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怪物姫に眠りのキスを  作者: 猫田33
全てを押し流す

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とある寮の一室 その2

夜がふけてもハロウィンの熱気が醒めやらぬ学園。

その学園の音楽室に2人の人影と明るく光る画面があった。画面の向こうには、俺と同じ銀髪の赤い目をした男が口元を歪ませていた。


「ずいぶんてこずっているんだな」


「兄上、相手は怪物姫などと呼ばれる姫ですよ。手ごわいということを理解してください。それに姫に付き物のナイトが二人もいる始末」


「弱みを握られただけではないのか?」


「弱み?」


「惚れた弱みだ。報告によれば四六時中共にいるそうじゃないか。うっかりということもありえる」


兄貴は、くつくつ笑うが俺には笑えない話だ。ミイラ盗りがミイラになったということだろう?


「反論しないのか」


「まだ途中だから反論はできない。だけど怪物姫は、普通の姫と違って面白いよ。兄上が会ったら奥方にはしないだろうけど友人にはしそう」


兄貴は、眉間に皺を寄せた。


「惚れていなくともお気に入りじゃないか。死にたくなかったらあと4ヵ月で落とすんだな」


「わかってるよ」


ミーシャが落ちれば力で攻め落とし。落ちなければ俺を殺し同盟破棄をしてやはり攻めこむ。


この国は、どちらにしても終わる。


「いれこむなよ」


それだけ言うと画面が真っ暗になった。思わず近くにあった机を殴りつける。


「さすがに机を叩かれますと下に響きますので止めてください」


「この状況でいらいらしないわけがないだろう!」


「情がわきましたか?」


アレンが口角を上げて怪しく笑う。その表情は、昼間と別人だった。


「‥‥‥ここでYESと言ったらお前は、俺の首をはねるんだろう?お前は俺の執事ではなく首輪なんだからな」


「その通りでございます。バルト様」


「ふぅ‥、今日は疲れた。下がれ」


「仰せのままに」


アレンは、執事特有の足音がしない足運びで退出した。


「ミーシャ」


自分の命運を握る姫。さっさと俺に落ちてしまえばいい。


でもまっすぐ見つめる目や不意に笑った顔を思い出す。それと同時に彼女が大事にしているものを奪うとしている。女は、大切なものを無くすばかりだとはよく言ったものだ。


「泣かせたくはないんだけどな」

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