105話:天ぷら作りたい。
アイスの天ぷらは食べたことありませんが、素麺の天ぷらは作ったことがあります。
子供は親の背中を見て育つとはよく言ったものだ。
私の母は、天ぷらとか揚げ物に使った油を別の容器に移して、炒め物などに使用していた。
それを見て育った私は、油とはそういうふうに使うものだと認識していたし、おそらくほかの一般家庭でも当時はそんな風に使用されていたのだと思う。
もったいない精神万歳。
と、いうか……私が子供の頃は、例の油を固める商品なんてものはなかったように思う。
もったいない以前に、炒め物なんかで使い切るのが一番楽な処理だったのかもしれない。
もちろん、あの量の油を炒め物などで使い切るのも、家族の食事量だから可能なのかもしれないが。
そういうわけで、一人暮らしの人間は天ぷらや揚げ物なんかで大量に発生する酸化油を処理しきれなくなるので、自分で作るのを諦めて、外食や出来物に頼ることになるのだと。
そう、思っていたんだが……。
やりおった。
この女やりおった。
『え、油ですか?そのまま捨てますけど。ほら、酸化した油って身体に悪いって言うじゃないですか』
うぬう、このリッチウィメェンめ……という話ではなく。
言葉のとおり、この女、『そのまま捨てている』のだ。(笑)
油を固めたりする(私が大学生の時にそういう商品があったかどうか、記憶にはない)とか全くなしで、文字通りそのまま……。
私は激怒した。
この無知暴虐のやからを排除せねばならぬと。(笑)
油をどう捨てるかに関してはその地域の自治体によって変わるお話ではあるのだが、おそらくどの自治体もそのまま捨てるというか、流すのを推奨することはあるまい。
『じゃあ、トイレに…』
やばい、コイツどうにかしないと……。
そんな彼女も、今は立派に二児の母親……10年ぐらい連絡とってないので、増えた可能性もあるが。
まあ、そのあたりはおいといて。
油の捨て方というか、業務用はさておき、家庭の油は基本的に燃えるゴミです。
袋を二重にして、そのまま液体で捨てるというチャレンジブルな人もいるらしいが、液体のままだとちょっとしたことで火気厳禁の舞台がセッティングされてしまいます。
手軽だし問題ないという意見は、捨てる側の論理でしかありません……燃えるゴミの回収車を見たら、絶対にできないと思うんですけど。
なので、一般的に取られている方法は例の固めるやつで固めて捨てるのがひとつ。
『じゃあ、冷凍庫で凍らせてから…』
いや、自分が捨てる時に固まってたら良いとか言う話じゃないから……つーか溶ける。
それと、何やら最近は油を固めるのではなく、薬品混ぜてよく振って鹸化させた上でそのまま捨てるという商品があるそうな。
『石鹸とか洗剤と同じだから、そのまま流しに捨ててオッケーです』とのことらしいが、実物を見てないので何とも言えないが、私としてはツッコミを入れたくて仕方のない売り文句だなあと。(笑)
だって、台所用洗剤500ミリリットルボトルの中身を流しにそのまま流して、何の問題もないデース……とか言われても心がもやもやすると思うのだが。
そもそも油をそのまま捨ててはいけないという理由は、水質汚染やら配管が詰まるやらが挙げられているのだが、洗い物の過程で当然油は流れる。
洗剤の材質によって色々と話は変わるのだろうが、洗剤もまた水質汚染の原因。
これらは全て自然の材質によって作られたものだから何の問題もありませんとか言っても、大量の植物を集めて刻んで水面が見えなくなるぐらいまで池に叩き込んだら……多分池の水質は澱むだろう。
自然浄化と人工流入のバランスが肝心で……量の問題だよなと思う。
……話が脱線しました。
そう、油の処理の仕方。
他は、新聞や雑誌に吸わせて捨てる等。
牛乳パック何かに新聞紙をクシャクシャにして詰めて、油投入……で、蓋をして、二重のビニール袋に入れて捨てるってのが、一般的にはあまり問題にならない手段ではないかと。
雑誌や新聞に吸わせてそのまんまってのは、どうしても油が垂れるってことがありますし。
……と、実はここまでが前フリ。(笑)
なんか、久しぶりに竹輪の天ぷらとか食べたいなあと。
コーンと竹輪の刻んだやつのかき揚げ天とか食べたいなあと。
天ぷらは揚げたてのさくさくした食感も含めて楽しむものだという意見に私も賛成だが、竹輪の天ぷらは揚げてから時間が経ったモノの方が美味しいと思う。
しっとりと竹輪にへばりついた衣の食感と、竹輪の食感が、こう、何とも言えず……美味しいのだ。
異論は認めます。
さて、天ぷらがなぜサクサクしてるのか?(揚げたての話ね)
揚げる前に衣をつけるのだが、この衣には水分が多く含まれています。
油という高温にさらされて、衣の中に含まれた水分が蒸発します。
その水分が蒸発したあとが、空洞として残るわけで……揚げたての天ぷらは、この空洞が多く残された状態で、衣がほろりと口の中で崩れる。
そして、揚げたまま放置すると……その空洞に余分な油が染み込んで、よく言えばしっとりと、悪く言えばベトッとした感じになってしまう。
まあ、高温の油で揚げることによって調理時間が短くすむとか、素材の旨味を逃がさないとかの話は別のお話。
個人的には、衣をつけない素揚げなんかも変わった味わいを楽しめます。
それにしても……終わったあとの片付けが面倒だなんて、これが若さを失うということか。
え、コンビニののり弁に竹輪の天ぷらが付いてるって?
個人的に、あの竹輪の天ぷらは美味しくないと思う。
パスタと玉ねぎのかき揚げ天は、意外に美味しかった。
若い頃は、闇鍋感覚で色々とチャレンジできたのだが。




