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199話:凍らない街

 江戸時代……といっても、約260年の期間があるからあれなのですが、江戸の町では年に60日程も氷が張ったそうな。

 おそらく寒冷期に向かっていた1800年代の資料だと思うのですが。

 東京というか、江戸近郊に住んでいた際に、『そういや今年は氷が張っているのを見なかったな』などと振り返ることが何度もあった人間としては……。


 ……江……戸?

 江戸の定義が乱れる……レベルの驚きが。


 私は、雪なんか滅多に見ない温暖な地方の出身です。

 だから、大学時代に部屋の中のグラスに残った水が夜のうちに凍ったのを見たときはものすごく驚きました。

 寒いっていうのは恐ろしいことだなあと。

 で、大学卒業して就職の際に東京にやってきて……あれ、田舎(故郷)より暖かいよ?と、首をかしげたり。

 単純に、田舎~大学~東京の住居変遷による勘違いかと思ったんですが、地面に氷が張る回数から、やっぱこっちのほうが暖かいのかと。

 少なくとも、子供時代の私の田舎よりも、今(当時)の東京の方が平均的に暖かいのは確かだったでしょう。


 まあ、冬はともかく都会の夏の暑さは単純に比較できるものじゃないと思います。(笑)

 エアコンの室外機による排熱とか、アスファルトをはじめとした建築物の照り返しに、なんといってもそこに住む人間の活動熱の総量が違います。


 そういや、私が大学時代のときの話で、大学院までいった理系の人間が就職面接の際に『空が何故青く見えるのか説明しなさい』という質問に答えられなかったという笑い話がありました。

 まあ、理系といっても色々あるので、研究畑が違うとそういうこともあるんじゃないかと思ったのですが、『いや、高校化学だから』とマジレスされました。

 ……高校化学で教える光の波長の違いだけで、空の青さって説明できたっけ?

 などと思ったのですが、そもそも『どのレベルで説明するのか』伝えられていないから、この笑い話は今ひとつ信用性に欠けると言えましょう。


 さて、時は流れて。

 久しぶりに会った大学時代の知人が、真面目な顔をして私に聞きました。


『お前、エアコンっていうか、クーラーの原理を説明できるか?』


 細かいことはわからんけど、空気を圧縮して生まれた熱を触媒を使って排出、圧縮した空気の再膨張の際に奪われる熱を利用しての繰り返し……だよね?

 夏場、エアコンの室外機が熱を放出しまくるのは、このせい。

 部屋の中は涼しくとも、その地域の熱総量は変わらない……というか、発電の熱コストなどを考えると、熱総量そのものは増加する。

 ヒートアイランドと呼ばれる原因の一つというか。


 ああ、うん……大学院まで行った新入社員が、何もわかってなかったんですか。

 いや、コミュ障で、単純に知識はあったけど説明できなかったって線は……ああ、そういう問題じゃないと。

 基本スタンスは、室外機の排熱からなんとなく連想できる程度の中学校の理科の内容なんだよ、と。

 その基礎知識を実現させる技術の塊が、いわゆる家電の(以下略)。

 うん、採用した人事部に文句言えよ。(笑)

 基本的に、技術は更新され続けるので年配の人間がどんどん排他されていくものですが……いろいろあるようです。



 しかし、凍れば凍るで水道管の破裂とか、スリップ事故とか面倒事がおきますが、地面の氷を踏んで割ったり、霜柱をザクザク踏んで歩いたり、子供時代の懐かしさを再び味わってみたいなあと思ったり。

 人間とは欲の深い生き物ですよ、ホント。

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