15話:時を止めてみよう
あれ、こんな話だったっけ?
などと、読み終わったあとで冒頭を読み返して下されば書き手としてはちょっと楽しい。
「あ、私携帯とか持ってないんですよー」
「え……」
私の返答に固まる店員さん。
そんな反応を楽しんでいる私がいたり。
買い物の際に、色々と会員カードを勧められますが、会員登録ができないのでお断りするしかないのです。まあ、断るのがすごく楽なのは確かですが。
ちなみにおうちのパソコンは、ネットに接続してません。
食い下がる店員さんも、ここで確実に撃沈します。
まあ、想定外なんでしょうなあ……私のような存在は。
それほど多くもない私の交友関係でも、携帯を所持してない人間はいません……直接の知り合いではありませんが、ひとりだけ携帯所持を拒否してる方を知ってますが。
今は『携帯』じゃなくて『スマホ』が主流ですかね。
この前、『携帯』を持っている知人が『ついに、スマホじゃなくてガラケーを持っているだけで相手の時間を止められる時代が来たよ』などとぼやいてました。
正直、私は『スマホ』と『携帯』の違いがよくわかりませんけど……多分、色々違うんでしょう。
何やら、話が川を流れていきますが、『時を止める』お話。
人は、経験も含めて自分の行動というか、何らかの場面に対する対応をあらかじめ想定してから動きます。
パターンというか、自己マニュアルというか、『こういう時は、こう対応しよう。この方が楽、もしくはうまくいく』みたいな感じで。
仕事の手際が良い人間ほど、このマニュアルが高度化、システム化している傾向が……まあこういう世の中ですからね。
そういった人間に、『想定外』の状況を与えてやると……これはまあ、みなさん時が止まってしまうのです。
もちろん、高レベルになると顔に出さず、即座に立て直してくることもあるので絶対とは言えませんが。
この『時を止める』お話、言い換えると『相手の意表をつく』ということです。
スポーツの駆け引きにおいてとても重要な能力であることは言うまでもありませんし、仕事を含めた日常生活における上で、使える『スキル』でもあるでしょう。
天然はさておき、相手の意表をつくためには、現在の状況を把握した上での相手の思考を読み切らねばなりません。
相手の読みを外すだけなら簡単です。
いきなり上半身裸になって奇声の一つでも上げれば、そりゃ意表はつけます。意表だけはね。そのあとのことは知りませんよ。(笑)
意表をついた上で自分がペースを握り、自分の望む結末へと導いていく……ここまでやってようやく『スキル』であるといえましょう。
相手の思考を読み切って、想定外の場を与える選択肢を持っている時点で勝負ありなんじゃないの……などと言われるとその通りなんですが、技術というものは、鍛えていかないと身につきません。
どうやったら、相手の意表をつけるか。
この場面で、自分の望む結末に持っていくための必要条件は……などの思考の繰り返しは、多分無駄にはならないと思います。
つーか、文章書きには必須スキルかもしれませんね。
お話を作る上で、読者の意表をつくということは、興味を引くことに近い意味を持つでしょう。
スライムやゴブリン大活躍のお話の根っこにあるのは『弱いと思っていた存在』のちゃぶ台返しではないかと思いますし、悪役令嬢やら、異世界の知識チートやらも、読者の固定観念の外から攻めるという意識が根底に有るというか、あったんだろうと思いますしね。
いわゆる価値観の破壊といいますか……メタもの?
もちろん、物事はすべからく強みと弱みを持ち合わせるわけで。
価値観の破壊をネタにする弱みは、従来の価値観に依存するということです。
依存する価値観を失ったとき……そこに未来はあるのか。
さて、みなさん。
時を止めてみませんか?
まあ、ものすごく含みのある書き方をしましたが、個人的にテンプレは嫌いじゃないです。




