたよ。

 ほら、言霊っていうか、実際に口にしちゃうとフラグたっちゃうかもって。

 ちなみに、息子の方は3回目ぐらいで飽きたそうな。

 そして父親の方も、息子が中学にあがるぐらいで自然に(笑)やらなくなったそうな。

 無意識レベルにおける息子さんにかまって欲しいという欲求がそうさせたのかもしれないなどと思うかもしれないが……まあ、基本は秘密基地だろうと私は思っている。

 家には、奥さんと息子というか家族が居るのだ。

 テントは一人。

 私より上の世代の男性がやたらめったら求めていたらしい書斎と同じようなものだろう。


 だがな、自然に(笑)やらなくなった知人よ、今更だけど言わせなさい。

 旦那が庭のテントでひと晩過ごす……これ、ご近所さんからどういうふうに見られるか考えたことあるかね?(笑)

 だから正直に言いなさい。

 自然って、奥さんという名の大自然の驚異のことだよな?

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