ソラうみ
ドカッ
「す…すいません」
「今度から気をつけろよなっ」
「ありがとうごさいますぅ」
とおびえた様子で男は立ち去った。
俺の名前は今川海<いまがわ かい>
見た目がかなりチャラく、不良っぽいと言われているが
実際は優しい心の持ち主である。
「おう! 海! こんなところにいたのか!
探してたぜ」
「なんだよ…」
こいつはイケメンの俺の親友の速水翼<はやみ つばさ>。
「一緒に帰ろうぜー」
「わかった わかった」
「今日テスト翼何点だった?」
「俺かぁ? 俺ならケアレスミス一問だけの98点だったぜー」
「あー 聞くんじゃなかったぁ」
翼は別に勉強しているわけではなさそうなのだが
何故か勉強が凄い。
運動も体育祭で入賞してしまうほどだ。
クラスで“イケメンランキング一位”という女子の評価もある
いわゆる完璧男子である。
「そーいう海は何点だったんだよ?」
「俺に勉強のことは聞かないでくれぇ」
何でもできる翼に対し
俺は勉強はできないが、運動はけっこうできる。
だから俺は“不良”と呼ばれているのかもしれない。
「じゃぁまた明日な!」
「ああ。また明日」
といつも通り別れた。
俺の家は住宅地にあるごく普通の一軒家だ。
隣にアパートがあった。
今日は引越しのトラックがあった。