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162話:じゃがいもとさつまいもだけが芋じゃない。

 落ち葉を集めて焼き芋だ~の、さつまいも。

 大陸からきた芋なので唐芋からいもと呼ばれ、薩摩の国で盛んに栽培されたことからさつまいもと呼ばれるように。

 まあ、大陸(中国)から伝わったというだけで、原産は中南米だったような。

 じゃがいもも、アンデス山脈原産でしたっけ。

 近年はかなり存在感が薄れていますが、忘れてはいけないのが里芋。

 私が子供の頃、家での食事で『イモ』といえば、里芋のことでした。

 まあ、身近な栽培と、身近な食材は決してイコールじゃないということで。

 原産地はどこだったか……とにかく、東南アジア系のタロイモの仲間だったような。

 まあ、弥生時代初期にはもう日本に伝わっていた(稲よりも早いという説もある)そうなので、日本における歴史で言うなら、里芋はぶっちぎりのトップですね。

 サツマイモもジャガイモも、諸説ありますが日本への伝播は16~18世紀と言われてますからね。

 地方ネタででてくる芋煮会のイモは、里芋。

 あれをじゃがいもとか、さつまいもの芋煮と思ってる人間が何人かいた。

 東北地方で、保存のきくジャガイモとサツマイモを、あの時期に大量消費するのは割に合わないというか……ああ、里芋だから冬の前に消費するんだねと、私は思ってました。

 実際はどうか知らないけど。

 ちなみに、里芋は温度が高いと腐ります。(地面に埋める種芋は別)

 だからといって、温度が低すぎるとダメになります。

 芋煮会が、厳冬期前の東北各地で行われていたことを考えると……やっぱり、里芋をダメにしないというか、無駄にしないように宴会で消費という考えが自然だと思うのですが。

 まあ、そのあたりは地元の人間に任せるとして、実際に収穫してみるとわかるんですが……初めて見ると、里芋の収穫はかなり戸惑うと思います。(笑)

 子供の頃、母親が掘り出したそれを見て。


 どれが芋?


 と、呟いてしまいました。

 種芋というか、親芋というか、子芋と茎と、土にまみれたそれは、判別が難しく。

 収穫そのものも子供の頃の記憶しかないので、多分今も戸惑ってしまうんだろうなと思います。


 さて、里芋。

 身も蓋もないことを言いますと、調理するのが面倒。(笑)

 男の胃袋をつかむ料理としてよく挙げられるのが『肉じゃが』ですが、私の世代だと『里芋の煮っ転がし』がそれに加わってました。

 多分、今は候補に上がらないんじゃないかと。

 不憫よのお、里芋。

 え、今の時代は『肉じゃが』も怪しい?

 時代の流れですねえ。

 まあ、何が面倒かというと、何も知らずに皮をむいたりすると、手がめちゃくちゃ痒くなります。

 どうしてそうなるかはおいといて、とにかくそれがもう。

 手袋をして皮をむくとか、それが嫌なら塩にまぶしてからとか……。

 土をよく落としてから、皮をむかずに下茹でして、余熱の抜けないうちに軍手をはめた手でこそげ落とすように皮をむくというのが、比較的楽かもしれません。

 この時点で、『あ、もういいです』と思う人間が多数と思われます。(笑)

 以前、小料理屋で里芋のからあげを食べたことがありますが、ちょいと新鮮な味でした……まあ、女将さんが『里芋面倒くさい』と愚痴を吐くオチまでがセット。

 いただきものだから工夫してみたけど、進んでやろうとは思わない……などと、シャレにならないことまで愚痴る。

 ああ、わかります、その気持ち。(笑)


 芋といえば、山芋なんかもありますね。

 でも、山芋を掘ったことはないんです、私。

 と、いうわけで芋なのに、忘れ去られがちな里芋でした。

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