117話:教授の部屋のたからもの
大学の頃、親しくしていた教授がいました。
まあ、向こうがどう思っているかまでは保証できませんが、『図々しい奴』ぐらいに思われていたかもしれません。
専攻が、ロシアというか、旧ソ連というか……むしろソ連と言ったほうが良いのかも?
珍しいというか、変わり種というか……つまり、教授の部屋には、他ではお目にかかれない貴重な書籍がゴロゴロしててですね。(笑)
まあ、下心100%なのですが、教授の好きな甘いものを手土産にして、お邪魔して本を読ませてもらってました。
……貴重な書籍ですからね、一学生に貸してくれるなんてないです。
ちなみに私がゼミ長を勤めていた、ゼミの教授ではありません。(笑)
自分のところのゼミ長が、ほかの教授のもとへ手土産持って足繁く通っている……うわあ、私が美形なら腐った話がかけそう。(笑)
今ならともかく、あの当時に社会主義国家の政治経済やら、その手の資料、書籍が読めるなんて、貴重な経験というか、機会というか、マジで。
教授曰く、『そもそも、興味を持つ人間自体が少数なんだがね』と。
ソ連はともかく、ハンガリーとか、チェコとか、感激モノでした。
実際、これというほどの情報でもないのでしょうが……全く手に届かない情報が、何かしら触れることが出来るってのは、もう。
そんな感じで、ろくに外国語もわからないのに留学生にも話しかけて故郷というか、国の話も聞かせてもらいました。
英語の辞書を引き引き、三国貿易ならぬ、三国翻訳だったり。
人の話を聞くというか、自分の知らない何かを知るというか、触れる……これは非常に楽しいというか。
まあ、教授のもとへ何度も通っていると……手が空いた時に、ソ連のおはなしなんかしてくれる時もあって。
グラスノチ、ペレストロイカ……その光と闇というか、主に闇の部分。
システム変更時、システムを熟知してない人間がどう動くのか……。
私たちは、仕事の引継ぎとか普通に口にしますよね、出来る出来ないはともかく。
情報が金になると判断して、引き継ぎの際に何も教えないどころか、書類などを隠したりとか。
もうツッコミどころ満載のお話が、次から次へと。
そして教授は、ため息をつきながら私に教えてくれました。
1からやり直すとか、0から新しく作り上げるとか気軽に言うけどさ、今あるものを絶え間なく変えていくほうが良いと私は思ったね。
革命ってのは、戦争だよ。
革命する側に明確なビジョンがあるならば、現状とすり合わせるべきだな、たぶん。
どんなシステムも結局は、運営する人間しだいなんだから。
それにしても、ゴル〇チョフが、国内ではずうっと不人気だったのは(当時の)私としては意外だった。
国内支持を得ての改革路線と思ってたけど、実は逆なんだとか。
不支持ゆえのあの路線で、西側諸国に絶大な支持を受ける……って、皮肉なものを感じる。
当然、大学を卒業したらそれっきり。(笑)




