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146話:ハンバーグとの出会い。

大きくなれよぉ(サイズが)

 私が子供の頃……といっても、小学校高学年ぐらいだったか。

 まるで実感はなかったのだが、『ハンバーグがご馳走』、『みんな大好きハンバーグ』程度の情報がテレビを通じて伝わってきていた。

 まあ、コマーシャルでもやたら目に付いたというか、特徴のある節回しと子供たちが大騒ぎしているシーンは、今も私の記憶に残っている。

 しかし、現実に私が口にする『ハンバーグ』は、家で焼くだけの『〇シン』とか『〇ダイ』のハンバーグだったわけで。

 実際、『アレ』が『ハンバーグ』でしかなかった私にとって、『特に美味いものでもないな。蒲鉾の方がよっぽど好き』ぐらいの評価でしかなかった。

 あの当時、ウインナーなどの肉加工商品のコマーシャルも目立っていたことから、日本人の食生活が変化するダイナミズムというか、ちょうど直撃時期だったんだろうなあと、今なら思う。

 アメリカとの牛肉輸入交渉が始まったのが1978年ぐらいだったと記憶しているから、おそらくはその辺も無関係ではないのだろう。


 さて、ハンバーグである。

 発祥や由来などの細かい歴史は省くが、日本においてはファミリーレストランと歴史を同じくする歩みといっても過言ではないだろう。

 大阪万博に出店したレストランで、『ハンバーグ』が連日数千枚を売り上げる大人気となり、この店自体も売り上げ一位となったことから、『これはイケル』と多くの人間が感じたのでしょう。

『ハンバーグ』というメニューを取り入れたレストランが時期を同じくして出来始めたとか。

 その後、チェーン展開なのか、似たお店が増えたからなのかはともかく、『ファミリーレストラン』という名称が作られたらしいが、詳しくは知りません。

 まあ、何が言いたかというと、『ハンバーグ』という食べ物は、(当時は)一般的に『ファミリーレストラン』において出会うものだということだ。


 そして私は、大学生になって初めてファミリーレストランを『見た』。(笑)

 うん、『行った』じゃなくて、『見た』です。

 まあ、現在は割とお手軽コースもあるようだが、当時の感覚としては『1食1000円から』という認識がポピュラーだったので(事実かどうかはともかく)、学生が気軽に足を運べる場所ではなかった。

 と、いうわけで……私が初めてファミリーレストランで食事をしたのは、社会人になってからだ。

 そこで、連れが『ハンバーグ』を注文したのだが、テーブルに置かれたそれを見て、『え、なにそれ?』と呟いた私を笑わないでいただきたい。

 そもそも、外食をしない人間はこんなもんである。

 それはそれとして、『こんなの、俺が知ってるハンバーグじゃない』などと、ぬいぐるみに腹パンしたくなった。

 連れの手前もあるので、さりげなく(自信はない)世間話を楽しんでいるふりをしていたが、思考が乱れっぱなしである。

 そういえば、日常漫画で肉を食べて泣いたお話があったが……私は食べてさえいない、見ただけでこれだ。


 そして、私はとりあえず『ハンバーグ』を自分で作ることにした。

 最初だから、ごくシンプルに。

 レシピを見る限り、どう考えても肉料理。

 ええ、あのハンバーグもどきしか知らない人間にとっては、ハンバーグが肉料理という認識は全くありませんでしたから。

 材料の肉を2種類使って、2つのハンバーグ。


 料理、そして実食。


 箸を置き、なるほどなと思う。

 何に対してのなるほどなのかというと、私の知っていたハンバーグがああいう味だったことや、ハンバーグが人気になったことや……まあ、色々だ。

 ハンバーグは、とことんまで肉料理。

 美味いものを食べたければ、金をかけろ……の料理だなあと。

 麺の味を小麦が決めるように、多分、ハンバーグの味は肉が決める。

 まあ、料理方法や、調味料、ソースなどで工夫は出来るんだろうけど。


 今の私にとって、ハンバーグは特に好物でもないし、嫌いな食べ物でもない。

 ただ、子供の頃の私の世間知らずというか、愚かしさを思い出させるという意味で、食べようとも思わない。

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