175話:新嘗祭(にいなめさい)
新嘗祭とは、天皇が日本国民を代表して五穀豊穣と命の糧を授けて頂いたことに対する神への感謝を捧げるための祭り、つまり日本の収穫祭のことです。
まあ、豊作不作が生死の分かれ目であることは現代でも変わりませんが、その重要度は現代なんかよりとてつもなく高かったのは言うまでもありません。
と、いうことで、この非常に重要な宮中祭祀が行なわれる日が、新嘗祭です。
……と、いうことで勤労感謝の日ですね。(笑)
近年、ポコポコと祝日が増えてますが、この勤労感謝の日は戦後のまもない時期、1948年に早々と設定されました。
『勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう』
そんな感じの趣旨で、国民の祝日として制定されたわけですね。
勤労を尊ぶなら働こうか?
などとブラックなジョークとして使われることからも、名称と理由の乖離具合は明らかですけど。
実際、この趣旨に関しても名称に合わせて日本政府が後付したらしいですが、そのあたりの事情は推測するしかありません。
この祝日が不動なのも、その辺に理由があります。
とはいえ、この新嘗祭。
明治の最初期までは、旧暦11月の、2度目の卯の日に行われていたらしいです。
それが正しいのならば、たぶん、グレゴリオ暦の導入でいろいろあったんだろうなと。
で、それ以後は固定の方向かと。
皮肉屋の知人に言わせると、『勤労感謝の日は、感謝祭とレイバーデイを足した感じだろ。占領軍と日本政府のすり合わせの苦労が目に見えるようで楽しいね』、だとか。
ああ、勤労、感謝の日、ね。
そんな言葉はなかったから、日本側が向こうの言語を新訳したんだろうなと。
まあ、とりあえず明日は勤労感謝の日。
国民の祝日に、宮中において天皇陛下が高齢をおして祭祀を行われます。
その内容について私は無知ですが、非常に重要な儀式だった経緯を考えると、簡素なものではないんだろうなという推測ぐらいはできます。
様々な理念が世の中にはありますが、いくらかの感謝の気持ちを向けるぐらいは許されてしかるべきではないかと私は思います。
名称としても、間違ってはいませんよね。
どこかの誰かの勤労に感謝する日。




