189話:もう君を離さない(お布団)
さて、全国各地でこたつ星人と布団星人が大量生産される季節になりました。
私は、『こたつは人と腰を悪くする原因である』という崇高な意思の下、大学卒業と同時にこたつとは縁を切ることを選びました。
大学進学時に、ひとり暮らしを始める私のために母が奮発してくれた羽毛ふとん……が、盗まれたのは前にちょっと書きました。
まあ、実家に居た時の掛け布団は綿の布団だったので、初めての羽毛ぶとんは『軽ッ!?』という驚き以外の何ものでもなかったですね。
まあ、空気が暖かさの決め手だと頭では理解していても、それがすんなり納得できるまでには時間を要するというか……最近は知らないけど、当時の羽毛ふとんは高かった。
後日、母に聞いてみたところ。
綿の布団は、ちゃんと干さんとあれやからな。
ああ、そうか。
都市部での一人暮らしを経験してしまった私は、なるほど母は都会の人間だったなあと、納得しました。
都市部の、アパートで暮らすと、布団はもちろん、洗濯物を干す場所もないことは珍しくないわけで。
田舎に居ると、布団を干せないという概念がどうも……。
綿の布団は布団で、『重い布団じゃないと寝られない』等のネタとして使われることがありますが、あれは布団を蹴飛ばして風邪をひくことを防ぐ効果が……。
非公式ですが、子供の頃に重い布団を使っていると、寝相が悪くなるかもしれないという研究発表があったそうな。
重い布団をはねのけるために、オーバーアクションになっていくというコンセプト。(笑)
ただのネタかもしれませんが、それなりに説得力があるような。
少し話がそれました。
干した布団の匂いを『お日様の匂い』などと評しますが、いやこの匂いって死んだダニの匂いですよ……などと、無粋なネタが世間を席巻してしまいましたね。
ああ、つまりお日様の匂いがするってことは、ちゃんと布団を干さないと……。
うん、数年前、それを実感しました。
花粉症を患っていると春先に布団なんか干さないというか……うだうだしているうちに梅雨になって、そもそもこの時期にはもう掛け布団とか使わなくって。
ええ、結局干さないまま布団袋に入れて押入れに入れちゃいました。(笑)
そして味わう懐かしい痛み。
あ、この痛みは……実家で猫を飼っていた時の。
そしてのその痛みは、全身へと……。
うん、母が夏に布団を干して、ただでさえ寝苦しいのになんてことを……などと子供心に思ってたのですが、あれは、夏だからこそ布団を干さなきゃいけなかったんだなあと。
さて、この冬もまた私は、二代目羽毛布団に包まれて生きていく。
そしてたまに毛布に浮気する。
時には、ひざ掛けなんかも使う。
暖かいって素敵。
二度寝は天国。




