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30話:小学校入学……今わかる絶望

私はまだ、母校の校歌を歌えるし、演奏(主旋律のみ)できます。

 私は、田舎の県の、さらに田舎で生まれた。

 親類縁者の屋敷を除けば、最も近い隣人の住む家まで数百メートル……と書けば、それなりに理解はできるのではないかと。

 もともと人が少ないところに、過疎ってるから子供はさらに少ない。

 まあ、とにかく田舎なのだが、小学校の入学式で、あの歌を歌わされるのである。

 元気よく、力いっぱいに歌わされるのです。


 フレンド100人できるか……できるかーっ!


 そもそも、全校生徒が100人にはるか届かねえってのに。(笑)

 野良犬とか野良猫とか、飼ってる鶏とか、その鶏を襲いにやって来るイタチとか、ちょっと早朝の山に入ると見かける狸とか、動物は私たちの友達なんですねぇ……チガウヨ、特に鶏。


 と、いうわけで今考えると、希望に満ちたピカピカの一年生になんて仕打ちだよと、トホホな気分になるのです。

 幸い、当時の自分はなんとも思ってませんでしたけど。

 面白いことに、生徒数が少なくて小さな学校なんだけど、色々とオトナの事情が絡んで施設そのものは立派になっていく……。

 うん、生臭い社会のあり方を小学生にして学ぶのだから、これは英才教育。

 でも、生徒数が少ないってのは教育の一面としてメリットがあるのは間違いないわけで。

 教師一人で40人の面倒見なきゃいけない学校に対し、教師一人で数人を指導する学校のケアは厚くなるのは自明の理。

 私個人としては、教育の場に恵まれていたなあ、と。

 もちろんデメリットもありますぜ。

 体育のサッカーでは、2学年合同で5対5の対戦とか……無駄に運動場は広いから、地獄のような運動量になりますし。

 人馴れしないというか、放課後に教師を捕まえて中学校の勉強とかいろいろ教えてもらうことに限界を感じて、街に出て塾に通うことにしたんです。

 入塾試験の際、でっかい教室に130人ぐらい人がいまして……いやあ、全校生徒の数倍ですよ?(笑)

 人の数に圧倒されて、試験どころじゃなかったですね、はい。

 130人ぐらいというのも、試験そっちのけで人数数えてたんですよ、私。(笑)

 試験よりも、一体何人いるのかという方が大事だったんですね。家に帰って、両親に『人がいっぱいいた。同じ世代の子供があんなたくさんいるなんてすごいよね!』でしたから。

 早めに貴重な体験ができてよかったなあ、と。


 まあ、中学(1学年200人)、高校(1学年600人)、大学(1学年3000人)と、進学の度に目の回るような人波に流されて……名も知らぬ遠き島より流れてきたヤシの実のように、今私はどこをさまよっているのやら。(笑)

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