54話:カレーを作ろう。
野球に怪我はつきものだ。
と、いうわけで……医者というかなんというか、私は『刺激物』を食べるのを控えるように言われていた。
中学校の給食はさておき、高校生から大学生に……で、野球を諦めるまで、私はカレーを食べなかった。
さあ、カレーだ。(笑)
だって、もう野球諦めなきゃいけないんだもん。怪我なんかどうでもいいよ、好きなもん食わせろや。
え?人生の目的を見失ってヤケになってませんかって?
その通りだよ、コンチキショー。
カレーは3日目が一番うまいとか言うよね?
だったらあれだよね。
毎日毎日、新しい材料足して作り続けていけば、家庭料理のレベルを超えたものができるんじゃね?
よっし、おらワクワクしてきたぞ。
と、いうわけで……大学時代、1ヶ月の間ずっとカレーを作り続けたことがあったのです。
今思い返すと、これが若さか、と呆れるような羨ましいような微妙な気持ちになります。
何はともあれカレーを作ろう。
まあ、普通に市販のカレールーを使ってオーソドックスに作ります。
玉ねぎ、人参、じゃがいも。
あれ、肉は?
ははは、大学生が気軽に肉なんか買えるわけないじゃない。(キリッ)
それは半分本当で半分嘘。
1ヶ月耐久カレーリレー(語呂悪っ)ですからね、一応理論上はどんどんコクが増していくはずなのです。
つまり、最初からガッツリ肉なんか入れたら、繊細な味わいのカレーが味わえないじゃないですか。
というわけで、玉ねぎ、人参、じゃがいもはほぼ普遍のメンバー固定として、魚やらチキンやらは、ある程度計画的に作っていくことにしたのです。
……正直、結構無茶もしてみたんですけどね。
まあ失敗はしないと思ったこんにゃくとか、チャレンジ精神でごぼうとか、個人的には無謀だと思った鮭とか、ちょっとドキドキした手羽元とか。
一言で言うと、カレーってすごい。
包容力が半端ないというか、たいていの食材は受け入れちゃうんじゃないんでしょうか。
実際にやってみるまで、動物性の油なんかを多量に含んだ食材は確実に失敗の元と思っていたんですがねえ……飲み込んでしまうんですよ、カレーの包容力は。
1ヶ月の間、飽きもせず美味しゅうございました。
一応、1日3回きちんと熱を通すことだけは気をつけたんですが、その手のことに詳しい知人に『加熱で毒素は分解されないからね?食中毒とか起こさなくてよかったね』などと言われましたが。
ちなみに、最後の締めはカレーうどんで。(笑)
さぬきもん的に、カレーうどんは許せないらしいですが私は平気。
美味しゅうございました。
カレーは、年に一回か二回ぐらい作る程度。
カレー粉は、料理で使ったりしますが。




