とある寮の一室 その2
夜がふけてもハロウィンの熱気が醒めやらぬ学園。
その学園の音楽室に2人の人影と明るく光る画面があった。画面の向こうには、俺と同じ銀髪の赤い目をした男が口元を歪ませていた。
「ずいぶんてこずっているんだな」
「兄上、相手は怪物姫などと呼ばれる姫ですよ。手ごわいということを理解してください。それに姫に付き物のナイトが二人もいる始末」
「弱みを握られただけではないのか?」
「弱み?」
「惚れた弱みだ。報告によれば四六時中共にいるそうじゃないか。うっかりということもありえる」
兄貴は、くつくつ笑うが俺には笑えない話だ。ミイラ盗りがミイラになったということだろう?
「反論しないのか」
「まだ途中だから反論はできない。だけど怪物姫は、普通の姫と違って面白いよ。兄上が会ったら奥方にはしないだろうけど友人にはしそう」
兄貴は、眉間に皺を寄せた。
「惚れていなくともお気に入りじゃないか。死にたくなかったらあと4ヵ月で落とすんだな」
「わかってるよ」
ミーシャが落ちれば力で攻め落とし。落ちなければ俺を殺し同盟破棄をしてやはり攻めこむ。
この国は、どちらにしても終わる。
「いれこむなよ」
それだけ言うと画面が真っ暗になった。思わず近くにあった机を殴りつける。
「さすがに机を叩かれますと下に響きますので止めてください」
「この状況でいらいらしないわけがないだろう!」
「情がわきましたか?」
アレンが口角を上げて怪しく笑う。その表情は、昼間と別人だった。
「‥‥‥ここでYESと言ったらお前は、俺の首をはねるんだろう?お前は俺の執事ではなく首輪なんだからな」
「その通りでございます。バルト様」
「ふぅ‥、今日は疲れた。下がれ」
「仰せのままに」
アレンは、執事特有の足音がしない足運びで退出した。
「ミーシャ」
自分の命運を握る姫。さっさと俺に落ちてしまえばいい。
でもまっすぐ見つめる目や不意に笑った顔を思い出す。それと同時に彼女が大事にしているものを奪うとしている。女は、大切なものを無くすばかりだとはよく言ったものだ。
「泣かせたくはないんだけどな」




