181話:野球部のオフシーズン
さて、これは地域によっても違うし、時代によっても違うのであれですが。
私が現役高校球児だった頃、12~2月の練習試合は禁止されてました。(同じチームの紅白戦は可)
もちろん、両校の監督が示し合って秘密の練習試合が行われたりするのもお約束。
どこかの誰かに告げ口されたとしても、『いや、あれは合同練習です』という言い訳で通します。
うん、今の時代ならスマホで手軽に動画とか撮られるからあれなんでしょうけど、当時は証拠を提出するのが難しかったですからね。
新入部員が練習に参加して良い時期なんかも定められていて……まあ何故か秋頃から(中学生)練習に参加していた生徒もいたとかいないとか。
もちろん、秘密の方向で。(笑)
まあ、お茶目はさておき。
気温が低い状態でバッティング練習をすると、冗談抜きで骨折とかします。
バットの芯を外すから……とか言われますけど、芯で捉えても手はしびれます。
ナイター設備が整っていないと、陽が沈むのが早い冬期はどうしても体力トレーニングが中心のメニューへとならざるを得ません。
練習時間そのものはちょっぴり短くなるのですが、疲労度はこっちのほうが……。
体力トレーニングは地道で面白くないという意見が多いですが、実際は『実践トレーニングができなくてストレスが溜まる』状態なんだと思います。
まあ、ついでに言うと。
子供の頃から野球漬けの人間が高校2年の冬にもなると、体力トレーニングをしても能力が向上しなくなる人間が普通に出てきます。
練習しても練習しても、体力が向上せず、タイムも伸びず……まさに、ただ辛いだけ。(笑)
筋トレをしても筋肉が付かない……ただ苦しいだけ。
高校球児が絶望する季節、それがこの時期です。
怪我を除けば、野球部を辞めていく人間はだいたい『入ってすぐ辞める』か、『この時期に、自分の限界を感じて辞める』かの二つのタイプに分かれます。
ちなみに私は、走っても走っても、フォームを改造しても、足が速くならず……チームで1、2の鈍足。
その一方で、筋トレに関してはチームで1、2を争う筋力でした。
まあ、いろんな意味でスポーツってのは残酷だと思います。
つーか、往復ダッシュ速い者抜けとか、正直ただ苦痛を味わうだけなんですよね。
速い者が上2人ずつ抜けていく競争だから、一番足が遅いと200メートルダッシュを20本ほど余計に走り続けるわけですよ。
足が遅いからこそ、余計に走らせて鍛えるってのが趣旨なんでしょうけど、ずうっと遅いままで、タイムも変わらないですから、そもそも『能力向上という観点からすれば無意味』ですよね。
私の50メートル走および、100メートル走のタイムの伸びは、中学3年で止まって……それ以後は、怪我の影響もあるかもしれませんが、誤差の範囲内でした。
足の速いやつは早々と抜けて、休憩しながらヤジを飛ばすだけ……数十分、無駄に時間を過ごすことになる。(笑)
足の速いやつこそ、まだ伸びる可能性があるんだから、そっちのほうが優先じゃないの、と思わなくもない。
実際、筋トレに関しては私の記録は高校の間はジリジリとではありますが伸び続けましたからね。
まあ、走りたくないという気持ちもあります。(笑)
体力はつくかも、と思うかもしれませんが、肺活量も中学3年ぐらいまでしか伸びませんでしたし、怪我もあって、さてどうだったかなあと、微妙な感じです。
こっちの方が練習量多いのに、差が広がっていくって、心が折れますよ。(笑)
まあ、筋トレに関しては、私は誰かの心を折ったかもしれません。
身長の伸びが中学1年で止まってしまったので、私はわりと早めに筋トレに取り組みました。
そのせいで、高校に上がった頃にはもう大幅な筋力アップは望めない状態だったというか……まあ、体バランスとかも関係してくるので、むやみに筋肉つけても無意味というか。
え、オフシーズンって、休みのことじゃないの?(笑)
そういう根本的な質問に対しては、こう答えるしか。
野球部に休みなどない。
でもこの時期は、オフを選択する季節。
そういう意味では間違ってはないわけで。
これはおそらく、時代が変わっても同じなんだろうと思います。




