193話:年賀状
昔は、『年賀状は20日までに』……だったはず。
子供の頃、ひたすら年賀状を書いている両親を見て大変だなあと思ってました。
200~300枚ぐらいだったと記憶してますが、単純に宛名書きだけでも、うげえって感じですね。
実際は、絵柄の印刷されてる裏面にもひとりひとり別のコメントを添えるわけですから……。
一般家庭としては多い方だったかもしれませんが、商売絡みとなると私の実家は特に多い方でもなかったでしょう。
大学の時、年賀状の話題になった時に知人が苦笑しつつ『うち、1500枚ぐらい…』などと言った時は、思わずみんなして顔を見合わせてしまいましたよ。
まあ、これとは違う場面で親が政治家さんをやっている人に『え?とりあえず5桁』などと言われたときは、全力でスルーしました。
ああ、政治家の宛名書きってそういう……などと、実感しましたが。(笑)
いや、だから全力でスルーしてくださいってば。
解説すると、公職選挙法によって、『政治家は答礼のための自筆によるものを除き、年賀状や暑中見舞状に類するあいさつ状を出してはならない』となってますので。
あ、ただし当該選挙区外の人間に対しては問題ありません。
確か、小選挙区制移行への布石として平成になった頃ぐらいに、改正された記憶が……つまり、色々と微妙な時期だったんですよ、それ。
当時は確かニュースになりました。
コンセプトとしては、お金のかからない公正な選挙を目指して、と。
まあ、小選挙区制度への移行はほぼ間違いなく二大政党を生み出すことになるのは以前から言われていたことで、これに対する賛成の立場と反対の立場が与野党で分かれていて、今思い返すと面白いですね。
野党の一本化を目指す人間と、最大与党の立場を守りたい人間と、組織の老害を切り捨てたい人間と……いわゆる識者は『二大政党制を運営できるほど日本人の政治に対する理解は高まっていない』という観点から反対。
この見事に噛み合わない討論を、当時の私は口元半笑いで眺めるしかできませんでしたわ。
と、話がそれました。
年賀状。
私が就職した頃は、社内というか、課内?部内?で年賀状を出し合うかどうか……が、話題になり始めた頃でした。
単純に、同じ部内の人間だけでも40人とかなりますしね……課内で十数人、同期の人間、仕事で関わりあう別の部の人間、ほかの会社の人間、個人の友好関係。
まあ、これだけでさらっと100人超えちゃう。
お互い面倒くさいことはやめようよ、と……親しい人間同士のやりとりから、親しいとは言えないけど礼儀としてやりとりする相手へと。
世間の風潮としては、そういう空気が生まれ始めた感じでしたね。
それはそれで間違ってないと思います。
普段から会える人間よりも、直接は会えない人間と、年賀状のやり取り。
ああ、結婚したんだ、子供生まれたんだ、そうか、お母さんなくなったんだ……などなど。
もちろん、それは寂しいとか、礼儀的にはおかしいという意見もあるでしょうし、それも間違ってないと思います。
ぶっちゃけると、そんな暇ねえよ、と。
これが、今の時代に言えることでしょう。(笑)
昔、同人仲間や知人に対して、1枚1枚、別のイラスト描いて……とかやってた頃を思い出すと、よくそんなこと出来たなあと思います。
そして、大半は某イベント会場で手渡しする、と。
普通の交友関係には文字だけですけどね、イラストの方は1日2枚ぐらいのペースでしか仕上がらなくて……若いって素晴らしい。
というか、今となっては自分の絵を他人の目に晒す罰ゲーム(笑)に耐えられません。
もちろん、『普通の』友人知人には『普通の』年賀状を、でしたけどね。(笑)
また話がそれました。
うん、つまりアレですよ。
年賀状書かなきゃ。




